女性セブンのデタラメ記事

 

 理髪店に置いてあった女性セブン2019年8月15日号に『あなたも巧妙にだまされている「保存料」「防腐剤」の危ない真実』という、トンデモ記事が載っていた。
 記事を読むと、コメントを出した人々が、郡司和夫センセ、小籔浩二郎センセ、阿部司センセといったトンデモ系センセ連中ばかりで、この人達のコメントを使えばトンデモ記事になるのは当然であろう。
 少々古いが、あまりのデタラメぶりなので取り上げた。

 まずはソルビン酸
 記事によると国産メーカー製ドライフルーツより基準地を超えたソルビン酸が検出されたそうで、郡司和夫センセがコメントしている。

 略~ 逆に考えれば、基準値を超えた量は健康を損なう恐れがあるということ。 そもそも、ソルビン酸を使用すること自体に危険性が指摘されているのに、基準地をオーバーするなんて、あり得ません。

 ソルビン酸は国際的な安全性評価がされていて、アメリカではGRAS物質(一般的に安全と認められている物質:Generally Recognized As Safe)として扱われ、EUでも広く用いられる保存料である。
 アメリカではソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウムが。ソルビン酸としてチーズに1kgあたり3g、多くのの食品は1kgあたり1gの使用が認められている。
 Food Additive Status List  
 EU諸国でも同様で、チーズ類が1kgあたり2g、多くの食品が1kgあたり1gの使用を認めている。
 Food Additive Sorbic acid – potassium sorbate (SA) 
 日本でもソルビン酸を使えるが、欧米に比べて使用できる品目に制限がある。
 保存料ソルビン酸の使用基準:JETRO  
 日本を始め多くの国ではソルビン酸の一日許容摂取量を体重1kgあたり25mgとしている。
 日本の6歳0月の男児の平均であり、摂取できるソルビン酸は25mgX20=500mg=0.5gとなる。
 ソルビン酸の日本の許容量の 0.5g/kgを使用した乾燥スモモを体重20kgの子供が、1kg食べるとADIに達することになる。
 ちなみにドライフルーツとあるが、日本でソルビン酸の使えるドライフルーツに相当する品目は乾燥スモモだけであり、1kgあたり0.5gで、欧米の1kgあたり1gと比べて厳しくなっている。
 チーズなら1kgあたり3g、魚肉練り製品は2g、ジャムで1gとなっている。
 乾燥スモモの許容値は1kgあたり0.5gでこれを超えれば食品衛生法違反になる訳だが、これを超えても直ちに健康被害になる訳ではない。
 ただし、法律違反は間違いないわけで、安全であるとは言えないわけで、それが「食べても健康に影響ない」と言う曖昧な表現となる。
 ちなみに、日本のドライフルーツに一般的に使われる保存料は亜硫酸塩である。

 郡司さんは、ソルビン酸の「発がん性」を問題視する。
『動物実験では、肝臓肥大、成長抑制、染色体異常を引き起こすことなどが報告されています。 さらに添加物には「相乗毒性」といって、別の物質が組み合わさると毒性を持つケースがある。 たとえば、ハムやソーセージには、ソルビン酸に加えて、肉の色をよく見せるために発色剤「亜硝酸ナトリウム」が使われていることが多い。 ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが混ざると、発がん性物質ができることは世界的に有名な話です。」

 たしかに動物実験での肝臓肥大、細胞試験での染色体異常というのは有るが、これは安全性評価のために通常の使用量より遙かに大量に使用した場合のことで有る。
 EUでの安全性評価は次の通り

(1)ソルビン酸は他の短鎖脂肪酸と同様に生体内で容易に代謝される。ヒトとラットの間で本質的な相違はない。
(2)10%までの長期混餌投与において、ソルビン酸はマウス及びラットに対し発がん性を示さないと判断される。
(3)ソルビン酸ナトリウムのin vivo 及びin vitro の試験系において、一部で弱いながら遺伝毒性を認めた。その毒性メカニズムは不明瞭であるが、ソルビン酸ナトリウムの分解物によるものであると考えられた。しかしながら、ソルビン酸カルシウム及びソルビン酸カリウムではこの分解物は発生しない。
(4)ソルビン酸カリウムはラット及びマウスに対し催奇形性を示さない。
(5)ソルビン酸またはソルビン酸カリウムと亜硝酸塩の共存下における遺伝毒性物質の生成に関する試験結果の一部が相互矛盾のために信頼できず、また、通常条件下ではヒトの健康に対するハザードがない。
(6)ソルビン酸及びソルビン酸カリウムが特定のヒト集団に過敏性反応、特に接触性蕁麻疹を起こすとの報告がある。 
 添加物評価書 ソルビン酸カルシウム  

