自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセのトンデモ記事『日用品』

 

 自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセが、食品で食い詰めたのか、日用品にまで進出した様である。
 『特に健康被害の恐れがある日用品リスト15…洗剤、シャンプー、歯磨き粉』 
「 とくに使ってはいけない15商品」を挙げたそうです。
 内容は、バカ記事というかトンデモ記事ですが・・・・・・。

 まずは消臭スプレー

 ・消臭スプレー(A社)
 同業他社のHPでは「除菌成分には、第四級アンモニウム塩が配合されている」と断じています。
 第四級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウムが含まれる陽イオン界面活性剤です。
 細菌の細胞膜を破壊して殺菌しますが、人体内に侵入すれば健康被害が出る恐れがあります。

 塩化ベンザルコニウムは第4級アンモニウム塩、モノアルキル4級アンモニウム塩等と総称される、陽イオン界面活性剤の1つ。
 導電性があるため、柔軟剤やシャンプーに帯電防止剤として配合される場合が多い。
 医薬品としての消毒薬としては、塩化ベンザルコニウム、塩化塩化ベンゼトニウムなどが有る。
 医薬品用として塩化ベンザルコニウム0.05~0.2%液を、手術室、病室等の消毒で噴霧という使用方法もある。
 塩化ベンザルコニウムのヒト経口推定致死量:50~500mg/kgとされ、成人が希釈液(0.02~0.2%)を少量誤飲してもあまり害はないとされている。
 急性中毒情報ファイル第4版,廣川書店

 新生マウスで。1.25 mg/kg 体重以上の連続経口投与で,対照群と比べて有意な死亡率増加傾向が見られたとする研究もある。
 市販家庭用消臭除菌剤に配合される 4 級アンモニウム化合物のマウス新生仔および成獣における一般毒性指標に及ぼす影響
 欧州食品安全機関(EFSA)は一日許容摂取量を0.1 mg/kg/体重/14日と設定している。
 消臭スプレーとしての用途で健康被害が出る恐れは低いと思われる。
 
 柔軟剤

 ・柔軟剤(B社)
 どんな合成香料を使用しているかは企業秘密。
 経皮毒のある合成界面活性剤も使用されている柔軟剤で、周囲の人にも被害を与える危惧のある商品。

 「経皮毒」というのは学術用語ではない。
 「経皮毒」は、東京薬科大博士課程を終了した竹内久米司という薬学博士が作った造語である。
 この人、「経皮毒―皮膚から、あなたの体は冒されている!」といったトンデモ本を多く出している。
 「経皮毒」という単語が出てくればトンデモ系と思って良い。
 
 「皮膚毒性」「経皮吸収作用」「経皮吸収」というのは有るが。
 皮膚から吸収される薬剤もあり、現実に経皮吸収型製剤もある。
 エストラーナテープ
 ニコチネルTTS 
 ニトロダームTTS 
 そもそも日用品に経皮吸収作用の有る物質は使用できない。
 なお柔軟剤は、化粧品等の様に品質等の表示に関する法律上の規制は無いが、自主基準がある。
 衣料用柔軟仕上げ剤の品質表示自主基準   

 歯磨き

 ・歯磨き粉(C社)
 配合されているフッ素の人体影響については、「急性:吸入……脳を刺激し肺水腫を起こす。深刻な火傷(化学性・熱性)。
 高濃度の場合、呼吸器障害で死亡、5~10ppmに長時間で目、鼻、口腔内の粘膜が刺激される。
 皮膚は100%フッ素に直接触れると、0.6秒以内に熱性火傷を負う」と、『危険・有害化学物質プロフィル100』(及川紀久雄著/丸善刊)に記載されています。

