栄養学博士の白鳥早奈英センセってホントに栄養学博士???

 

 現代ビジネスに「納豆に生卵を「混ぜてはいけない」最悪の場合は毒になる「薬」と「食べ物」危ない組み合わせ」 と言う記事が載っていて、 栄養学博士の白鳥早奈英氏がコメントしているが、ホントに栄養学博士と疑いたくなる内容ばかりである。

 「きゅうりは赤ピーマンやブロッコリーと一緒にサラダに入れがちですが、やめたほうがいい。きゅうりに含まれるアスコルビナーゼという酵素が、ビタミンCを壊してしまうからです。
 この酵素は生のニンジンやカボチャにも含まれます。ただし、切ってから酢をかければ無効化できます」(栄養学博士の白鳥早奈英氏)

 キュウリやニンジンには アスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)が含まれ、これがビタミンCを破壊すると言われていた。
 L-アスコルビン酸は還元型ビタミンCとも呼ばれ、アスコルビナーゼの作用で酸化されL-デヒドロアスコルビン酸になり、酸化型ビタミンCとも呼ばれる。
 L-デヒドロアスコルビン酸は以前はビタミンCとしての効果を失うと言われていたが、体内に吸収されて還元されL-アスコルビン酸に戻り、その効果はL-アルコルビン酸と同等とされる。
 そのため1982年の4訂日本食品標準成分表より、ビタミンCは還元型と酸化型を合計した値として掲載されている。

 ビタミンCは、生体内の各種の物質代謝、特に酸化還元反応に関与するとともに、コラーゲンの生成と保持作用を有する。
 さらに、チロシン代謝と関連したカテコールアミンの生成や脂質代謝にも密接に関与している。
 欠乏により壊血病等が起こることが知られている。
 食品中のビタミンCは、L-アスコルビン酸(還元型)とL-デヒドロアスコルビン酸(酸化型)として存在する。
 その効力値については、科学技術庁資源調査会からの問合せに対する日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会の見解(昭和51年2月)に基づき同等とみなされるので、成分値は両者の合計で示した 。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)  24ページ

 白鳥早奈英センセのコメントは 40年以上前の知識という事になる。

 思ったように栄養が吸収できない組み合わせは他にもある。白鳥氏は続ける。
 「玄米とごぼうのように、食物繊維が多いものを一度に食べすぎるのもオススメできません。食物繊維はカルシウムやマグネシウムの吸収を阻害するため、摂りすぎるとミネラル不足になります」

 これに関しては大量摂取した場合の研究結果によるもので、通常の摂取量であれば問題はないとされる。
 無視の今の日本人は食物繊維の摂取量が不足していて、むしろ積極的にに摂取すべきとされる。
 食物繊維およびその他ルミナコイドのミネラル吸収促進効果

「一緒に食べてはいけないのはゆで卵です。
 卵を茹でることで発生する硫黄が鉄と結合し、体内に吸収されなくなってしまいます。
 ただし、スクランブルエッグや目玉焼きであれば、殻を割った時に硫黄が空中に逃げるので、鉄分を含む食品と一緒に食べても問題ありません」(白鳥氏)

 >スクランブルエッグや目玉焼きであれば、殻を割った時に硫黄が空中に逃げるので~
 これも非常にトンチンカン。
 卵には分子中に硫黄を含む含硫アミノ酸のメチオニンとシスチンを豊富に含む。
 メチオニンとシスチンは安定した物質で、卵の殻を割った位では硫黄が空中に逃げるという事は無い。
 ゆで卵を作る時に加熱時間が15分を超える頃から熱により、含硫アミノ酸に含まれる硫黄が水素と反応して硫化水素となり、卵黄中に豊富に含まれる鉄分と反応して硫化鉄となる。
 従って硫化水素が発生したかどうかは、ゆで卵の卵黄が黒ずんでいるかどうかで判る。
 ゆで時間が15分以内であれば硫化水素の発生はほとんど起きない。
 硫化鉄で黒く変色したゆで卵を食べても健康に影響は無い。
 硫化水素は自殺に使われる位に非常に有害だが、卵をゆですぎて発生した硫化水素は微量であり、ほうれん草などと食べ合わせても若干吸収率が低下するかもしれないが、大きな影響は無い。
 ちなみにきれいな固ゆで卵を作りたければ、ゆで時間を12~13分以内に収めれば硫化水素はは発生せず、きれいに仕上がる。

