トクホでダメなら機能性表示食品が有るさ~♪

   2015/05/06

4月より鳴り物入りで機能性表示食品制度が発足した。
これは『特定保健用食品(トクホ)』と『栄養機能食品』に続く第3の機能性表示食品で、科学的根拠を基に、食品の表示に含有する機能性成分の「健康効果」が記載できるようになる。
機能性表示食品制度では、事業者が科学的根拠を提示し、安全性や機能性について一定の条件をクリアできれば、事業者の責任で「体のどこにいいのか」や「どう機能するのか」を表示できるようになる。
これまで「お腹の調子を整える」など、特定の保健の目的に役立つ旨の表示はトクホしか認められていなかったが、機能性表示食品も認められることになる。
特定保健用食品の表示許可手続は食品安全委員会や内閣府消費者委員会の審査が有るが、機能性表示食品では書類審査のみとなるため機能性や安全性が保たれるかの懸念があった。

水前寺清子の曲に『東京でだめなら』というのが有ったが、〈トクホでダメなら機能性表示食品が有るさ~♪〉と言わんばかりの件が発生した。
管轄する消費者庁に多くの申請が出されていて認められた商品が公開されているが、株式会社リコムの『蹴脂粒』が問題となっている。
元々、蹴脂粒は特定保健用食品として申請されたが、蹴脂粒の機能性関与成分について食品安全委員会の専門調査会は特定保健用食品としての審査を行い、「安全性が確認できない」とする評価書案を2月にまとめた。
提出された資料から安全性が確認できす、作用機序及び安全性について科学的に適切な根拠が示されない限りは安全性を評価することはできないという結果だった。
早い話、安全性の証明が出来ていないからトクホとしは認めないという事である。
そしてトクホではなく機能性表示食品として申請し認められたわけで、〈トクホでダメなら機能性表示食品が有るさ~♪〉となったわけである。

この件に関してはリコムはウェブサイト上で反論している。
食品安全委員会の(作用機序が医薬品と同じなので影響が否定できない)という部分に関し、食品成分(エノキタケ抽出物)のβ3アドレナリン受容体刺激作用は医薬品よりはるかに弱く、一日摂取目安量は生エノキタケに換算すると4グラム程度に過ぎないと主張している。
更に、医薬品成分の副作用を起こす投与量をエノキタケ抽出物に換算すると、 計算上、エノキタケ抽出物0.4グラムの70,000倍から200,000倍というとエノキタケ抽出物を一日に28キログラムから80キログラム食べることに相当することになるので事実上不可能としている。
この主張には別の疑念がわいてくる。
一般に医薬品の生体に対する作用のうち、治療の目的に利用される作用を主作用として、医薬品の使用によって生体に生じた有害な反応が副作用とされる。
主作用と副作用は表裏一体で、効果の高い医薬品ほど副作用が出やすいと言われる。
副作用を起こす可能性のある量の1/70,000~1/200,000しか摂取しないのだから安全と主張しているが、逆にこの量で効果が出るのかという疑問である。
副作用の無い量=効果の無い量、ということになるのではないかな?
更に次の様に主張している。

エノキタケ抽出物は従来なかった関与成分や作用機序、つまり、新規成分であるがゆえに、もし、新しいものを認めたくないようなことが「評価できない」という理由にあるならば、リコムの後に続く中小企業は新しいトクホは通らないと皆が諦めてしまうかもしれません。
そうなってしまえば、新しい機能性食品開発の芽を摘むことになるので、リコムは、可能性の確率がわずかでもあれば、必死に訴えていきます。

トクホにしろ栄養機能食品にしろ消費者の健康に関わる商品である以上、中小企業であろうが大企業であろうが有効性と安全性は保証する必要がある。
そもそも、有効性と安全性は保証出来ない企業が手がけるべきではない。

今回たまたまトクホに申請し、安全性が確認できないという理由で事実上拒否された形でこのことが明らかになったわけだが、最初から機能表示性食品にのみで申請していたらこういう事が判明しただろうか。
客観的な安全性、有効性が評価されない限りうさん臭い商品ばかりということになるかも・・・・。
機能性表示食品制度がセルフメディケーションとして受け入れられるか、うさん臭い分野となるかどうかは手がける企業次第と言うことになる。

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