知らずに摂りすぎている怖い添加物????

 

 web版サライの記事に『亜硝酸ナトリウム、リン…知らずに摂りすぎている怖い添加物』というのがある。

 たとえば最近では、「亜硝酸ナトリウムには気をつけねば」ということを理解している人もいるはずです。亜硝酸ナトリウムは、ウインナー、ハム、明太子などに多用される発色剤で、発がん性が確認されています。

 亜硝酸と食品に含まれるアミン類が反応して出来るN-ニトロソ化合物に発がん性があるとされている。
 食品添加物として亜硝酸ナトリウムが問題視されるが、亜硝酸イオンを実際に一日どの程度摂取しているかと言うと
 加工食品  0.76mg
 生鮮食品  0.13mg
 合計    0.89mg
 となっている。
 硝酸塩 及び亜硝酸塩の一日摂取量調査
 亜硝酸は食品に含まれる硝酸塩から、体内でも作られている。

 摂取された硝酸塩の約25%が唾液中に排出され、口内細菌の作用により一部(WHOは20%、IARC及びEPAは約5%、JECFAは健常人が5~7%で最高20%としている)が唾液中で亜硝酸塩に還元される。
 その後飲み込まれた硝酸塩と亜硝酸塩は、再度胃の中に入る。
 清涼飲料水評価書硝酸性窒素・亜硝酸性窒素 

 硝酸塩は野菜類、特に葉物野菜に多く含まれる。
 食品から摂取した硝酸塩はほぼ全て体内に吸収されるとされている。
 硝酸イオンを一日にどの程度摂取しているかというと、
 加工食品  20.47mg
 生鮮食品  169.07mg
 合計    189.54mg
(硝酸塩 及び亜硝酸塩の一日摂取量調査)
 189.5mgの硝酸イオンを摂取したとして、
 唾液中の硝酸イオン(NO3)
 189.5mg*0.25=47.4mg
 そのうち5%が還元され亜硝酸イオン(NO2)になるかというと
 NO2/NO3=46/62=0.74
 47.4mg*0.05*0.74=1.75mg
 7%だとすると
 47.4mg*0.07*0.74=2.45mg
 10%だとすると
 47.4mg*0.1*0.74=3.5mg
 となり、食品添加物由来の亜硝酸イオンより食品由来の亜硝酸イオンが多いことになる。
 別の調査では亜硝酸ナトリウムとしての一日の摂取量は0.284mgというのもある。
 資料2-1 – 食品安全委員会 
いずれにしろ亜硝酸は添加物より食品から摂取する量が多いことになる。

 そのほかにも、いろいろ注意が必要な添加物がありますが、私がとくに緊張感を持ってチェックしているのが「リン」です。
 リンは、私たちが健康を維持するために一定量が必要な物質ではあるものの、過剰になると動脈硬化を進め、免疫力を低下させ、腎臓病などいろいろな病気を引き起こします。
 そして、現代人は摂取過剰になって当然なのです。なぜなら、驚くほどたくさんの食品にリンが添加されているからです。

 元々、リンは動植物に多く含まれ、無機リンと有機リンとして広く分布している。
 無機リンとしては、動物の骨や歯のエナメル質の主な成分のハイドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム)あり、生体内では約80%が骨と歯に分布しているとされる。
 国立健康栄養研究所、「健康食品」の素材情報データベース 
 有機リンはタンパク質や糖質、脂質と結合した状態のリンである。
 そのため食品には、元々の食材に多くのリンが含まれ、特に多く含まれるのは魚介類、穀物、豆類、種実、食肉などである。
 文部科学省の食品成分データベースによる、リンを多く含む食品のランキング上位20位は次の通り。

 リンを多く含むランキング、上位20位
 可食部100g中、単位mg
 1 ベーキングパウダー 3700
 2 とびうお焼き干し 2300
 2 かたくちいわし田作り 2300
 4 米ぬか 2000
 5 いわし煮干し 1500
 6 たたみいわし 1400
 7  とびうお煮干し 1300
 8  さくらえび素干し 1200
 8  いかなご煮干し 1200
 8  ごまさば/さば節 1200
 8  きびなご調味干し 1200
 12 煎りかぼちゃ種 1100
 12 小麦はいが  1100
 12 乾燥あさ実   1100
 12 するめ 1100
 16 からし/粉 1000
 16 脱脂粉乳 1000
 16 乾燥卵黄 1000
 19 干しえび 990
 20 うるめいわし丸干し 910
 食品成分データベース 

 食品から摂取するリン酸化物は、下記の通り。(2017年度)
 オルトリン酸:247.3mg
 縮合リン酸:  20.3mg
 合計:    267.6mg
 マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量の調査(2017年度)  
 平均的なリンの摂取量は約1,000mgであり、これからすると大量の食品添加物由来のリンを摂取しているように思える。
 しかし、リン酸化物は元々食品に含まれている。
 縮合リン酸は食品表示ではポリリン酸となっている物質で、自然界にはほとんど存在しない物質で有り、添加物由来と考えて良い。
 問題ははオルトリン酸で、これは食品中に多く含まれている。
 加工前の食品と、加工後の食品のオルトリン酸を測定しないと、添加物からどれだけリンを摂取しているか判らない事になる。

 人工透析専門医の団体、公益社団法人日本透析医会が発行している日本透析医会雑誌によると、食品添加物から一日に摂取するリン酸化物は、約50~60mgと推定してる。
 日本透析医会雑誌、Vol.30 No3 2015 512ページ
 日本人の食事によるリン摂取量

 この研究に使われたリン酸化物の摂取量は2013年度のマーケットバスケット調査によるもので、成人のリン酸化物の摂取量は下記の通り。
 オルトリン酸:250.4mg
 縮合リン酸:  15.2mg
 合計: 265.6mg
 マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量の調査(2013年度)
 2017年度の調査と比較して、リン酸化物の摂取量に大きな変動はない。

 リン酸塩を添加されるとされる食品で、食肉加工品、特にハムやソーセージがある。
 食品成分データベースで、キーワードを「ぶた」、表示成分選択でリンをチェックし、フリーワード検索すると品目別にリンの量が表示される。
 フリーワードで検索 
 この結果を見ると食肉よりハムやソーセージの様な加工品の方がリンが多い傾向があるが、食肉加工品の摂取量から考えると、添加物としてのリンの摂取量は多くない。
 むしろ添加物からより、健康に良いとされる玄米、全粒小麦粉、小麦胚芽、豆類などリンの含有量が多く、摂取量の多い食品からのリンの摂取量が格段に多いと思われる。

 亜硝酸塩にしろ、リンにしろ、食品添加物はアブナイという前提で論議されるが、実際は食品自体からの摂取が多いと言うことになる。
 亜硝酸にしろ、リンにしろ、「知らずに摂りすぎている怖い添加物」からより、「知らずに食品から摂取」の方が多いのである。

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