コンビニパンは超危険?ってホント??????

 

”コンビニパンは超危険?見えないかたちで大量の添加物、健康被害の恐れ”というアヤシげな記事を見かけた。
http://biz-journal.jp/2015/04/post_9478.html
ph調整剤が危険という。

「弊社では、コンビニエンスストアチェーンと取引のある製パン業者の注文を受けてpH調整剤を製造していますが、サンドイッチに添加するpH調整剤の量が非常に多いのです。
そこで、製パン業者に『もう少しpH調整剤を抑えて使ったほうがいいと思いますよ』と進言したのですが、『コンビニチェーンからの要求ですから』と受け入れられませんでした。
pH調整剤は“日持ち向上剤”ともいわれ、食品の腐敗を防ぐ役目があるのですが、あんなに多量に添加すると、食べた人の健康保持に不可欠な腸内細菌の善玉菌まで殺しかねないと、心配しています」
pH調整剤は食品のpHを弱酸性(6.0~6.5)になるよう調整することで、食品の腐敗を抑える添加物。
クエン酸、フマル酸、重合リン酸塩など複数の成分が配合されているが、一括して「pH調整剤」と表示される。
したがって、消費者は具体的な添加物名がわからない。しかもpH調整剤は、対象食品も使用量も制限がないため、コンビニチェーンや食品メーカーにとって非常に都合のいい添加物となっている。

まず???の点は『食品のpHを弱酸性(6.0~6.5)になるよう調整することで、食品の腐敗を抑える添加物』と言う件。
ph6.0~6.5では酸性とはいえほぼ中性でほとんど静菌作用は期待できない。
静菌作用を期待するにはどの程度phを下げる必要があるかというと・・・
東邦微生物研究所のHPでは『腐敗菌は、pH5.5以下では生育が殆んど抑制されます。』とあり、少なくともこれ以下にする必要があることになる。
さらに熊本県食品加工研究所の研修資料”食品の変質防止と品質保持”という資料によると

有機酸による保存性向上
酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸を添加することにより、殺菌作用を高める。phを4.5以下に調整。
有機酸の中では酢酸が最も殺菌力が高く、漬物の防腐の面からは酢酸が多く使われる。風味の点からは、各有機酸を混用することが望ましい。
果汁等のph調整には、食味への影響を与えない様クエン酸が用いられる。

とあり、ph6.0~6.5では効果が期待できないと言うことだ。
ところでph4.5以下にしたら味はどうなるかというと、ニッスイのサイトの”おいしさを科学する~酸味”に、一般においしく感じられるのは弱酸性のpHが4~6の間と書かれていて、pH3になると酸味を感じるようになるとある。
phが約4.5位がおいしくて静菌作用が期待出来ると言うことになる。
ph調整剤として認可されているのは次の通り

  • アジピン酸 ph3.2 0.1%
  • クエン酸三ナトリウム
  • グルコン酸 ph1.2~1.3 50%
  • グルコン酸ナトリウム
  • コハク酸一ナトリウム
  • 酢酸ナトリウム
  • L-酒石酸  ph1.6 10%
  • L-酒石酸水素カリウム
  • L-酒石酸ナトリウム
  • 炭酸水素ナトリウム
  • 二酸化炭素
  • 乳酸カリウム
  • 氷酢酸 ph2.4 1mol/L
  • フマル酸 ph2.1 0.49%
  • DL-リンゴ酸  ph2.3 1%
  • リン酸  ph1.5
  • リン酸二水素カリウム
  • リン酸二水素ナトリウム
  • クエン酸  ph1.7 10%
  • グルコノデルタラクトン
  • グルコン酸カリウム
  • コハク酸  ph2.7 1%
  • コハク酸二ナトリウム
  • DL-酒石酸  ph1.6 10%
  • DL-酒石酸水素カリウム
  • DL-酒石酸ナトリウム
  • 炭酸カリウム(無水)
  • 炭酸ナトリウム
  • 乳酸  ph1.5
  • 乳酸ナトリウム
  • ピロリン酸二水素二ナトリウム ph4.5  1%
  • フマル酸一ナトリウム
  • DL‐リンゴ酸ナトリウム
  • リン酸水素二カリウム
  • リン酸水素二ナトリウム
  • この中で赤字の物質がサンドイッチなどのいわゆる調理パンやオニギリや弁当などによく使われ、酸味料や調味料として普通に使われる。
    よく使われるのが静菌作用のある酢酸だが刺激臭があるため、クエン酸や乳酸、やはり静菌作用のあるフマル酸などを組み合わせて使うことが多い。
    そしてこれらの物質を見ても食味に影響するくらい(酸っぱく感じるくらい)入れたところで、『食べた人の健康保持に不可欠な腸内細菌の善玉菌まで殺しかねない』とは到底考えられない。
    ph調整剤を使ったサンドイッチやおにぎり等よりずっとphの低い、梅干しや夏みかん食酢などphの低い食品で腸内細菌に悪影響があるなどと言うまともな論文や資料を見たことがない。
    『あんなに多量に添加すると、食べた人の健康保持に不可欠な腸内細菌の善玉菌まで殺しかねない』など、不安を煽っているだけとしか言いようがない。

