毎度おなじみ、郡司和夫センセの絶対食べてはいけないシリーズ「コンビニおでん」
郡司和夫センセの毎度おなじみ、『絶対食べてはいけないシリーズ』で今回はコンビニおでんが俎上に乗っている。
コンビニおでんは超危険!絶対に食べてはいけない!具がずっと汁に浮いている異常さ
その練り製品メーカーは、大手コンビニチェーンとおでんの練り製品を納入する仮契約を結びました。仮契約には「仕様」という品質についてのさまざまな取り決めがあり、それらをすべてクリアできて本契約となります。当然、練り製品メーカーでは、仕様に沿った製品づくりを始めました。しかし、どうしてもクリアできなかったのが、「練り製品はおでんのダシ汁の中で8時間浮いていること」という仕様でした。
チクワ、ハンペンなどおでんの具になる練り製品は、通常、スケトウダラなどの魚肉のすり身に食塩、砂糖、でん粉、調味料などを入れて練り合わせてつくります。しかし、通常のつくり方では、どうやっても、汁の中で8時間浮いていられません。具材が汁を吸って型崩れを起こしてしまうのです。
そこで社長は恥を忍んで知り合いの同業者に相談したところ、その人はこともなげにこう言ったのです。
「簡単なことだよ。原料のすり身にリン酸塩とソルビットをたくさん使えばいい。そうすれば、すり身の比率は下がり、おでんの汁も吸いこみにくくなる。使った添加物はキャリーオーバーということにしておけば表示の必要はないから、コンビニチェーンにも消費者にもわからないよ」
大半のすり身は船上でつくられます。その際、品質保持や増量のためにリン酸塩やソルビットが添加されますが、使用した食品には影響が出ないということで添加物の表示は免除されます。これをキャリーオーバーといいますが、この制度をもっと利用しろというわけです。
そもそもリン酸塩を添加するのは増量が目的では無い。
竹輪などの魚肉練り製品の固まる仕組みは、すり身の主成分である筋肉タンパク質アクトミオシン(アクチン、ミオシン)が熱変性を起こし、ゲルによる三次元の格子状の構造になるため。
動物の筋肉細胞内には、アクチン、ミオシンやそれが結合したアクトミオシンが存在し、アクチン、ミオシン←→アクトミオシンと変化し、筋肉の伸縮に関与している。
動物が生きている間はATP(アデノシン三リン酸)という物質の作用でアクトミオシンがアクチンとミオシンに分離している。
動物が死亡すると時間の経過とともにATPが消失し、アクチンとミオシンは結合してアクトミオシンとなったままになり、この状態が死後硬直となる。
アクチンとミオシンは塩溶性タンパク質といわれ、食塩を混ぜて撹拌して細胞外に抽出したうえで加熱すると、熱変成を起こしてアクトミオシンとなり三次元の格子状に結合するため弾力を持った塊となり、そのメカニズムはハムやソーセージも同じ事である。
水揚げ直後の魚類や屠殺直後の家畜を即座に加工出来るのなら良いが、実際はある程度時間が経過した物を加工する事になる。
その際にATPの代わりになるのがピロリン酸塩で、ピロリン酸塩の作用でアクトミオシンがアクチンとミオシンに分離するために結着性が増す事になる。
早い話、アクチンとミオシンが少ない食肉や魚肉すり身ではソーセージやカマボコは出来ないと言う事で、高級なハム/ソーセージやカマボコなど、リン酸塩を使っていない商品もあるが実際には少数で、主に冷凍魚肉すり身を主に使う竹輪などには必須。
実際には結着性を長く維持させるために、加水分解してピロリン酸塩に変化するトリポリリン酸塩やメタリン酸塩など、ピロリン酸塩の供給源になる化合物を混合した物が使われ、これらの重合リン酸塩の事をポリリン酸塩と称している。
今さら聞けない肉の常識/ 平野正男 , 鏡晃/食肉通信社
冷凍すり身の加熱ゲル形成の耐凍性に及ぼすソルビトールと重合リン酸塩の協調作用
>『コンビニチェーンにも消費者にもわからないよ』
使用する材料、添加物等は文書での提出を要求されるから、コンビニチェーンに判らないはずは無い。
竹輪などの練り製品が浮くメカニズムは簡単。
加熱する事により含まれる水分が気化して内部に水蒸気がたまるため比重が軽くなり浮き上がり、はんぺんの様に内部に気泡をもっていればそれだけで浮き上がる。
スーパーなどで売られている袋詰めおでんセットの具にも多くの添加物が表示されていますが、それを用いて家でおでんをすると、すべて8時間以内には汁を吸いこんで鍋の底に沈んでいきます。
沈まない様にする事は出来なくは無いが、温度管理がいささか難しい。
重要なのは温度管理で、軽く煮込んだ後は沸騰させないで練り物の中に水蒸気が保たれる温度に維持する事が重要。
強く煮込んでしまったり、沸騰させる時間が長くなると練り物の内部で水分が激しく蒸発して、内部の格子状の組織を壊してしまい食感も劣化する。
コンビニおでん種は工場で下拵えして煮含めた状態の物を、暖めた汁に入れているだけ。
コンビニおでんの鍋は電気式で、温度が常に最適の温度に保たれる様になっていて、家庭で同じ事をしようとするとIHヒーターの様に一定の温度を保てる機能がないと難しい。
練り物ははんぺんの様に内部に気泡を作れば浮き上がるけどね。
コンビニおでんは具だけではなく、ダシも添加物だらけです。かつお荒節や宗田かつお節を使用などと強調しているコンビニが多いですが、これらは申し訳程度にブレンドしているだけです。ダシの主原料は醤油、ぶどう糖果糖液糖、砂糖、食塩、かつお節エキス、たんぱく加水分解物、化学調味料などです。この濃縮液を各店舗で薄めて使っています。
コンビニのおでん汁も、市販のおでん汁も大して変わらないと思うが。
S&Bおでんの素
丸三食品おでんだし
特にコンビニおでんの汁が添加物が多いとも思えないが。
そもそもコンビニおでんの汁が特に添加物が多いという根拠はな~に?
表示の義務が無いだけで、食品衛生法の規制を受けるのは同じ事。
ちなみに私はコンビニおでんは食べない。
添加物が怖いわけでは無く、不特定の人が出入りする場所に、蓋もしないで放置されている様な状態でイマイチ衛生的な気がしないから。
おでんの汁の表面にホコリ状の物がいっぱい浮いていたり、髪の毛の様な物が浮いていたりしたのを見て食べる気がしなくなったと言うわけ。
添加物よりそちらの方が余程気になる。
ホコリの浮いたおでんを喰っても死にはしないけど、それならスーパーのパック詰めの暖めるだけで食べられるおでんで十分という気になるから。
次回もコンビニおでんの続編
の、予定。
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