 「他にも鰯、秋刀魚など、青魚を焼くとジメチルアミンという成分が生まれます。
 一方、市販の漬物には発色を保つために亜硝酸塩が含まれていることが多い。
 この二つの成分が合わさると、発がん性物質ができるといわれています」(白鳥氏)

 >市販の漬物には発色を保つために亜硝酸塩が含まれていることが多い。
 漬物の発色に亜硝酸塩を使うって聞いた事も無いけど。
 亜硝酸塩を発色剤として使うのはハム、ソーセージなどの食肉製品や、イクラなどの魚卵など限定されている。

 亜硝酸ナトリウム
 亜硝酸ナトリウムは、食肉製品、鯨肉ベーコン、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、いくら、すじこ及びたらこ(スケトウダラの卵巣を塩蔵したものをいう。以下この目において同じ。)以外の食品に使用してはならない。
 使用基準

 漬物に亜硝酸塩を使えば食品衛生法違反。

 更に、”最悪死にます やってはいけない「たべあわせ」10”というアホなリストが載っている。

 1)キュウリX赤ピーマン
  ●ビタミンCが破壊される
  ○キュウリに含まれるアスコルビナーゼという酵素が、ビタミンCを破壊してしまう。

 すでにコメント済みだが、アスコルビン酸はビタミンCを破壊する訳では無く酸化を起こして、酸化型ビタミンCのにしてしまう。
 デヒドロアスコルビン酸のビタミンCとしての効果は還元型のアスコルビン酸と変わりない。

 2)玄米Xゴボウ
  ●ミネラルが不足し、動脈硬化が悪化
  ○食物繊維の取り過ぎでカルシウムやマグネシウムの吸収が阻害されて不足する。

 これもコメント済み。
 通常の食物繊維の摂取ではミネラルの吸収を促進する。
 日本人の食物繊維摂取量は低すぎるので摂取すべき。
 食物繊維およびその他ルミナコイドのミネラル吸収促進効果

 3)ほうれん草Xゆで卵
  ●ほうれん草の鉄分が吸収されなくなる。
  ○ゆで卵に含まれる硫化水素が鉄と結合する。スクランブルエッグなら問題ない。

 これもコメント済み。
 茹ですぎたゆで卵には硫化水素が発生するが、量はわずかで大きな影響は無い。
 心配ならゆで時間を12分程度にすれば、硫化水素はほとんど発生しない。

 4)スイカXビール
  ●急性アルコール中毒の危険性あり。
  ○どちらも利尿作用が有り、水分が排出されすぎて血中アルコール濃度が高くなる。

 アルコール飲料には利尿作用が有り、特にビールは強いと言われる。
 ビールの利尿作用と、アルコール代謝に水が必要なため脱水症になりやすい。
 スイカに利尿作用があると言われるのは、スイカの成分の93%は水で摂取する事により尿量が増える事や、体内でナトリウムと拮抗するカリウムを含み、塩分の排出を促し浮腫がとれやすい事から言われる。
 スイカには糖分やミネラルが含まれ、真水より効率よく吸収される。
 熱帯の発展途上国などでは安全なスイカが安全な水分補給として食される位。
 ビール+スイカで脱水症になる事は無く、スイカを食べる事で水分補給に。
 ただし、カリウムが多いので腎疾患のある人がスイカを食べるのは避けるべきとされる。

 5)納豆X生卵
   ●納豆の有効成分の吸収が妨げられる
   ○卵の白身が皮膚や粘膜にいいビオチンの吸収を阻害。
黄身だけならビオチンを守れる。

 生の卵白に含まれるアビジンがビオチンと親和性が非常に高く、結合するとビオチンの吸収が阻害われるのは間違いない。
 ビオチンは畜肉類、豆類、海藻類、種実類等幅広く含まれていて、ヒトの腸内細菌も作っていて欠乏は起きにくいとされる。

 ビオチン(Biotin)
 ビオチンはカルボキシラーゼの補酵素として、炭素固定反応や炭素転移反応に関与している。
 長期間にわたり生卵白を多量に摂取した場合に欠乏症がみられ、脱毛や発疹等の皮膚障害、舌炎、結膜炎、食欲不振、筋緊張低下等が起こる。
 日本食品標準成分表2020年版(八訂)  24ページ

