又も大ボケ、南清貴センセ「牛肉は危険!~~~
南清貴センセが『牛肉は危険!疾病廃棄率は実に85%、消費者はもう安い牛肉を求めるのはやめろ!』という記事を書いている。
前半は「ココイチビーフカツ事件」でこれはその通りだが、問題は後半。
その牛肉に関して、これは厚労省の食肉検査等情報還元調査で、全国での屠畜検査総頭数117万5991頭のうち、病気のため全部または一部を廃棄された数は100万5141頭と発表されています(平成21年度・厚生労働省生活衛生局乳肉衛生課調べ)。実に、その疾病廃棄頭数率85.5%です。
平成21年度と書いてあるが、これがそもそも間違いで、この数字は平成23年度の数字。
平成23年度食肉検査等情報還元調査
第3-1表 と畜場内とさつ頭数
第3-2表 処分別実頭数
第3-3表 疾病別頭数
平成23年度食肉検査等情報還元調査の牛の屠殺数は屠畜場外屠殺がゼロなので、屠畜場内屠殺が屠殺数になり第3-1表によると1,175,991と南センセの平成21年度の数字と確かに合う。
問題はこの後で
>全部または一部を廃棄された数は100万5141頭
の部分。
第3-3表の疾病別頭数を見ると、禁止44、全部廃棄9,793、一部廃棄995,304で44+9793+995304=1,005,141になるが・・・・・
これは病態別頭数で、たとえば一頭に二つ疾病があると二頭とカウントされてしまう。
実際に廃棄されたのは第3-2表の処分別実頭数が一部または全部廃棄された頭数で、第3-2表によると、禁止44、全部廃棄9,776、一部廃棄742,324で44+9776+742,324=752,144となり、病廃棄頭数率は85.5%でなく63.96%となる。
故意に処分別実頭数と疾病別頭数を入れ替えたのか、勘違いしたのかは判らないが、発表された統計を引用する以上故意ならきわめて悪質だし、間違いならあまりにもお粗末。
ところで食肉の検査は非常に細かく、生体検査、解体前検査、解体後検査をして合格、不合格の判定をする。
愛知県食品衛生検査所、と畜検査
生体検査:口蹄疫など家畜伝染病(法定伝染病)の罹患で屠殺禁止
解体前検査:血液検査が中心で異常があれば解体禁止、
解体後検査:異常があれば全部廃棄、または一部廃棄
全部廃棄は解体後検査で全身に及ぶ疾病が見つかった場合
一部廃棄は一部に食用に向かない部位が見つかった場合で、その部分は廃棄となり、これが一番多く打撲による内出血のある部位等も廃棄対象
次の文書は栃木県の資料
栃木県県北食肉衛生検査所平成25年度事業概要
栃木県の食肉検査は県北食肉衛生検査所と県南食肉衛生検査所の2箇所で行われていて、県北食肉衛生検査所の管轄する屠畜場は那須地区食肉センター、農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所那須研究拠点、宮内庁御料牧場簡易と畜場がある。
19ページ以降に疾病別集計表が有るが、牛の疾病数は119と多岐に渡り非常に詳しい検査結果がでている。
多数の廃棄頭数が出るのはそれだけ詳しい検査をして、安全性を確保しているとみるべきであろう。
「理屈と膏薬はどこへでもつく」と言ったところか
ちなみにコスト度外視で飼育できる、畜産草地研究所那須研究拠点と宮内庁御料牧場の結果も出ているが、畜産草地研究所で牛8頭中6頭が一部廃棄、宮内庁御料牧場で豚66頭中11頭が一部廃棄、めん羊167頭中26頭が一部廃棄となっている。
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