 JECFA(FAO/WHO食品添加物専門家会議)の安全性評価

 JECFA は1961 年、1965 年にソルビン酸、同カルシウム塩及び同カリウム塩について評価を実施し、1973 年の第17 回会議において、ラットの長期毒性試験でのNOEL 2,500 mg/kg 体重/日に安全係数100 を適用して0~25 mg/kg体重/日(ソルビン酸換算)のグループADI を設定している。
添加物評価書 ソルビン酸カルシウム

 郡司センセの問題視する発がん性は、国際機関等は問題視していないことになる。

 同じくトンデモ系の小藪浩二郎センセが訳のわからない事を書いている。

 ソルビン酸は、水に溶けにくいがアルコールには溶けやすいという性質がある。 ソルビン酸が多く含まれているのは、かまぼこやちくわなどの寝入り製品です。 つまりお酒のつまみに練り製品を食べると、アルコールにソルビン酸が溶ける。 溶けた物質が、どの様に体内に吸収されるのか、影響があるのか、危険性の有無は、未だ実証されていません。

 あのね、多くの食品添加物は水溶性なんですけどね。
 たしかにソルビン酸は水に溶けにくいけど、そのためにソルビン酸カリウムなど、よく水に溶けるソルビン酸塩が用いられるんですけど。

 >溶けた物質が、どの様に体内に吸収されるのか、影響があるのか、危険性の有無は、未だ実証されていません。
 摂取した添加物の体内動態は添加物の評価の対象ですけどね。
 食品添加物の専門家と言いながら、この様なアホなコメントを出すとは。

 更に、ソルビン酸と亜硝酸塩の関係については

 ソルビン酸と亜硝酸ナトリウム等の反応生成物に遺伝毒性等が見出されることが報告されている。ただし、ソルビン酸と亜硝酸塩の反応生成物は通常の使用状況下とは異なる極めて限られた条件下で生成することに留意する必要がある。
SCF では、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムと亜硝酸塩の共存下における遺伝毒性物質の生成に関する試験結果の一部が相互矛盾のために信頼できず、また、通常条件下ではヒトの健康に対するハザードがないとしている。
添加物評価書 ソルビン酸カルシウム
注)SCFは(Scientific Committee on Food、食品科学委員会)は欧州委員会に対して、食品安全に関する科学的な助言を行っていたが、2003年に欧州食品安全機関(EFSA)に引き継がれた。

 食品ではソルビン酸と亜硝酸塩が同時使用されても安全性に問題ないとされている。

 お次はナイシン。
 ナイシンは乳酸菌のLactococcus lactisが発酵によって作り出す多環式抗菌ペプチドであり、食品添加物の分類は保存料になっている。

 しかし、大きな問題は、原材料名に『保存料(ナイシン)』と書くと印象が良くないので、「発酵風味料」「発酵調味料」と表記するケースがあることです。 このような場合には、そもそもナイシンを保存料として表示する義務が無いんです。 乳酸菌を使って培養した「発酵風味料」は他にもあるので、そう表示されると、ナイシンがはいっているかどうか判りません。

 小籔センセ、また大ウソを書いている。
 発酵調味料、発酵風味料は、あくまでも食品を発酵させてできた食品でり、ナイシンとは全く別物。
 鶏卵の卵黄には食品添加物として使われるレシチンを含んでいる。
 鶏卵や鶏卵から作った卵黄油は食品であるが、鶏卵から抽出したレシチンは食品添加物として扱われる。
 食品を乳酸菌で発酵させた物をそのまま使えば食品扱いで、発酵調味料や発酵風味料の表示ができるが、抽出したナイシンは添加物となる。
 ナイシンは添加物の分類は保存料であり、更に用途名表記の必要な物質であり、使用した場合は「保存料(ナイシン)」の表示が義務づけられている。
 ナイシンを使用して発酵調味料や発酵風味料の表示をしたら食品衛生法違反である。
 ま、Lactococcus lactisの発酵で作った食品にはナイシンが含まれるかも知れないが、保存料としては役に立たない濃度であろう。
 ちなみにナイシンを抽出した残留液は、機能性発酵調味料の原料となる。
 新規二段階乳酸菌発酵・精製法を利用した微生物制御剤等の開発   