 Σ(゚Д゚) 
 何で、フッ素(F2)の毒性が出てくるの?
 歯磨きに含まれるのはフッ素化合物(主にフッ化ナトリウム)で、フッ素ではない。
 フッ化ナトリウム自体は薬機法で劇薬に指定されているが、フッ化ナトリウムを含む歯磨き、口洗剤は劇薬ではない。
 歯磨剤にはフッ素イオンとして最大1500ppmのフッ素の配合が認められている。
 薬生薬審発 0317第1号 薬生安発 0317第1号  

 フッ化ナトリウムを含む歯磨き、口洗剤等を危険とする意見があるが、安全性に問題ないとするのが主流である。
 フッ素の安全性に関する質問主意書  
 衆議院議員松沢俊昭君提出フッ素の安全性に関する質問に対する答弁書 
 フッ化ナトリウムのリスク評価について  
 フッ化物局所応用実施マニュアル  

 浴室用洗剤

 ・浴室用洗剤(D社)
 汚れに直接スプレーして洗い流すタイプ。
 使用されているポリオキシエチレンアルキルエーテル(POER)は非イオン系合成界面活性剤で、「タンパク質変性作用を持つ。発がん性物質のジオキサンが混入する可能性あり」と『経皮毒データブック487』(稲津教久著/日東書院本社刊)に指摘されています。
 また、ジプロピレングリコール系溶剤(DPG)は湿潤剤・保湿剤で、消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性や溶血作用があり、染色体や赤血球が減少するという報告があります。
 防カビ剤は細菌やカビを殺したり、増殖を抑える目的で開発されたもので、人体に有益な菌にも大きな影響を与えます。
 それが人の健康や環境にどんな悪影響を及ぼすのか心配されます。

『日用品が危ない-経皮毒データブック487』(稲津教久著/日東書院本社刊)というのは、ハッキリ言ってトンデモ系。
 著者の稲津教久氏は、「経皮毒」という単語を作り出した竹内久米司氏と共著で出版している。

 ポリオキシエチレンアルキルエーテルはヒト及びラットが経口摂取すると、速やかに吸収・代謝され、大部分が尿中に、糞中及び呼気中に少量排泄される。
 経皮暴露された場合、経皮吸収は少なく、大部分は吸収されずに皮膚表面にとどまる。
 ヒトに対して無刺激から軽微の皮膚一次刺激性を示すが、皮膚感作性を示さないことが示唆される。しかし、湿疹患者に皮膚感作性を示す可能性が有る。
 生殖・発生毒性、遺伝毒性、発がん性は認められない。
 有害性評価書 ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル 

 ジプロピレングリコ-ル
 >また、ジプロピレングリコール系溶剤(DPG)は湿潤剤・保湿剤で、消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性や溶血作用があり、染色体や赤血球が減少するという報告があります。
 
40,000ppm(4%)、80,000ppm(8%)という、極めて大量投与した場合の話で、普通は浴室用洗剤は飲まない。
 洗剤としての使用での健康被害のリスクはきわめて小さい。
 ジプロピレングリコ-ル/日本医薬品添加剤協会  

 コンタクトレンズ保存液

 コンタクトレンズ保存液(E社)
 コンタクトレンズの保存液は目に触れるものですから、配合されている成分には十分な注意が必要です。
 この商品ではエデト酸塩が金属イオン封鎖剤として使用されているのが気になります。
 「皮膚、粘膜、目を刺激する」(『改訂版食品・化粧品危険度チェックブック』体験を伝える会 添加物110番/編より)との指摘があります。
 どうしても同製品を使う場合は、レンズのこすり洗いとすすぎを忘れないようにしてください。

