トンデモ渡辺雄二センセ、週刊女性で活動中

 

 自称科学ジャーナリストの渡辺雄二センセ、最近ビジネスジャーナルで見かけないと思った『週刊女性』で活躍中。
 『大腸がんのリスクも、ハムにソーセージ「食べてはいけない加工肉」の見極め方』

 「2015年10月に、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が『ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉を1日50g食べると大腸がんになるリスクが18%高まる』という発表をしました。これは人間が生涯にわたるほどの長期間食べた場合のリスクと考えられますが、消費者にとってはショッキングな内容です」(渡辺さん)

 これは事実であるが、この情報の見方には注意を要するという。
 赤肉・加工肉のがんリスクについて 国立がん研究センター 
 日本人の平均的な摂取量(赤身肉50g、加工肉13g)では、大腸ガンへのリスクに与える影響は無いか、有っても小さいとされる。

 お弁当や朝食など加工肉が食卓にのぼる頻度は高い。なぜ、加工肉を食べると大腸がんになるリスクが高まるのだろうか。
「原因として考えられるのは、食品添加物のひとつである発色剤の亜硝酸Naです。 ハムの原材料である豚肉にはミオグロビンなどの赤い色素が含まれていますが、これらの色素は時間がたつにつれて酸化して赤黒くなるため、ハムは茶色っぽく変色してしまいます。それを防ぐために使われるのが亜硝酸Naです」
 「亜硝酸Naは反応性が高い成分で、肉に含まれるアミンという物質にも反応します。その結果、ニトロソアミン類という物質が生じます。このニトロソアミン類には強い発がん性があるのです」

 渡辺センセは亜硝酸ナトリウムが大腸ガンの影響と断定しているが、・・・・?
 そもそも、IARCは加工肉の食品添加物には言及していない。
 国立がん研究センターの予防研究グループの資料によると違うみたいだが。

 これらの脂肪や肉類高摂取による発がんの機序は,以下のように考えられている。
 すなわち,動物性脂肪の摂取は発がん促進作用のある二次胆汁酸の生成を高め,これが大腸粘膜に作用して発がんのイニシエーターやプロモーターとなる。
 赤肉など動物性蛋白の加熱によっても発がん物質が生成される。 
 大腸がんのリスクファクター 

 肉類を多く摂取すると脂肪の摂取量が増え、脂肪を消化する胆汁の分泌が増える。
 胆汁には肝臓で作り出される一次胆汁酸が含まれるが、一部は腸内細菌により二次胆汁酸となる。
 二次胆汁酸の中で、デオキシコール酸やリトコール酸は強い発がん性が知られている。
 胆汁酸代謝と大腸がん
 また、肉や魚などを高温調理するとアミノ酸と、筋肉組織に含まれるクレアチンの反応で生成するヘテロサイクリックアミン類に発がん性がある。
 食品中に含まれるヘテロサイクリックアミンの安全性評価情報に関する調査   

 食肉加工品の亜硝酸の許可されている使用料は、亜硝酸根として食肉1kgに対して70mgである。
 実際にどの程度添加されているかだが、東京都などの食品衛生の収去検査のデータがある。
 当センターの発色剤検査結果 東京都健康安全研究センタ-  
 検出量は平均値で7mgで使用基準の1/10であった。

 野菜類、特に葉菜には硝酸塩が多く含まれる。
 植物の三大栄養素として、リン、カリウム、窒素がある。
 元素としての窒素は気体で植物には直接利用できず、多くの植物は硝酸態窒素でないと利用できない。
 窒素は植物の生長に欠かせない元素で、過剰な窒素は硝酸塩の形で備蓄され、多くは葉の部分にため込まれ、結果としてホウレン草の様な葉菜類に多く含まれる事になる。
 食物として摂取した硝酸塩はほぼ全量が吸収され、約25%が唾液中に排出され、口内細菌により還元され亜硝酸塩となる。
 唾液中の硝酸塩の5~7%、最大で20%が亜硝酸塩になるとされる。
 清涼飲料水評価書 硝酸性窒素・亜硝酸性窒素   

 日本人が食品(野菜)から摂取する硝酸塩は次の通り
 ・1~6歳:129 mg
 ・7~14歳:220 mg
 ・15~19歳:239 mg
 ・20~64歳:289 mg
 ・65歳以上:253 mg
 食品安全委員会が自ら食品健康影響評価を行う案件の候補について  
 20~64歳の平均の硝酸塩摂取量は289mgになる。
 これがほぼ全量が吸収され、約25%が唾液中に排出される。
 289X0.25=72.3mg
 これは硝酸塩の量であり、硝酸塩=硝酸カリウムとした場合の硝酸根は44.5mg
 これの5%が亜硝酸根になると
 44.5X0.05=2.2
 NO2/NO3=0.74
 2.2X0.74==1.95mg
 1.95mgの亜硝酸根となる。

 7%が亜硝酸塩に還元された場合は
 44.5X0.07=3.1
 NO2/NO3=0.74
 3.1X0.74==2.3mg

2.3mgの亜硝酸根となる。

 東京都の調査によれば食肉加工品の亜硝酸根の平均値は基準の1kg中70mgの1/10の7mgであった。
 ハム・ソーセージを毎日100g食べるとは思えないが、100g食べたとして食肉加工品からの亜硝酸根の摂取量は
 7X(100÷1000)=0.7mg
 0.7mgとなる。
 ちなみに日本人の食肉加工品の一日あたりの平均摂取量は13gとなっていて、実際の摂取量はもっと少ない。
 13g摂取だと
 0.7X(13÷100)=0.091mg
 すなわち、食品添加物として摂取する亜硝酸より食物由来の亜硝酸の方が多いことになる。

 IARCの発がん性リスクでは加工肉は、ヒトに対する発癌性が認められるのグループ1で,亜硝酸塩はヒトに対する発癌性がおそらくあるのグループ2Aで、食品中の亜硝酸塩の発がん性については、ヒトでの証拠は限定的であるとしている。
 渡辺センセは食肉加工品の亜硝酸ナトリウムが大腸ガンの原因と言わんばかりだが、繰り返すがIARCは加工肉をグループ1にしているが、添加物には言及していない。
 むしろ、脂肪の過剰摂取による二次胆汁酸や加工で生成するヘテロサイクリックアミンの様な有害物質による可能性の方が格段に高い。
 また、ハムやソーセージは燻煙する場合が多いが、燻す過程でベンゾピレン等の有害物質の生成もある。
 イタリアの博覧会で、かつお節がベンゾピレン類が規制値を超えて輸出できず、大騒ぎとなったこともあった。
 ミラノ博覧会で発覚!「かつお節事件」の衝撃  

 まぁ、渡辺センセの様な人達は食品添加物が有害で無いと飯の食い上げになってしまうが、相変わらずの内容である。
 週刊女性も科学的リテラシーが低いと言うのもあるけど。

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