南清貴センセは集団免疫にただ乗りしてる

 

新型コロナウィルス蔓延のが問題になっているが、南清貴センセがビジネスジャーナルでワクチンへの独自の信条を発している。
 『新型コロナに罹らない生活とは…ワクチンや解熱剤の使用で免疫力低下の恐れも』  
 ワクチンを接種すればいいという考えもありますが、基本的にワクチンを接種すると免疫細胞を多く使うことになってしまうので、結果的には免疫力が落ちます。ワクチンも病原体が不活性であるとはいえ、体にとっては外敵であることに変わりありません。インフルエンザワクチンも肺炎球菌ワクチンも同じことです。

 >基本的にワクチンを接種すると免疫細胞を多く使うことになってしまうので、結果的には免疫力が落ちます。
 ワクチンによる免疫の低下は無いとする研究がある。
 予防接種の回数増、子どもの免疫力低下と関連なし
 >ワクチンも病原体が不活性であるとはいえ、体にとっては外敵であることに変わりありません。
 ワクチンは自然感染と同じしくみでヒトの体内に免疫を作り出すが、ただし自然感染のように実際にその病気を発症させるわけではなく、コントロールされた安全な状態で免疫を作り出している。
 自然感染と違い重症化することはまれで、他人に感染させることも無い。(ポリオ生ワクチンでは、まれにワクチン株での発症例、BCGでの骨炎などがある。)
 自然感染との比較で、ワクチンのリスクは格段に低い。
 ウイルスに罹患していることに気づかずに、そのウイルスとは別のワクチンを接種してしまった場合、免疫力を落としてしまうので、最初のほうのウイルスが活発化してしまうこともあると考えられます。これは高齢者だけではなく、子供にも同じことがいえます。

繰り返しになるが、ワクチンによる免疫の低下は無いとする研究がある。
 予防接種の回数増、子どもの免疫力低下と関連なし
 というか、ワクチンにより免疫が低下するという、マトモな資料は見つからなかった。
 免疫不全状態では、接種できないワクチンもある、
 免疫不全患者に対して禁忌とされるワクチンの種類とステロイドがワクチン接種に与える影響
 免疫不全状態(HIV感染を除く)
 かねてより筆者はワクチン接種に関して、もっと慎重であるべきと主張してきましたが、その考えは今も変わっていません。筆者自身も家族も、いかなるワクチンも接種していませんし、今後も摂取する考えはありません

 南センセがなんと主張しようと、ワクチンが公衆衛生の向上に寄与したのは間違いない。
 たとえば麻疹(はしか)は、かつては子供ははしかに罹るのは当たり前と言われるくらいであったが、今は年間1000人以下である。
 天然痘はワクチンにより絶滅したとされ、評判の悪かったポリオ生ワクチンだが、国内で多いときは6000人近い患者を出したポリオを絶滅状態にした。
 麻しん累計報告数の推移
 インフルエンザワクチンを例にすれば、ワクチンの有効性を示す研究は多い。
 小中学生がほぼ毎年ワクチンを接種していた時期としなくなった時期により、どの様な変化があったかの研究がある。
 ある小学校で23年にわたり、ワクチンの接種率と、学級閉鎖との関連性を観察を続けた研究がある。
 『インフルエンザワクチン接種率と学級閉鎖:一小学校における23年間の継続調査』
 ワクチンが集団接種されていた時期、希望者だけに接種した時期、任意接種になった時期、再び増えてきた時期など5期に分け、その間の接種率と学級閉鎖日の関連性を調査している。
 接種率が高いと学級閉鎖の平均日数が少なく、接種率が低くなると平均日数が多くなっていて、ワクチン接種の有効性を示唆している。

 2001年にアメリカの医学誌、「The NEW ENGLSND JOUNAL of MEDICINE」に、日本の子供のインフルエンザワクチンの集団接種をしていた時期と、止めた時期の高齢者の超過死亡数を日本とアメリカで比べた研究が載った。
 超過死亡とは、インフルエンザが流行したことによって、インフルエンザ・肺炎死亡がどの程度増加したかを示す、推定値である。
 この値は、直接および間接に、インフルエンザの流行によって生じた死亡であり、仮にインフルエンザワクチンの有効率が100%であるなら、ワクチン接種によって回避できたであろう死亡数を意味する。
  The Japanese Experience with Vaccinating Schoolchildren against Influenza
 日本の超過死亡は,学童に対するインフルエンザワクチン接種の開始に伴って,それまで米国の3~4倍であった死亡率が,米国と同程度にまで低下した。
 その後,学童への予防接種が中止されたために,日本の超過死亡は上昇した。
 インフルエンザによる死亡例の多くは、患者の年齢とともに基礎疾患を有する場合が多いとされ,学童集団接種により,高齢者の死亡が抑えられていたことになる。

ワクチン接種率と超過死亡数の推移
免疫は個人だけでなく、集団免疫というのがある。
   ある感染症に対して集団の多数が免疫を持っている状態で、間接的に免疫を持たない人を保護する事になる。
National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID)

図中の赤色が感染者、青が免疫を持たない人、黄色が免疫を持った人である。
 図の上段は免疫を持たない人だけなので、感染者が居ると一気に感染が広がる。
 中段は集団中に免疫を持つ人が一部居る状態で、下段は多くの人が免疫を持っている状態で、感染の広がりは抑制される。
 ワクチンはある感染症に対して免疫を持たせる作用があり、多くの人が接種を受けることにより集団免疫を成立させることにより、感染の広がりを抑制するものである。

 >筆者自身も家族も、いかなるワクチンも接種していませんし、今後も摂取する考えはありません。
 南センセはこの様な事を言っているが、間接的にワクチンの恩恵を受けている。
 自分がワクチンの接種を受けなくても、周りで接種する人が多く居て、集団免疫が成立すれば間接的にワクチンの恩恵を受ける。
 『筆者自身も家族も、いかなるワクチンも接種していませんし、今後も摂取する考えはない』と偉そうなことを言っているが、南センセの様な予防接種を受けない少数の人々や接種を拒否する親たちは,子供にワクチン接種を受けさせた大多数の親や、接種を受けた人が冒したリスクの上に「ただ乗り」する形でそのベネフィットを享受するのである。
 南センセ達の様な連中の事を、集団免疫へのただ乗り(フリーライダー)と呼ぶ。

 そして、あえて申し添えておくと、筆者は医療関係者ではないので、これはあくまでも、一般人としての主張です。しかし、知り合いの医療関係者の多くは、筆者と同意見でもあります。
 知り合いの日本感染症学会認定の専門医に聞いたが、実際に反ワクチンの医師もいるが少数で、南センセと同意見の医師はごく少数派だとの事で有った。

 南センセの主張しているように生活習慣の改善は免疫を高めて感染を受けにくくなることは、一般論として間違いない。
 しかし、ワクチンができるまでは、子供は麻疹やおたふく風邪は罹って当然とされた時代もあったわけであり、生活習慣の改善だけで感染予防になるわけでは無い。
 ワクチン接種を受けるかどうかは個人の判断次第だが、南センセの様に個人の主義主張を他人に押しつけるべきでは無い。

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