 エデト酸塩と言っても、何種類もある。
 コンタクトレンズ保存液や化粧品に使われるのはエデト酸2ナトリウムで、皮膚及び目に対する刺激性は無いとされる。
 一方、エデト酸塩でも、エデト酸4ナトリウムは皮膚や目に対する刺激性がある。
 なお、エデト酸の正式名称はエチレンジアミン四酢酸
 化学物質の初期リスク評価書暫定版No.14エチレンジアミン四酢酸 
 刺激性の違いはpH濃度の違いによる。
 5%水溶液のpH は
 エデト酸2ナトリウム:4.2~4.8
 エデト酸4ナトリウム:10~12
 単にエデト酸ナトリウム、エデト酸塩とされているのはエデト酸2ナトリウムのこと。
 EDTA-2NaとEDTA-4Naの性能の違い 
 ちなみにエデト酸2ナトリウムは、点眼薬等の医薬品にも用いられる。
 エデト酸ナトリウム水和物 

 食器用洗剤

 ・食器用洗剤(F社)
 テレビCMを見て、あんなに簡単に油汚れがきれいになるのなら、ということで毎日の食器洗いに使う洗剤を選んでいないでしょうか。
 洗浄能力が高いのは合成界面活性剤を使用しているからです。
 手肌のタンパク質を破壊して手荒れを招くうえ、皮膚から体内に吸収、妊娠中の方なら、胎児に異常をきたす恐れもあります。
 肌荒れや手荒れが心配な人や子どもが使用の際にはゴム手袋を着用するよう注意書きがある場合は、使用はやめるべきです。

 これらの強力な界面活性剤の作用は脱脂で、強力な脱脂作用のために皮膚の表面から油脂が失われるために、自然の保湿成分の溶出、皮膚外層タンパク質の変性、外層の透水性と腫脹の増加を起こすわけである。
 >手肌のタンパク質を破壊して手荒れを招くうえ、皮膚から体内に吸収、妊娠中の方なら、胎児に異常をきたす恐れもあります。

 洗剤は『有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律』の適用を受けていて、そもそも皮膚から体内に吸収されるような物質の使用は認められない。
 郡司センセは皮膚から吸収される界面活性剤と言っているが、どの界面活性剤が皮膚から吸収される訳???
 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則 

 シャンプー

 重要なことは、子ども用シャンプーやベビーシャンプーを過信しないことです。
 天然由来成分の「緑茶エキス」「ヒアルロン酸」の配合、「目にしみにくい弱酸性タイプ」などを強調したベビー用シャンプーがありますが、国際的に発がん性が確認されている合成界面活性剤の「コカミドDEA(ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド)」が使用されているのもあります。
 また、殺菌剤・防腐剤として「フェノキシエタノール」が添加されている製品が多いですが、この物質は、皮膚や粘膜を刺激、皮膚から体内に吸収されると麻酔に似た作用を起こします。
 子ども用シャンプーはさまざまな製品が出回っていますが、子どもに安全なシャンプーは、無添加のせっけんシャンプーです。

 確かにココナッツ油ジエタノールアミンに弱い発がん性があるという研究はある。

 雄雌各50匹のF344/Nラットに、ココナッツ油ジエタノールアミン凝縮物、0、50または100mg/kg/体重を1週間に5回、104週間経皮投与した。
 50mg/kgの雌では、尿細管腺腫または癌腫(併発)の発生率がわずかに増加した。
 雌ラットでは、慢性活動性炎症、上皮過形成、および前胃の上皮潰瘍の発生率が用量とともに増加し、その増加は100 mg / kg群で有意であった。
 雄雌各50匹のB6C3F1マウスに、ココナッツ油ジエタノールアミン凝縮物0、100、または200 mg/ kg体重を1週間に5回、105週間経皮投与した。
 肝臓腫瘍 (肝細胞腺腫、肝細胞がん、肝芽腫) の頻度増加 (雌雄)、及び腎尿細管の腺腫及び腺腫とがんの合計頻度増加 (雄) が認められとしている。
 これらの結果から、ヤシ油ジエタノールアミン縮合物が弱い発癌物質であることを示唆している
 TOXICOLOGY AND CARCINOGENESIS STUDIES OF COCONUT OIL ACID DIETHANOLAMINE CONDENSATE  