 食品からナイシンを摂取しすぎると、食品に含まれている耐性菌が体内に入ってしまい、本当に抗生物質が必要になった時に効かなくなる恐れがあると指摘されています。

 実際のところどうかというと・・・

 ナイシンへの暴露は、L. monocytogenes の抗生物質アンピシリンとクロラムフェニコールに対する耐性菌出現頻度に影響を与えない、種々のグラム陽性病原菌において、抗生物質多剤耐性獲得はナイシンに対する感受性に影響を与えない、ナイシンと33 種の抗生物質間の交差耐性注6を調査した結果、Staphylococcus aureus のペニシリン耐性菌は野性株に比べナイシンに対して50 倍以上の高い感受性を示した等の研究から、バクテリオシン耐性が抗生物質に対して交差耐性を示す可能性は極めて低いと考えられるとされている。
また、頻用される医療用抗生物質の標的となる一般的な病原微生物の感受性に、ナイシンが影響を与える可能性について検討するために、各菌株を2.5 μg/mL のナイシン含有培地又は非含有培地で24 時間培養した後、抗生物質の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。全てのグラム陰性細菌はナイシン非感受性であった。
感受性菌であるStaphylococcus 属では、ナイシン含有培地ではナイシンに対する感受性が低下した。
その他の医療用抗生物質に対しては、有意な感受性の低下は認められなかった。
以上から、ナイシンによる医療用抗生物質に対する交差耐性は認められないとされている。
ナイシンは、その化学構造、物性、作用機序、交差耐性、消化管酵素による影響などから、一般に言われる抗生物質又は抗菌性物質とは異なる範疇の物質と言える。
海外における使用経験からも特段問題となる報告はなく、食品添加物として使用しても、ヒト腸内細菌をはじめとする各菌種に影響を与える可能性は極めて低いと考えられる。
添加物評価書 ナイシン  

 食品添加物として使うには特段問題ないということになる。
 自称、食品の専門家とはいえ、非常にいい加減というか無責任である。

 お次はグリシン

 このグリシンについて、「睡眠導入作用がある」と小籔さんは指摘する。
「グリシンには眠くなる作用があり、市販の睡眠サポートサプリメントにも使われています。 しかし驚くのは、サプリメント1回分に含まれるグリシンの量が約3gの一方で、コンビニのお弁当やおにぎり、サンドイッチなどには3g以上のグリシンが含有されている。それくらいの量を使わないと日持向上剤としての効果が無いのです。」 グリシンが添加された食品を食べた事によって、突然の強い眠気に襲われ、交通事故を起こす人もいるかも知れない。

 >このグリシンについて、「睡眠導入作用がある」と小籔さんは指摘する。
 グリシンに睡眠導入作用があるわけでは無い。
 グリシンの睡眠に関するメカニズムは解明されていて、睡眠後に深部体温が低下してノンレム睡眠の時間が長くなり、結果として深い睡眠となることが判っている。
 アミノ酸“グリシン”摂取により、入眠時の深部体温を低下させ、睡眠の質・睡眠量が改善されることを発見  
 >グリシンが添加された食品を食べた事によって、突然の強い眠気に襲われ、交通事故を起こす人もいるかも知れない。
 グリシンの作用と言うより、満腹になって眠気に襲われる可能性が高いと思うが・・・・・・
  
 >3g以上のグリシンが含有されている。それくらいの量を使わないと日持向上剤としての効果が無いのです。
 グリシン単独のの静菌作用は弱く、1%以上の濃度が必要とされる。
 しかしグリシンを多く添加すると,食品が焦げやすくなったり,グリシン特有の味が風味を損なったりするなどのデメリットを生じやすくなるとされ、大量に使うわけにはいかない。
 主要な保存料・日持向上剤の抗菌メカニズム ―どこまで解明されているか?   
 ところが、エチルアルコール、食塩、酢酸ナトリウム、酢酸などと併用することで少量のグリシンでも静菌作用が期待できるため、グリシン単独で使われることは少ない。
 グリシンと二, 三の薬剤の抗菌力併用効果  
 主要な保存料・日持向上剤の抗菌メカニズム ―どこまで解明されているか? 
 エタノール共存下におけるグリシンの大腸菌に対する抗菌作用  
 グリシン入りのおにぎりで居眠り運転など、極めて可能性は低いと思われる。
 