    また『pH調整剤は日持ち向上剤ともいわれ』の箇所だが間違っている。
    ph調整剤と日持向上剤は別物で、細菌の苦手な水素イオン濃度に調整して細菌の増殖を抑えるのがph調整剤で、弱い静菌作用のある物質を使い細菌の増殖を抑え日持ちを若干改善させるのが日持向上剤。
    ちなみに強い静菌作用のある物質が保存料となる。
    日持向上剤として使われるのは

  • グリセリン脂肪酸エステル
  • チアミンラウリル硫酸塩
  • 酢酸及び酢酸ナトリウム
  • リゾチーム
  • グリシン
  • エタノール
  • カラシ抽出物・ワサビ抽出物
  •  等で、ph調整剤と違い一括表示できない。

    日持向上剤類を使用した食品での表示方法
    日持向上剤は、すでに説明してきた品質保持を目的とする各種の食品添加物と異なり、使用目的を併記すべき用途名には該当していない。一方、酸味料やpH調整剤のような一括名としても認められていない。
    このため、使用した食品では、物質名で表示することになる。使用する際、日持向上剤製剤の形で使用した場合は、副剤と認められる食品添加物は、表示を免除されている。製剤を使用する際には、構成成分が、主剤に当たるものか、副剤に相当するものかを確認し、表示に生かす必要がある。
    調味料のアミノ酸を使用している食品で、日持ちの向上にグリシンあるいはグリシン製剤を使用した場合は、グリシンは調味料としての使用とは認められず、物質名でグリシンと表示する必要がある。酢酸類を酸味料あるいはpH調整剤と別々の目的で使用した場合も同様である。
    なお、保存料としての効果、酸化防止剤としての効果を発揮するような使い方をした場合には、用途名と物質名の併記が必要になる。
                        出典 アサマ化成(株)

    日持向上剤に関してはアサマ化成のサイトで詳しく説明されている。
    ただし表示に関しては少々紛らわしい。
    カビノン・D菓子日持ち向上剤は八宝商会が製造している日持向上剤で、グリシン、無水酢酸ナトリウム、氷酢酸等が成分で食品の表示は次の様になる。
    日持向上が目的で使用される場合 : グリシン、酢酸Na、pH調整剤 、又は
                    : グリシン、酢酸Na、酸味料
    調味が目的で使用される場合   : 調味料(有機酸等)
    同じ製品で有りながら使用目的により表示が違ってくる。
    また酢酸はph調整剤としても酸味料としても認められていて一括表示となり、使用目的によりph調整剤になったり酸味料となり食品メーカーの裁量となる。