 つまり、納豆に生卵を加えた位ではビオチンの欠乏は起きないと言う事。
 ちなみに時代小説などで精力を付けるために生卵を飲むという場面があるが、生卵のタンパク質吸収率は約51%に対して、加熱した卵のタンパク質吸収率は約91%であり、栄養面では卵は加熱した方が良い事になる。
 Digestibility of Cooked and Raw Egg Protein in Humans as Assessed by Stable Isotope Techniques   

 6)焼き魚X漬物
  ●発がん性物質が生まれる
  ○焼き魚に含まれるジメチルアミンと漬物に使われる亜硝酸塩が化学変化を起こす。

 コメント済み。
 漬物の発色剤に亜硝酸塩を使うなんて聞いた事が無い。
 なす漬けの色止めにミョウバンとか硫酸第一鉄を使うのは知られているけど。
 そもそも漬物に亜硝酸塩の使用は認められていなく、もし使用したら食品衛生法違反。

 7)しらす干しXゴマ
  ●免疫力が低下&味覚異常になる。
  ○カルシウムの過剰摂取に。
さらにゴマに含まれるフィチン酸によって亜鉛不足になる。

 しかしすべての食物繊維にフィチン酸のようなミネラル吸収阻害物質が多量に共雑して いるわけではなく,近年の疫学調査では実際的な摂取量のフィチンはミネラル吸収に悪影 響は与えないとするものも多く見られる。
 食物繊維およびその他ルミナコイドのミネラル吸収促進効果
 ゴマは焙煎する事によりフィチン酸が大幅に減少するという研究もある。
 Nutrient composition and effect of processing treatments on anti nutritional factors of Nigerian sesame (Sesamum indicum Linn) cultivars.  
 しらす干しにゴマをかけて食べても健康に悪影響を与えるとは考えにくい。

 8)キャベツXワカメ
  ●ヨウ素が不足して代謝が悪くなる
  ○キャベツの成分チオオキサゾリジンが、ワカメに含まれるヨウ素の吸収を阻害する。

 ヨウ素の一日辺りの推奨摂取量は0.13mgとされるが、日本人の推定摂取量は1~3mgとされている。
 環境省_ヨウ素について 
 沖縄県医師会のサイトに甲状腺の病気と食べ物というページがある。

 次に、キャベツやカリフラワーなど(チオ―オキサゾリジンを含む野菜)について。
 チオ―オキサゾリジンは、甲状腺ホルモンの生成に関係するヨードの吸収を阻害するといわれています。
 そのために、食べ過ぎると甲状腺機能が低下する可能性があります。
 しかし、これらの野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、むしろ健康のために欠かすことができない食べ物です。毎日のように極端に多量に食べない限り、問題はないようです。
 まとめますと、甲状腺の病気では、食べ物に対しあまり神経質にならないこと。また、ビタミン、ミネラルなどが豊富な食べ物を、偏らずにバランスよく食べることです。
 甲状腺の病気と食べ物 

 健康な人が普通に食べるのに何ら問題ないという事。

 9)ジャムXソーセージ
  ●発がん性物質が生まれる
  ○ジャムに使われている防腐剤と保存料が、ソーセージの発色剤と反応を起こす、

 >ジャムに使われている防腐剤と保存料が
 食品添加物に防腐剤は無いんだが・・
 多分、ジャムによく使われる保存料のソルビン酸と亜硝酸塩のことを言っていると思う。

 ソルビン酸と亜硝酸ナトリウム等の反応生成物に遺伝毒性等が見出されることが報告されている。
 ただし、ソルビン酸と亜硝酸塩の反応生成物は通常の使用状況下とは異なる極めて限られた条件下で生成することに留意する必要がある。
 SCF では、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムと亜硝酸塩の共存下における遺伝毒性物質の生成に関する試験結果の一部が相互矛盾のために信頼できず、また、通常条件下ではヒトの健康に対するハザードがないとしている。
 添加物評価書 ソルビン酸カルシウム

 特別な環境下での反応での反応で有り、通常の食品中では起きない反応であり健康に影響を与えるのもではないという事。

 10)豚肉X冷たいそば
   ●胃に負担が掛かり、消化不良に
   ○どちらも体を冷やす作用を持つ食材なので、胃腸に大きな負担がかかってしまう。

 いわゆる冷しゃぶそばで、私の大好物。
 健康は人が食べるのに消化不良など、体調不良になるとは考えにくい。
 
 栄養学博士の白鳥早奈英センセ、ホントに栄養学博士なのか疑いたくなるコメントだが、そのアホなコメントを使うからアホな記事になるのは必然。
 

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