南清貴センセの妄想記事、亜鉛

 

 南清貴センセの妄想記事です~
 『相次ぐ凶悪犯罪、加工食品の常食による必須ミネラル不足が影響か…亜鉛の血中濃度と暴力性』
 南センセは微量元素の亜鉛の欠乏と銅の過剰摂取が、暴力性の原因としている。

 話を戻しますが、亜鉛は鉛の解毒に役立つだけではありません。
 亜鉛は銅との拮抗関係を保つことでも、脳に多大な影響を与えています。
 アメリカでの研究によると、血液中の亜鉛濃度と銅濃度は人間の暴力性に関係していることがわかっているのです。
 亜鉛の濃度が低いほど人間は暴力的になるのです。
 暴力的な人に、銅を摂取させずに亜鉛を摂取させると、暴力性が収まるのです。

 南センセは情報の出所を明らかにしないが、血中亜鉛濃度と暴力性に関する情報を探したが見つからなかった。
 微量元素欠乏に関しての研究は多い。
 わが国の臨床医学・医療での微量元素に関する最近の動向と今後の課題  
 これによると亜鉛欠乏の臨床症状は次の通り
 皮膚炎,口内炎,脱毛症,褥瘡(難治性),食欲低下,発育障害(小児で体重増加不良,低身長),性腺機能不全,易感染性,味覚異常,貧血,不妊症
 これによれば暴力性など精神的な症状は記載されていない。
 一般社団法人日本臨床栄養学会の『亜鉛欠乏症の診療指針2018』にも同様の記載がある。
 『亜鉛欠乏症の診療指針2018』
 そして、この指針によれば日本人の亜鉛摂取量は、推奨量に対してやや不足気味だが、亜鉛不足による障害が現れる程度の不足では無い。 
 『亜鉛欠乏症の診療指針2018』表4参照

 肝硬変,糖尿病,慢性炎症性腸疾患,慢性腎臓病り患患者の多くでは,血清亜鉛値は低下しており,亜鉛欠乏状態であることが指摘されている。
 また,キレート作用のある薬剤を長期に服用していると亜鉛欠乏をきたすことも報告されている。
 味覚異常者は2003年の全国調査では推定23万人と報告されているが,近年の高齢化社会と慢性疾患患者の増加を考えると,亜鉛欠乏症患者は非常に増加していることが考えられる。
 すなわち,今日のわが国では亜鉛欠乏症は稀ではない。
 『亜鉛欠乏症の診療指針2018』

 亜鉛欠乏症の主な原因は、肝硬変、慢性腎臓病などの慢性疾患と、薬物性による欠乏症が主な原因とされる。
 薬物性味覚障害  

 このように、銅は体にとって必要なミネラルなのですが、亜鉛との拮抗関係が崩れて、銅の値だけが高くなってしまうと、人間を暴力的にしてしまう。

 真面な資料で亜鉛欠乏が暴力性に関係するというものは見つからなかった。
 一方、銅の過不足はどうなるかだが、銅の欠乏は遺伝性の吸収不全の場合と、後天的なものがあるが、健康な人では日常の食生活で欠乏は殆ど見られない。
 銅の摂取過剰は、先天的な代謝異常以外には、通常の食品からの慢性的な過剰摂取による臨床症状は報告されていない。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所 銅解説
 なお、亜鉛の過剰摂取は銅の吸収を阻害する。

 亜鉛の摂り過ぎ は、銅の吸収を阻害するおそれがありますので、過剰摂取にならないよう注意してください。1日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
 栄養機能食品の規格基準について

 食生活の青少年暴力の研究もある。
 青少年暴力に関連する食生活因子  
 鉄の摂取不足
 鉄が欠乏すると鉄欠乏性貧血(IDA)になることはよく知られているが,鉄欠乏は行動や認知力にも変化をもたらす。

 15~30歳の女子学生255名を対象としたオーストラリアの研究では,血色素量が12g/dl 未満の貧血者は非貧血者に比べ,12 項目のGeneral HealthQuestionnaire(GHQ-12)のスコアが有意に高く,精神的な健康状態が悪かった。
 また,幼児期に重度の慢性鉄欠乏状態にあった者は,鉄の栄養状態が良好であった者に比べ,10~14歳時の不安やうつ,非行行動,攻撃的行動が多くみられた。
 これは幼児期の鉄欠乏状態の直接的な効果なのか,それとも鉄欠乏による認知力の低下や学業不振にともなうフラストレーションが問題行動を引き起こすのかは不明である。

