ライオン「トマト酢生活」、健康増進法違反!!

 

 3/1に消費者庁は、ライオンが販売する特定保健用食品「トマト酢生活」の広告について、健康増進法に違反していると勧告を行なうという画期的な発表を行った。
 ライオン株式会社に対する健康増進法に基づく勧告について 
 何が画期的かというと、健康増進法は2002年に制定されたがこれまで一度も同法による勧告はされたことが無かった。
 これまでも「すこやか酵母」や、「夜スリムトマ美ちゃんパワーアップ版」等が『不当景品類及び不当表示防止法』(景品表示法)違反による「措置命令」が出された事があったが、健康増進法に違反しているとの勧告は今回が初めて。
 これまで「抜けない宝刀」などと比喩されていた健康増進法による取り締まりは今回が初めて。
 それも今回は訳のよく判らないサプリメントでは無く、特定保健食品(トクホ)だった事と、ライオンという東京証券取引所第一部に上場している大企業だったという事。

 「トマト酢生活」で許された表示は
 『本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。』だけであったが、実際には『臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの「血圧低下作用」。』とか、体験談として、『「実感できたから続けられる!10年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できています。今では離すことのできない存在です。』等記載されていた。
 消費者庁の、事業者向けのQ&A『特定保健用食品の表示に関するQ&A』の問3-3に次の様な記載がある。
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 特定保健用食品について、許可表示の内容を不当に改変するなどにより、許可された保健の用途を強調する表示を行うことは、許可表示から本来期待される効果を超える過大な効果があるかのような誤認を与えるとともに、このような過大な効果についても、特定保健用食品として国が許可しているかのような誤認を与えるものであり、国民の健康の保持増進等に重大な影響を与える虚偽・誇大表示として、健康増進法第32条の2に違反するおそれがあります。
 例えば、「血圧が高めの方へ」という許可表示の食品について、「血圧を下げる」と表示することは、虚偽・誇大表示となるおそれがあります。
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 「血圧低下作用」などと表示するのは禁止されている。

 現在の日本における健康食品は制度上、いわゆる健康食品と保健機能食品(「特定保健食品(トクホ)」「栄養機能食品」「気のせい表示食品じゃなかった、機能性表示食品」)に分けられ、トクホは国が安全性と有効性を個別に審査して表示を許可するもので、玉石混交の健康食品業界においては比較的信頼性が高いとされてきた。
 これまで行き過ぎた広告には指導される事はあったが法令違反に問われた事は無かった。
 今回の勧告でトクホだろうが健康の保持増進効果について著しく誤認させるような表示は許さないという姿勢が明らかとなった。
 これまで景品表示法違反の指摘のあった商品は、比較的規模の小さい企業の商品が多かったが、今回は大手のライオンの商品でしかも特定保健食品であり、大手企業だろうとトクホだろうと違反は容赦しないという事で、一罰百戒という意味もあるかもしれない。

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