 ヤシ油ジエタノールアミン縮合物は国際がん研究機関 (IARC)の発がんリスク一覧では、ヒトに対する発癌性が疑われるのグループ2Bとなっている。
 ちなみにアジア式漬け物もグループ2Bとなっている。
 日本だけで無く、ヤシ油ジエタノールアミンは界面活性剤として広く使われていて、シャンプーや洗剤用途では発がんリスクは低い。
  
 >また、殺菌剤・防腐剤として「フェノキシエタノール」が添加されている製品が多いですが、この物質は、皮膚や粘膜を刺激、皮膚から体内に吸収されると麻酔に似た作用を起こします。
 2-フェノキシエタノールとも呼ばれる。

 急性毒性
 ウサギ:LD50=2257mg/kg-5548mg/kgの範囲の結果が6件あり(SIDS(Access on November. 2008))何れも区分外である。
 皮膚腐食性/刺激性
 Technical gradeを使用した、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404)において、「not irritating」の結果があり(SIDS(Access on November. 2008))、またヒトの影響として2736人にパッチテストを行った結果、刺激性はなかったとの報告がある。
 その他にヒトで刺激性試験を行った結果「刺激性なし」との報告が複数ある。
 皮膚感作性
 モルモットを用いたmaximization test において「not sensitizing」の結果が2件あり(SIDS(Access on November. 2008))、ヒトへの影響として501人の患者でパッチテストを行った結果、「not sensitizing」の報告がある(SIDS(Access on November. 2008))。
 また25人の患者での3試験のパッチテストの結果において「not sensitizing」の報告が複数ある。
 GHS分類結果 名称:2-フェノキシエタノール 

 皮膚に対する刺激性、経皮吸収のリスクは低いと思われる。
 フェノキシエタノールは魚類の麻酔に使用されるが、シャンプーとして使用した場合の影響は無い。
 フェノキシエタノールの使用量には規制があり、1%以下となっている。
 2003年の研究だが、市販の化粧品類42点のフェノキシエタノールの使用量は、最低:0.009%、最高:1.043%、平均0.266%となっている。
 市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究
 シャンプー類のフェノキシエタノールの健康へのリスクは低い。
 日焼け止めクリーム

 ・日焼け止めクリーム(H社) 
 「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」は、皮膚に刺激を与え、アレルギーの原因になります。

 ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは別名、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル。

 皮膚一次刺激性試験においては適用した日に非常に軽度な紅斑が3例中2例で観察され、本成分の皮膚刺激性は軽度であると判断。
 モルモット連続皮膚刺激性試験において、被験物質群及び溶媒対照群ともに8~9日目から紅斑あるいは浮腫が確認されたが、紅斑及び浮腫の発現傾向(発現数、発現日)については溶媒対照群と異なら無い事から溶媒によるものと考えられ、連続皮膚刺激性については安全性上問題判断と判断。
 眼刺激性試験は原薬が適用された試験で、適用した日に軽度から中等度の結膜発赤がすべてのウサギで観察され、さらに1例でわずかな分泌物が認められた。
 この場合原薬が適用されたということもあり刺激性を見るには少し過度ではあるかと思われるが、適用後48時間以内にすべてのウサギで症状が消失したことから眼刺激性は安全性上問題のないものと判断した。
 本成分を10%配合した試作製剤0.01gを使用した、ヒトパッチテストでは、試料除去後1時間の反応で紅斑が1例認められたが、除去後24時間の反応はすべて陰性ということで、刺激反応を惹起する可能性はあるが、少ないと判断した。
 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会議事録  
 資料概要 BASFジャパン 
 ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは安全性に問題ないとの判断で、次の基準で使用が認められた。
 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10.0g/100g
 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10.0g/100g
 粘膜に使用されることがある化粧品             7.0g/100g