 胎児期のアルコール曝露

 胎児性アルコールスペクトラム障害(Fetal AlcoholSpectrum Disorders; FASD)とは、妊娠中の飲酒が唯一の原因となって発症する障害である胎児性アルコール症候群(Fetal Alcohol Syndrome; FAS)、胎児性アルコール作用(Fetal Alcohol Effects; FAE)、アルコール関連神経発達障害(Alcohol-Related Neurodevelopmental Disorder; ARND)、アルコール関連出生障害(Alcohol-Related Birth Defects;ARBD)の総称であり,アメリカでは出生100 対1 の割合で発生している。
 FASD は知的障害の原因の第一位であり,生涯続く障害であるため,周囲の適切な支援が得られない場合,疲労,かんしゃく,イライラ,欲求不満,怒り,攻撃性,恐れ,不安,逃避,ひきこもり,うそ,家庭や学校での問題,法的なトラブル,アルコール薬物乱用などの二次障害が起きる可能性がある。
 FASD という診断がつかない場合でも,胎児期のアルコール曝露は,学童期や成人後の非行や行為障害,反社会的行為の有意な予測変数であることが報告されている。
 しかし,妊娠中のどの時期にどれくらいの量の飲酒をするとこれらの障害がみられるかはまだ明らかになっていない。

 カルシウムの摂取不足
 カルシウム不足が不足するとイライラすると言われている。

 カルシウムが不足し,細胞外液中のカルシウム濃度が低下すると,細胞内へのカルシウムイオンの流入が亢進される。
 流入するカルシウムイオンの量が,カルシウム結合たんぱく質と結合したり,ストアサイトに取り込まれたり,カルシウムポンプで細胞外へ排出される量を超えると,細胞内カルシウムイオン濃度が高い状態がつづき,その間電気シグナルは送られつづけるため,神経伝達が亢進され,大脳皮質の広範囲で情報伝達に擾乱が生じる。
 これがイライラの原因であると考えられている。

 食品添加物

 一定の基準を満たした13 編の論文をレビューしている33).その基準とは,
 (1)アメリカのNational Advisory Committee on Hyperlinesis and Food Additives が推奨する標準化された方法で,子どもの多動が定義され,子どもの変化が評価されていること。
 (2)対照群には適切なプラセボを用い,二重盲検がおこなわれていること。
 (3)適切な統計解析をおこなうのに十分な標本数であることの三点を満たすことである。
 その結果,着色料やその他の食品添加物が多動の子どもの行動に及ぼす影響は,あるとしてもごく小さいものであった。

 その他、朝食欠食、孤食などあげられているが、青少年暴力に関連する食生活因子を考えるうえでは,食事によって供給される個々の栄養素の働きだけでなく,家族とのコミュニケーションといった食事の社会的な機能や,生活リズムを形成する生活習慣としての食事の位置づけなど,さまざまな視点でとらえていく必要があるだろうとしている。
 この研究は、胎児期のアルコール曝露などは知的障害等に影響するが、食事によって供給される個々の栄養素だけでなく、コミュニケーションといった食事の社会的な機能や,生活リズムを形成する生活習慣としての食事の位置づけなどが重要としている。

 犯罪の要員として生活環境が大きいとの研究がある。
 最近の少年犯罪に関する教育臨床的研究  

 いずれにしろ南センセが主張しているような、亜鉛不足、銅摂取過剰が暴力性の原因というのはいかにも安直である。
 特定の栄養素、微量元素の過不足だけで暴力性が増すほと単純な原因なるほどヒトは単純では無いと言うことである。

 蛇足だが

 ちなみに、100グラム中の亜鉛の濃度がもっとも高い食品は牡蠣(かき)です。
 魚のニシンも亜鉛をたくさん含んでいますが、最近はニシンそのものが獲れなくなってしまったので、実生活上ではなかなか良い亜鉛源にはならないかもしれません。

 生牡蠣の亜鉛の量は100g中14.5mgで食品中の亜鉛量が多い食品だが、牡蠣以外の鮮魚としての魚介類の亜鉛量は少ない。
 南センセはニシンも亜鉛をたくさん含んでいるとしているが、生ニシンの亜鉛は100g中1.1mgで少ない。
 牡蠣以外の生の魚介類の亜鉛量は少なく、亜鉛を多く含む食品は牛肉、種実類、穀物胚芽、魚介類加工品などである。

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