ノンフィクション作家、奥野修司センセの事実無根記事。

 

 ノンフィクション作家、奥野修司センセの事実無根記事。
 これは、日刊ゲンダイDIJITALに掲載された『GM作物の毒性は2年間の実験で分かるのに行われない不可解』と言う記事。

 がん細胞が発生して、がんの塊になるまで20年以上かかるといわれる。だったら人間の一生に相当する期間をラットに食べさせればいいじゃないかと思うが、実はこれが莫大なお金がかかる。だから企業はやらない。
 ところが、それにチャレンジした人物がいる。
 2012年、フランス・カーン大学のセラリーニ教授だ。世界で初めて遺伝子組み換えトウモロコシの毒性を確かめる長期実験を行った。実験に用いたのは強力な除草剤に耐性のある遺伝子組み換えトウモロコシ。これをラットに2年間食べさせた。2年間というのはラットの一生である。
 結論からいうと、除草剤を使って栽培した遺伝子組み換えトウモロコシを与えたラットは、そうでないトウモロコシを食べたラットの2~3倍の腫瘍ができた。
 また腫瘍が発生するスピードも違っていて、普通のトウモロコシを食べたラットも晩年になると腫瘍ができたが、遺伝子組み換えトウモロコシを食べたラットは4カ月目に腫瘍があらわれ、11カ月目から爆発的に増えた。とくにメスは乳房に腫瘍が多発したという。

 この研究は研究は、グリホサート耐性遺伝子組換えトウモロコシNK603に関する発がん性であったが、セラリーニ教授らの試験で指摘されていた「試験に用いられたラットはそもそも腫瘍が非常に発生しやすい系統である」などの試験手法に問題がある等の指摘があった。
 その直後から、EUの欧州食品安全委員会(EFSA)、日本の食品安全委員会(FSC)をはじめ、ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダなど世界中の公的な安全性審査機関、毒性学の専門家により、科学的な見地から否定され、掲載されたジャーナルから論文は撤回された。
 しかし、「試験を否定するなら同じ条件で追試すべきだ」との意見も多く、同試験の検証のために公的資金による透明性の高いプロセスのもと、大規模な追試が複数行われた。
 なかでも最新で、大規模に行われたのが、EUから資金援助を受けた公的なプロジェクトの「G-TwYSTプロジェクト」であった。
 2014年から2018年の4年間にわたる研究で、セラリーニの研究で使われたNK603トウモロコシを用い、OECD(経済協力開発機構)や EFSAの定める試験手法に沿って、同じ2年間にわたる安全性試験を行った。

 G-TwYSTプロジェクトは、Wistar Han RCCラットを使った給餌試験を実施している。
 Wistar Han RCCラットは、無制限給餌でも比較的体重の増加が少なく、2年間の生存率は雌雄共に75%を越え、主に欧州において従来から安全性試験等に用いられており 特に2年間のがん原性試験等の長期試験に好適とされる。
 亜急性毒性試験として、1つはGMトウモロコシの含有率が11%および33%で、もう1つはGMトウモロコシの含有率が11%、33%および50%の、90日間の給餌試験の2件。
 亜慢性および慢性毒性/発がん性試験として、GMトウモロコシの含有率が11%および33%の2年間の、給餌試験の2件。
 結果として、NK603トウモロコシの発がん性を否定した結果を2019年2月に発表している。
 G-TwYST  
 詳しい研究報告は公開されている。
 Carcinogenicity studies on the glyphosate-resistant genetically modified maize NK603 in Wistar Han RCC rats  

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 この実験はGM推進派を驚かせ、セラリーニ教授に猛烈な抗議が寄せられ、掲載した学術雑誌はこの論文を取り消すという騒動に発展。
 最終的に別の学術雑誌に掲載されたが、論文を批判する前になぜ追試験をしなかったのか。
 誰もが疑問に思うはずだが、誰も追試験をしなかった。お金がかかるから。人間の安全よりもコストなのだ。

 >誰もが疑問に思うはずだが、誰も追試験をしなかった。
 G-TwYSTプロジェクト意外にも追試は行われている。
 少なくとも、誰も追試験をしなかったというのは事実無根である。
 この事を知らないのであれば無知、知っていてこの様な記事を書くのであればきわめて悪質。
 この様な記事をかくのであれば、ノンフィクション作家ではなくフィクション作家の看板替えすべきであろう。

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