     通常、食中毒防止に保存料を添加した場合には、「保存料(ソルビン酸カリウム)」などと具体的な使用成分を表示しなければならない。昨今は保存料に発がん性などの不安を感じている消費者が増えており、コンビニや食品メーカーとしては、売り上げに響くので保存料はできるだけ使いたくないのが本音だ。こうした理由から、pH調整剤は添加物メーカーが心配するほどの使用量となっているのだ。
     pH調整剤に使われている添加物の中で、特に問題なのはリン酸塩である。リン酸塩の過剰摂取は、ヒトの腸管から血液中にカルシウムが吸収されるのを妨げてしまう。血液中のカルシウムが不足すると、血液のpHを保つために骨からカルシウムが溶け出す。そのカルシウムが神経細胞内に溜まると、イライラや神経過敏を引き起こすといわれている。いつもイライラしたり、突然キレる人が非常に目立っているのも、リン酸塩の過剰摂取が一因にあるとの指摘も多い。また、リン酸塩はカルシウム以外のミネラル(微量元素)の吸収も阻害する。特に亜鉛を体外に排出してしまう。亜鉛は脳が正常に働くために必要不可欠なミネラルで、亜鉛不足もキレる現象につながっているともいわれている。
     健康な食生活を送るには、食品の成分表示欄にリン酸塩の記載がないことを確認してから購入することが大切である。

    ど~やら筆者はph調整剤と言いながらリン酸塩の事を言いたい様で、ph調整剤=リン酸塩と言いたい様だ。
    実際に摂取するリンは食物由来のものが多く、平成21年の国民健康・栄養調査では、摂取量は男性は平均1,043 mg、女性は平均908 mgとなっている。
    この数値は食品添加物は含まれていない。
    一方食品添加物で摂取する量は、マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査 平成22年度調査結果によると平均値で280.9mgとなっていて食物由来の方が多い。

     しかし、食品メーカーのリン酸塩隠しが巧妙化している。pH調整剤として使用することもその一例だが、ここ数年非常に目立っているのは、「調味料(アミノ酸等)」の中にリン酸塩を使用するケースだ。一般的に、「調味料(アミノ酸等)」と食品表示があれば、グルタミン酸ナトリウムなど複数の化学調味料が含まれているが、最近はこれにリン酸塩を加えることが多くなっている。
    「pH調整剤」や「調味料(アミノ酸等)」に隠されたリン酸塩に要注意だ。

    材料にリン酸塩を加えてリン酸塩隠しをしていると言わんばかりだが・・・・・
    食品の材料に含まれる食品添加物で、最終的に食品中にごくわずかな量しか存在せずその食品に影響を及ぼさないものはキャリーオーバーとして表示が免除されるが、サンドイッチ等の食品の品質に影響する様な量が含まれる場合は表示が義務づけられる。
    筆者の言う様に故意に材料にリン酸塩を入れて表示を隠すことは食品衛生法違反となる。

    コンビニパンは超危険などホラー小説みたいだと思っていたら、同じビジネスジャーナルのサイトにへるどくたークラレ氏が『コンビニパンは危険」は間違い?「食品添加物は危険」のウソ、毒性誇張のまやかし』という記事を書いていた。
    この記事の中でクラレ氏は『これがフードホラーを煽る人の商売の種なのです』と言い切っている。
    どうも先を越されたような・・・

    嘱託で国有林の管理をしていた私のじい様は、梅雨時から夏にかけて自家製の塩分たっぷりの梅干しを入れた焼きおにぎりを弁当に持って行っていた。
    毎日などで飽きないのかとじい様に聞いたら、「梅干し入りの焼きおにぎりはどんなに暑くても腐らないからいいんだ」と答えた。
    塩素イオンと水素イオンが一緒に存在すれば強い酸化作用と殺菌作用が出来る。
    梅干しやタバスコソースで10円玉を磨くときれいになるのはこのため。
    おにぎりに入れた梅干しの塩素イオンと水素イオンによる殺菌作用や自然のph調整剤としての働きと、手で握ることにより細菌汚染の可能性のある表面を加熱殺菌することによって腐りにくくしていたわけだ。
    経験でそうしていたわけだが、実に合理的な防腐処理をしていた事になる。

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