 お次はビタミン類。

 最も紛らわしい添加物といえば、ビタミン」だろう。 原材料名に、「ビタミン」と書いてあるのを見て、健康に良さそうだと勘違いしていないだろうか。 「これらは栄養目的ではない」と阿部さんは言う。「ビタミンCは酸化防止剤、ビタミンB1は日持ち向上剤として使われています」 それらのビタミンは野菜や果物に含まれる天然のビタミンでは無く、合成で作られたビタミンだ。 小籔さんがその危険性をしてきする。「天然型のビタミンCは水溶性ですが、加工食品に入っているビタミンCは合成のビタミンCは油溶性ビタミンCの場合もあるのです。 ビタミンが食品を守るように酸化することで、食品自体の酸化を防いでいます。 酸化して変質したビタミンCの安全性は、未だ明確に判って言いません。

 ビタミンCの化学名は「L-アスコルビン酸」の事で有り、鏡像異性体の「D-アスコルビン酸」は生理作用が無く、ビタミンCと呼ばれるのは「L-アスコルビン酸」であり、普通「アスコルビン酸」と呼ばれるのはL型の方である。
 L-アスコルビン酸は強い還元性があり、自ら酸化してL-デヒドロアスコルビン酸となることで食品の酸化を防止する。
このL-デヒドロアスコルビン酸もビタミンCとしての効力値は、L-アスコルビン酸と同等とされ、日本食品標準成分表でもビタミンCは「L-アスコルビン酸」とL-デヒドロアスコルビン酸」の合計値となっている。
 日本食品標準成分表、ビタミン 

 >加工食品に入っているビタミンCは合成のビタミンCは油溶性ビタミンCの場合もあるのです。
 天然のビタミンCも合成ビタミンCも同じ物質で、天然も合成も全く同じ体内動態である。
 ビタミンC誘導体の中には、パルミチン酸アスコルビルの様な油溶性の物質もある。
 パルミチン酸アスコルビルはEU等は食品添加物として扱われるが、日本では食品添加物の指定はない。(化粧品原料としては認可)
 小籔浩二郎センセ、相変わらずデタラメな事を言っている。

 次はビタミンB1

 また、梅干しの保存などによく使われているビタミンB1とは、「ラウリル硫酸塩」のこと。 豚肉や大豆に含まれるビタミンB1には日持ち効果はありません。 安全性が論議されてる合成ビタミンB1を、さも天然の栄養成分のように表記するというのは到底納得できません。

 まずは小籔センセの嘘を。
 >梅干しの保存などによく使われているビタミンB1とは、「ラウリル硫酸塩」のこと。
 ビタミンB1の正式物質名は「チアミン」でありビタミンB1と表記できる物質として、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンセチル硫酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル硫酸塩等があり、 いずれもビタミンB1としての効力がある。
 ビタミンB1として表記できるのは「チアミンラウリル硫酸塩」であり、「ラウリル硫酸塩」とは全く別の物質であり、小籔宣せのデタラメぶりを露わにしている。
 チアミンラウリル硫酸塩は学校給食の米飯のビタミンB1強化のための添加物であったが、チアミンラウリル硫酸塩を使った米飯が傷みにくい事から、日持ち向上剤としての性質が見つかった経緯がある。
 株式会社タイショーテクノス 
 ビタミンB1は特有のビタミン臭があり、水溶性にも問題があるため、チアミンラウリル硫酸塩等などが使われ、これらの物質は国際的な安全性評価が行われていて、安全性に問題ないという評価がされている。
 ちなみにチアミンラウリル硫酸塩1gは、医薬品としても使われるチアミン塩酸塩0.413gに相当する。

 まぁ、郡司和夫センセ、小籔浩二郎センセ、阿部司センセといったトンデモ系センセ連中のコメントばかり引用するから、トンデモ記事、デタラメ記事になるのは必然という事になる。

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