 酸化チタンはナノサイズ化(毛髪の直径の10万分の1。DNAの直径の2分の1ほどの長さ)されていますが、非常に危険な物質です。
 2009年に東京理科大学薬学部ナノ粒子健康科学研究センターの研究グループは、「マウスの実験で酸化チタンのナノ粒子が次世代の脳神経や生殖系にも悪影響を与える」との論文を発表しています。
 化学物質は皮膚や粘膜からも体内に吸収されますので注意が必要です。

 この東京理科大の研究は皮下投与、要は注射で投与した場合なんだが。
 ナノマテリアルの次世代健康影響―妊娠期曝露が子に及ぼす影響
 酸化チタンで一番問題になるのは吸入した場合であり、経口でも一部は体内に取り込まれる。
 経皮に関しては
 ・ヘアレスラットに塗布し、酸化チタンが角質上層部や毛包漏斗部角質層には認められたが、生細胞領域では観察できなかった。
 ・4週齢の雄豚の耳介背側に連続30日間塗布したところ、角質層、顆粒層から検出されたが真皮からは検出されなかった。
 ・ミニ豚に1日4回、週5日、22日間塗布したところ、表皮で多く、角質層や上部毛包腔で観察されたが、表皮を通過しないことが示された。
 ・ヘアレスマウスの背部皮膚に塗布したところ、90nm以下の酸化チタンが皮膚を通過して全身に移行することが示された。
 有害性評価書 酸化チタン
 ヘアレスマウスに関しては、飼育状態及び論文の記述不備に関して指摘がある。
 集団飼育ではマウス間で塗布部位を舐め合ったり、咬み合ったりすることによって経口摂取された TiO2 が全身へ移行した可能性があり、皮膚剥離した箇所から全身へ移行した可能性が有るとしている。
 種々の暴露経路による二酸化チタンの体内分布及び毒性   
 日焼け止めとしての使用での健康リスクはまず問題にならない。

 トイレ洗浄剤

 ・トイレ用洗剤(I社)
 塩酸が洗浄成分の酸性のトイレ用洗剤です。注意しなくてはいけないのは「混ぜるな危険」の表示を厳守することです。
 酸性の洗剤と次亜塩素酸塩などが主成分の塩素系(漂白剤系)の洗剤が混じると有毒な塩素ガスが発生し、場合によっては命にかかわることにもなりかねません。

 トイレの便器の汚れはアンモニア性の汚れのため酸性の薬剤での洗浄が有効である。
 塩酸そのものもトイレ掃除には使われることがある。
 次亜塩素酸ナトリウムと反応すると塩素が発生するので要注意だが、これは取り扱いの問題で酸性の洗剤が危ないというわけでは無い。
 ちなみに、この塩酸を使った洗剤はサンポールである。
 ガラス製品を水洗いすると、水中のカルシウム等のミネラル分が表面に付着して水垢となるが、サンポールで洗うと水垢がとれて綺麗になる。
 浴室洗剤

 ・浴室用洗剤(J社)
 合成界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、タンパク質変性作用を持ち、発がん性物質のジオキサンが混入する可能性があります。
 また、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、胎児に先天性異常をきたす催奇形性がある化学物質です。
 また、塩化ベンザルコニウムは、人体への刺激が強いとされている陽イオン系合成界面活性剤で、アレルギー性結膜炎を起こす恐れがあります。

 ポリオキシエチレンアルキルエーテル (AE) は、ヒト及び実験動物が経口摂取すると、速やかに吸収・代謝され、大部分が尿中に、糞・呼気中に少量排泄される。経皮暴露された場合、経皮吸収は少なく、大部分は吸収されずに皮膚表面に留まる。
 吸収されたAE はアルキル鎖長が長くなると、呼気中への排泄量が増加する。
 ヒトに対してAE は無刺激から軽微の皮膚一次刺激性を示すが、皮膚感作性を示さないことを示唆している。
 しかし、AE が湿疹患者に皮膚感作性を示す可能性がある。
 化学物質の初期リスク評価書 ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル  
 タンパク質変成など、洗剤用途では健康リスクは低い。

 アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは高級アルコール系(陰イオン)で、第一種指定化学物質名称はポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムとなり、洗剤として広く使われている。。
 >アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、胎児に先天性異常をきたす催奇形性がある化学物質です。

 厚生労働省の「職場の安全サイト」によると
 生殖細胞変異原性 :データがないので分類できない。
 発がん性  :主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
 生殖毒性  :データがないので分類できない。
 職場の安全サイト ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム  
 胎児に先天性異常をきたす催奇形性があるという論文等は見つからなかった。
 取り立てて危険性があるとは思えない。

 キッチン用洗剤

 ・キッチン用洗剤(K社)
 汚れに直にかけるか、布やスポンジにつけてこする液体の食器用洗剤、調理器具などキッチン用洗剤です。
 固い布を使ってこすって食器に傷をつけると洗剤がそこに残留し、体内に口から入る可能性があります。
 また、指定されたとおりに使用しても皮膚から吸収されやすい化学物質が使われていますので、使用は避けるべき製品です。

 馬鹿じゃ無いの??と言うレベル。
 >指定されたとおりに使用しても皮膚から吸収されやすい化学物質が使われていますので、使用は避けるべき製品です。

 容易に皮膚から吸収される物質が日用品への使用が認められるわけが無い。

 洗濯用洗剤

 ・洗濯用洗剤(L社)
 洗浄力がもっとも強力な陰イオン系合成界面活性剤の直鎖アルギルベンゼンスルホン酸塩(LAS)が主成分です。「毒性が強く、皮膚障害の危険性があります」と文献で指摘されています。
 LASは合成界面活性剤のなかでも分解性が悪く、長期間界面活性作用を失わないので、河川に流れ込めば水生生物にも大きな影響を与えます。

 >直鎖アルギルベンゼンスルホン酸塩(LAS)が主成分です。ます。
「毒性が強く、皮膚障害の危険性があります」と文献で指摘されているそうだが、その様な文献は見つからなかった。

 皮膚貼付試験の結果は、ヒトの皮膚はごくわずかの刺激反応のみで、1%までのLAS、AOS、ASの24時間の接触に耐え得ることを示している。
 これらの界面活性剤は、皮膚表面の脱脂、自然の保湿成分の溶出、皮膚外層タンパク質の変性、外層の透水性と腫脹の増加を生じさせる。
 LAS、AOS、ASのいずれも皮膚感作を引き起こすことはなく、湿疹を発症するとの決定的な証拠はない。
 これらの界面活性剤の事故による摂取後において、重度の障害や死亡は報告されていない。
 直鎖アルキルベンゼンスル ホン酸塩および関連化合物 

 取り立てて危険性があるとは思えない。

 制汗剤

 ・制汗剤(M社)
 有効成分のクロルヒドロキシAlは、塩化アルミニウムの水和剤です。
 アルミニウムで汗や体臭が漏れる毛穴をふさぐのです。
 体温の調節や体内の毒素を出すのに汗は重要な役割があります。それをふさいでしまうのですから、どうみても健康に良いとはいえません。
 しかも塩化アルミニウム自体の毒性も心配です。
 眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、さらに経口摂取すると腐食性を示すといわれています。

