奇々怪々、チバニアン騒動

 

 千葉県市原市にある地層「千葉セクション」が地質時代の国際標準模式地(GSSP)に認定されるよう、茨城大学岡田誠教授を代表とする22機関32名からなる研究グループが、国際地質科学連合(IUGS)の専門部会に提案申請書を提出した。

 千葉セクション(ちばセクション、英: Chiba section)は、千葉県市原市田淵の養老川沿いの露頭で見られる、約77万年前の地層。この地層は、更新世の前期と中期の境界を示すものである。
 更新世の前期と中期の境界は、地球史上これまでで最後の地磁気逆転(松山‐ブリュンヌ逆転)が起きた時期である。

 GSSP として認められるためには、いくつかの推奨条件が示されている。
 1.海底下で連続的に堆積した地層であること
 2.地層中に過去の地磁気の逆転が記録されていること
 3.地層の堆積した当時の環境変動が詳しくわかること
 また「誰でも見られる場所にあること」も重視され、「千葉セクション」はこれらを満たす有力な地層である。

 国際地質科学連合は2017年11月に、1次審査で千葉県市原市の地層をこの年代の基準地に推薦すると決定、基準値を争ったイタリアを退けた。

 ところが、岡田誠教授を代表とする研究グループとは別の地質学者らで作る「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」(会長楡井久・茨城大名誉教授)が、「(地磁気逆転の根拠に)約2キロ先の別の地層のデータを使っており、捏造(ねつぞう)だ」などと主張するメールを同連合やイタリアの研究チームに送ったため、審査が中断した。
 Yahooニュース 

 会長の楡井久・茨城大名誉教授だが、この人物非常に奇々怪々な動きをしている。
 朝日新聞によると、2018年1月にこの断層を見学しやすいように、コンクリートブロックで階段を作り、市の担当者は当惑しているとのことだった。
 「チバニアン」斜面に見学用コンクリ階段 市は困惑   

 また、ふじい弘之 千葉県議会議員のフェイスブックによると、ふじい議員と楡井久会長が諸橋千葉県副知事を訪問し、後押しを要請している。
 ふじい弘之 Facebook 

 この段階では「チバニアン」に反対していたようには思えないが、何が気に入らなかったのか、4月になり後ろから銃を発砲するような行動に出たわけである。

 毎日新聞の記事によると、「過去にドーピングをしたスポーツ選手が追放されるのと同じだ。チバニアンは諦めた方がいい」と主張したとのことである。
 全く別次元のスポーツ選手のドーピング問題を持ち出して反対しているようだが、かなり苦しい主張である。
 研究はある仮定を立てて、調査や実験を重ねたうえで正しい結論を出せば良いわけで、最終的なデータや結論に瑕疵やねつ造がなければ問題ない。

 この地層を基準地として申請した研究チームは、「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」の異議を全否定する文書を学会に提出する予定とのことである。
 産経新聞の報道によると、研究チームは別の場所のデータに基づく表示が一部にあることは関係者に説明済みで、学術論文や審査資料には現場の正しいデータを使っており、審査には全く影響しないとしている。
 国際地質科学連合の審査担当者は「不正の根拠が見つからなければ、当初の決定は変わらない」としているが、全くその通りであろう。
 「千葉時代」審査中断 地層データに異議、申請チームは全否定  
 全く言いがかりとしか言えないような異議だが、申請チームの代表も茨城大学の教授で、ネット上では学閥騒動とか取りざたされている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメント一覧

  1. singolingo より:

    GSSPに提出する論文に、楡井久会長の名前をトップに冠して出せば丸く納まります。
    会長が態度を変えたのは、研究者として論文に名前を連ねることが研究者生命を左右するから。
    自身は働きかけをやってきたわけだから当然と考えてるでしょう。
    それが反故にされたのが4月。頭にきて形振りかまわない動きです。
    研究者の道は、本人が何もしなくても論文に名前が載せられれば評価される世界だというのが日本の常識ですので、一番変えなければならないのは、そういった組織を守れば評価される的な属人的エゴを許す学者社会に第三者が入り公正に評価する制度をいれていくことです。

    論文や研究のの評価のあり方を考えるべきでしょう。
    一律的に審査期間が論文を評価するのは辞めて、学者個人が外部にスポンサーをつけて研究費を確保していく方式のほうが適切では?

    • shoen より:

      「論文のトップに名前を載せれば丸く収まる」というのは間違いであると思います。

      以下、古関東深海盆ジオパーク推進協議会
      (https://www.paleokantogeo.org/news/)
      によると、地質学会の会報誌に謝辞として名前を出されたことを取り下げるように地質学会に求めているとのことです。

      同ホームページを見ると、提案チームの論文に捏造・改竄が疑われる箇所があるので、これが協力関係が崩れ、対立を生んだ理由なのでしょう。

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。

CAPTCHA