これで良いの?ワクチン副反応報道。

 

 5/20にモデルナとアストラゼネカの新型コロナワクチンが承認され、既に承認済みのファイザーのワクチンと3種類が使用可能となった。
 アストラゼネカのワクチンは血栓症が疑われ、承認はされた物の一般的な接種は一時見合わせというファジーな結果ではあるが。
 ワクチンは感染防止、発症防止、重症化防止のベネフィットが有る一方で、副反応のリスクもある。
 5/12の段階で39人の方の死亡が副反応疑いとして報告されている。
 そのうちの28例が評価不能、11例が評価中となっている。
 評価不能とは因果関係が有ることを証明する事もできないが、因果関係が無いと証明するデータも無いケースがあるため。
 中には死因が老衰など、ワクチンと関連性の低い報告もある。
 

福岡県内の自宅で亡くなっている看護師の女性・Aさんが発見されたのは、3月23日のことだった。享年26。あまりにも早すぎる死だった。Aさんが勤務する病院関係者が語る。
 「玄関先には、その日の夜勤に持っていくためのお弁当まで用意してありました。リビングで食事を摂っている最中に体調が急変したのでしょう。テーブルで嘔吐して、座った状態のまま後ろに仰向けになるように、目を見開いて倒れていたんです。
 自宅から病院も警察も近いため、同僚が到着するよりも早く救急隊員と警察官が駆けつけたものの、すでにAさんは冷たくなっており、その場で死亡が確認されました」
 その後の検死の結果、Aさんの死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血だと判明。Aさんに既往症・基礎疾患はなく、明らかに突然死だった。
 しかし、遺族の意向により病理解剖が行われなかったこともあり、4日前に受けたワクチン接種と死の因果関係について、厚生労働省のヒアリングを受けた専門家は「情報不足等により評価できない」と答えるに留めた。
 NEWSポストセブン 

 

 遺族の希望で病理解剖がされなかったので、明確な因果関係が証明できないという理由もありますが、ワクチンのとの関係を否定できないということが、リスクを物語っているように思えます。(前出・全国紙社会部記者)
 女性セブン4月29日号

 これらの記事を読むと本当はワクチンが原因であったかも知れないが、そこまで調査しなかったと読み取れなくも無い。
 厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会で公開された資料に『新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要』が有る。
 新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要  
 この女性看護師の例は事例2に当たる。
 この資料には次の内容が書かれている。

 検死により午前 11 時頃の死亡と推定された。
 AI のため当院へ午後7時 48 分到着。全身 CT の結果、頭部 CT、小脳左半球 CP Angle にかけ、直径 3.5cm の血腫あり、石灰化(+)で形態より血管腫や髄膜腫などの血管性腫瘍からの出血が疑われる。
 脳動脈瘤の可能性もあり。
 脳幹への圧排が左背側からあり、周囲にくも膜下出血のひろがりあり、側脳室内に血液流入あり。
 肺野では両側肺に中枢側を中心に肺水腫の所見あり。よって、小脳出血の脳幹部圧排、くも膜下出血等、脳出血を直接死因とした。
 患者の家族の意向もあり剖検は実施されなかったことが確認された。

 専門家の評価 ○因果関係評価:γ
 ○専門家コメント:死亡時画像診断(CT)にて、小脳半球から小脳橋角部にかけて石灰化を伴う血腫を認めており、脳動静脈奇形や海綿状血管腫の存在が示唆されるが、特定のためには剖検などのより詳細な情報が必要である。
 脳出血による死亡とワクチン接種の因果関係は評価不能である。

 元々、脳動脈瘤、脳動静脈奇形や海綿状血管腫の様な病変が有った可能性が有ったが、病理解剖が出来なかったために因果関係を否定することが出来ず評価不能となったということであろう。

 脳神経外科医の嶋田裕記氏は、「20代の健康な女性が小脳出血で亡くなるというのは、非常にまれです」と驚きを隠さない。
 小脳で出血があったという時点で何か変だなと感じます。
 頭蓋骨に囲まれている脳の中で出血が起こった場合、特に小脳は脳の後ろ側の狭いスペースに位置するので、血液の逃げ場がなく、周りの脳を圧迫します。
 なかでも、呼吸の中枢がある『脳幹』と呼ばれる部分の圧力が強くなると、最終的に呼吸停止となって最悪、死に至るのです。
 若いかたなので、もともと脳腫瘍などがあった可能性もあります

 このコメントでも元々何らかの病変が有った可能性を示唆してる。

 若い人でも脳内出血は起きている。
 脳内出血で発症し石灰化を伴う小脳病変の1例 国会図書館デジタルコレクション   

 報告された死亡6例の詳細という図が載っている。
 
 この図と新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要の関係は次の通り
 Aさん:事例2(小脳出血、くも膜下出血)
 Bさん:事例1(くも膜下出血)
 Cさん:事例4(急性心不全)
 Dさん:事例6(脳出血)
 Eさん:事例3(脳出血)
 Fさん:事例5(溺死)

 Bさんの詳細を見ると
 基礎疾患等     :頭痛、骨粗鬆症、衰弱
 報告者の評価    :評価不能
 他要因の可能性の有無:有(くも膜下出血)

 Cさん
 基礎疾患等     :不明
 報告者の評価    :関連なし
 報告者意見     :今回の急性心不全と新型コロナワクチン接種の関連はないと判断した
 他要因の可能性の有無:有(急性心不全)

 Dさん
 基礎疾患等     :無
 報告者の評価    :評価不能
 報告者意見     :なし
 他要因の可能性の有無:不明

 Eさん
 基礎疾患等     :肝臓病(C 型肝炎)、脂質異常症、虫垂炎
 報告者の評価    :関連なし
 報告者意見     :ワクチン接種と直接の関係はないものと推察される。臨床検査値では、凝固系異常は認めない
 他要因の可能性の有無:有(脳出血)

 Fさん
 基礎疾患等     :糖尿病
 報告者の評価    :評価不能
 報告者意見     :抗血栓薬内服による治療歴があり、基礎疾患による影響も考えられるため、ワクチンとの因果関係は不明である
 他要因の可能性の有無:有 ※抗血栓薬を内服

 副反応疑いの報告医の評価は、
 Cさん、Eさん:関連無し
 Bさん、Fさん:評価不能、他要因の有無、有り
 Dさん    :評価不能
 二人はワクチンとの関連性なし
 二人はワクチンとの因果関係不明、ただし他の要因の可能性有り
 一人はワクチンとの因果関係不明
 となっている。
 元々、脳内出血や急性心不全は高齢者には多いし、浴室での事故も高齢者では多い。
 ポストセブンのいわゆる詳細図は都合の良い情報だけ抜き出して危険を煽っているようにしか見えない。

 サイエンスの世界にゼロリスクはあり得ず、ワクチンも同様で絶対の安全は残念ながら無いのが現実。
 先進諸国に比べて日本でのワクチン接種が遅いと批判する一方で、この様な偏った報道は如何なものか。
 

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