 >有効成分のクロルヒドロキシAlは、塩化アルミニウムの水和剤です。
 塩化アルミニウムの化学式は無水(AlCl3)、6水和物( AlCl3・6H2O)だが、クロルヒドロキシアルミニウムの化学式は([Al2(OH)n・Cl6-n]m)で表され、塩基性塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムと呼ばれる別の物質である。
 塩化アルミニウムは酸性(5%:pH3)で刺激性が強いが、クロルヒドロキシアルミニウムは弱酸性(pH3.5~5)で刺激性が低い。
 大明化学工業 高塩基塩化アルミニウム 
 ただし、厚生労働省の医薬部外品の添加物リストでは、塩化アルミニウムとして扱われる。
 医薬部外品の添加物リストについて  
 アルミニウムイオンにはタンパク質の収斂作用があり、汗腺を締めて発汗を押さえる作用があるが、その効果は一過性である。
 日本皮膚学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン」も、塩化アルミニウムが多汗症の外用治療薬の主体には塩化アルミニウムが挙げられている。
 原発性局所多汗症診療ガイドライン 
 塩化アルミニウムによる多汗症の治療 
 アルミニウムの化合物のミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム)も同様の作用があり、化粧品への配合も認められていて、手作り制汗剤としてのミョウバン水がある。
 ミョウバン水のページ 

 >眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、さらに経口摂取すると腐食性を示すといわれています。
 塩化アルミニウム自体には腐食性があるが、臭防止剤、制汗剤としては4%以下の配合量であり、通常の使用方法で特に問題は無い。
 安全データシート 塩化アルミニウム 
 安全データシート ポリ塩化アルミニウム液  
 ハンドクリーム

 ・ハンドクリーム(N社)
 毒性の指摘がある成分が複数使われています。
 皮膚を柔軟にする効果があるとされているセタノールは、旧表示指定成分(1980年に当時の厚生省が注意しなければならない化粧品成分として表示を義務付けた102成分)です。
 1,3―ブチレングリコールは湿潤剤ですが、「消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性あり。溶血作用あり。染色体の異常や赤血球の減少の報告」(『経皮毒データブック487(日用品編)』稲津教久/著)と毒性が指摘されています。
 パラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)も旧指定成分で、人体に皮膚障害を起こした経緯があります。
 エデト酸Naは、眼への影響も指摘されています。

 >皮膚を柔軟にする効果があるとされているセタノールは、旧表示指定成分(1980年に当時の厚生省が注意しなければならない化粧品成分として表示を義務付けた102成分)です。
 
 表示指定成分とは、使う人の体質によってごくまれにアレルギーなどの肌トラブルを起こす可能性がある成分として1980年に定められたものであり、2001年の薬事法の改訂で化粧品も全成分の表示が義務付けられたため、旧表示成分と呼ばれるようになった。
 旧表示成分は、まれにアレルギー等の可能性がある物質の表示で、食品の特定原材料の表示と同様で、特に危険性がある訳では無い。
 パラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)も同様である。

 >1,3―ブチレングリコールは湿潤剤ですが、「消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性あり。溶血作用あり。染色体の異常や赤血球の減少の報告」(『経皮毒データブック487(日用品編)』稲津教久/著)と毒性が指摘されています。

 ま、ハッキリ言って『経皮毒データブック487(日用品編)』はトンデモ本である。
 1,3―ブチレングリコールの経口による慢性毒性のデータはある。

 反復投与毒性 (link to TOXLINE)
 1群雌雄各4匹のビーグル犬(7-8週齢)に体重1kg当り1,3-ブチレングリコールを0、3、 6、9又は12g/kg含有する飼料を13週間与えた。9及び12g/kg群に有意な体重増加抑制、てんかん様発作が、12g/kg群に軽度のケトン尿症が認められた。
 血清化学検査で遊離脂肪酸、β-ハイドロキシブチレート及び乳酸の増加が用量反応性を示して認められたが、12g/kg群にのみ有意差が観察された。
 腎機能、肝機能、病理解剖及び病理組織の各検査に異常は認められなかった。6g/kg群では血小板の増加が認められた以外に被験物質に起因する異常は認められず、無毒性量(no toxic-effect dose level)を6g/kgとみなした。

 1群雌雄各4匹のビーグル犬に1,3-ブチレングリコール0、0.5、1 又は3%含有食を2年間与えた。
 摂餌量、一般行動、体重増加、血液検査及び病理組織学的検査に被験物質投与群と対照群の間に差は見られず、3%混餌条件下から換算される投与量(750mg/kg)を毒性変化が認められない上限とみなした。1)  (Scale & Paynter, 1967)

 1群7匹のホルスタイン種の泌乳牛に1,3-ブチレングリコール含有食又は高脂肪食を与えた。
 1,3-ブチレングリコールの4%混餌群では一般行動及び血糖値に異常は認められなかったが、混餌量を5%にすると血液中のケトン値上昇が認められた。1群12匹の未経産の生育牛に1,3-ブチレングリコール5、10、15又は 20%含有食を1週間与えた結果、行動過多、神経過敏、排尿過多、筋肉の振せん及び強直性痙攣が認められた。
 子ウシに1,3-ブチレングリコール10%含有食を5日間与えた結果、上記の異常症状は認められなかったが、血液中及び尿中のケトン体の増加が観察された。
 日本医薬品添加剤協会 1,3-ブチレングリコール 

 皮膚刺激性も少ないという研究もある。

 200人のボランティア(男性80人、女性120人)に対して、水で50%に希釈したブチレングリコール0.9mlを用い、上腕部に,閉塞パッチ試験を行った。
 24時間後パッチを取り除き、部位を0(反応なし)から+4(接触部位より広い範囲の、紅斑、浮腫、小胞)の等級付けをした。
 24時間後試験を再開し、毎週月曜、水曜、金曜の週3回、15回実施して、2週間休止後に24時間パッチ試験を実施したが、刺激性の反応は無かった。

 希釈していないブチレングリコールを、37人の被験者に閉塞状態で、および39人の被験者に半閉塞状態で、腕または内側腕の掌側皮膚に24時間パッチ試験を行った。
 半閉鎖パッチの1人の被験者は軽度の刺激の証拠があったが、他の被験者に反応は観察されなかった
 Final Report on the Safety Assessment of Butylene Glycol,Hexylene Glycol, Ethoxydiglycol,and Dipropylene Glycol

 セタノールや1,3―ブチレングリコールを使用したハンドクリームを使っても健康へのリスクは、きわめて少ない。

 ウェットティッシュ

 ・ウェットティッシュ系製品(O社)
 水の次に成分量が多いのはBG(ブチレングリコール)で湿り気を保つために配合されています。
 BGの毒性に関しては「消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性あり。溶血作用あり。染色体異常や赤血球の減少の報告」との指摘があります。
 次に成分量の多いフェノキシエタノールは、皮膚や粘膜を刺激し体内に吸収される麻酔作用がある抗菌剤です。
 安息香酸Naは犬に1g/kgを超えて与えると、運動失調、てんかんのようなけいれんを起こして死亡したという報告があります。

 ブチレングリコールとフェノキシエタノールは既出なので省略。

 >安息香酸Naは犬に1g/kgを超えて与えると、運動失調、てんかんのようなけいれんを起こして死亡したという報告があります。
 どこから出てたデータかは判らないが、製薬会社の安全データシート にイヌのデータは見つからなかった。
 安息香酸ナトリウムのラットの経口のLD50(50%致死量)は次の通りで会った。
 純正化学:ラット、3140mg/kg 
 国産化学:ラット、4070mg/kg 
 米山化学:ラット、4070mg/kg 
 いずれにしろ、ウェットティッシュの使用が健康上のリスクになるとは思えない。

 ま、郡司和夫センセらしいトンデモ記事であるが、「とくに使ってはいけない15商品」といいながら、A社とかB社とか曖昧な書き方しかしてない。
 さすがに商品名を出すまでの根性は無かったようである。
 この程度の内容で特定の商品名を出せば、営業妨害で訴えられかねない低レベルの記事なので、さすがに商品名は出せなかったのであろう。
 郡司センセの挙げた商品、いずれもそれぞれの本来の使用法であれば問題ないレベルであり、相変わらずのトンデモ記事であった。

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