南清貴センセの妄想記事「pH調整剤」

   2019/01/25

 トンデモ記事、『私がコンビニおにぎりを絶対に食べない理由…母親のおにぎりを食べられない子供急増
 南センセがコンビニおにぎりに噛みついている。

 pHというのは、いうまでもありませんが、酸性、アルカリ性の度合いを示すものです。
 何もしなければ、食品は時間経過とともに変質したり変色したりしますが、pH調整剤を 使うとそれらが防げ、ほかの食品添加物の効果も高めてくれるという、製造側にとっては夢のような化学物質なのです。

 食品の日持ち向上に、pHを下げることが行われる。
 これは、食中毒を起こす多くの細菌がpH5.6を下回ると活動できなくなるためである。
 史上最強の毒素を産生するボツリヌス菌もpH4.8を下回ると活動できなくなる。
 具合が良い事に、最もおいしさを感じるのは、弱酸性(pH4~5)といわれていて、この程度のpHでは酸味を感じることも無い。
 酸性の物質を加えてpHを調整(pHを下げる)することにより、腐敗しにくくなる。
 梅干しをおにぎりや弁当に入れると腐りにくくなるのは、梅干しがpH調整剤として働くため。

 pH調整剤が、人体に何も影響を与えないのであれば、それは本当に夢のような話なのかもしれませんが、そうはいきません。
 pH調整剤は、私たちの腸内細菌を殺してしまうという疑いがあります。
 腸内細菌は、バランスを保つことで消化分解のみならず、免疫力にもかかわっています。
 免疫細胞の70%は腸内にあるといわれるくらいですから、腸内細菌は大事にしなければならないわけですが、pH調整剤を摂り続けていると、その腸内細菌のバランスが崩れ、結果的に免疫力が落ちると考えられます。

 南センセお得意の、根拠無き思い込み。
 pH調整剤としては下記の物質が認可されている。

 おにぎりの日持ち向上には、主に下記の酸性の物質(赤色)が用いられるが、乳酸塩の様に緩衝剤として使用される物質もある。
 酸性の物質(pHを下げる)
 アジピン酸 pH : 3.2 (0.1%溶液)
  クエン酸 pH:約2 (2%水溶液)
  グルコノデルタラクトン(ハチミツ酸)
  グルコン酸 pH:3.5
  コハク酸 pH: 2.7 (10g/l, H2O, 20℃)
  コハク酸一ナトリウム pH:4.3~5.3
  DL-酒石酸 pH:1.6 (100g/l, H2O, 25℃)
  L-酒石酸 pH:1.6 (100g/l, H2O, 25℃)
  DL-酒石酸水素カリウム pH:3.4-3.7 (H2O, 20℃)
  L-酒石酸水素カリウム pH:3.4-3.7
  DL-酒石酸水素カリウム pH:3.4-3.7 (H2O, 20℃)
  二酸化炭素
  乳酸 pH:約1.2
  酢酸ナトリウム pH:5.2
  氷酢酸 pH:2.4(1.0 mol/L 水溶液)
  フマル酸 pH: 2.1 (0.49%水溶液)
  フマル酸一ナトリウム pH:3.0~4.0
  DL-リンゴ酸 pH:2.82(0.1 % 水溶液)
  リン酸 pH:1以下(25℃)
  リン酸二水素カリウム pH:4.2~4.6、5w/v%水溶液、25℃
  リン酸二水素ナトリウム pH:4.2~4.6、0.2mol/L水溶液、25℃
  ピロリン酸二水素二ナトリウム pH:3.8~4.5(1%)
  イタコン酸 pH:2(80 mg/L)
  フィチン酸 pH:4.5~5.5

 アルカリ性の物質(pHを上げる)
  クエン酸三ナトリウム pH: 7.8~9.0(5w/v%水溶液、25℃)
  グルコン酸カリウム pH:6.0~8.0(50g/L, 25℃)
  グルコン酸ナトリウム pH:6.0~8.0(50g/L, 25℃)
  コハク酸二ナトリウム pH:7.0~9.0
  DL-酒石酸ナトリウム pH:7.0-9.0 (25℃, 0.1M in H2O)
  L-酒石酸ナトリウム pH:7.0-9.0
  炭酸カリウム(無水)pH:約12のアルカリ性(5%水溶液、20℃)
  炭酸ナトリウム pH: 11~12(5%水溶液、20℃)
  炭酸水素ナトリウム pH:8
  乳酸ナトリウム pH:6.5 ~ 7.5
  乳酸カリウム pH:6.5-8.5
  DL-リンゴ酸ナトリウム pH:7.0(30倍希釈液、25℃)
  リン酸水素二カリウム pH:8.6~9.3、0.1moL/L水溶液、25℃
  リン酸水素二ナトリウム pH:9.0~9.4、1/10mol/L水溶液、25

 おにぎりや弁当の日持ち向上には酸性の調整剤を使用する。
 >pH調整剤は、私たちの腸内細菌を殺してしまうという疑いがあります。
 そもそも、どの調整剤が腸内細菌を殺すのであろうか?
 おにぎりの様な米飯のpH調整には酢酸、酢酸塩がよく使われる。
 酢酸は静菌作用が大きく、食塩との組み合わせで静菌作用が強化される。
 また、酢飯などの様に酢(酢酸)と米飯の取り合わせは相性がよい。
 乳酸、乳酸塩も静菌作用が大きく、酢酸臭が嫌われる場合によく使われる。
 pHを下げるほど静菌作用が大きくなるが、味に影響するため(酸味が増える)酸味を減らす緩衝剤として、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩などの有機酸塩を併用する場合もある。
 ランチガード、ホップイン
 フレッシュナー NS
 OFK-1
 いずれにしろ、味に影響するため大量に使用するわけにはいかない。
 殆どの物質は自然界にも存在する物質であり、どれが腸内細菌を殺すのであろうか。
 食品工場の微生物制御への有機酸の利用技術
 >pH調整剤を摂り続けていると、その腸内細菌のバランスが崩れ、結果的に免疫力が落ちると考えられます。
 pH調整剤は数多く有るが、一派一絡げで腸内細菌のバランスを崩すなどの主張は、妄想と言っても良いであろう。
 そもそも、多数有る物質のどれが腸内細菌バランスを乱すというのであろうか。

 pH調整剤のなかでも、特に問題視されているのがリン酸塩です。このリン酸塩は、腸管からカルシウムが吸収されるのを妨げるといわれています。

 米飯類に使われるpH調整剤は酢酸等の有機酸が多く使われ、リン酸塩はあまり使われない。
 少なくともおにぎりに使われている可能性は低い。

 もちろん、不潔な手でおにぎりを握ったり料理をしたりするのはいけませんが、普通に手を洗っていれば大丈夫です。
 最近は、やたらと抗菌、除菌とうるさくいう風潮があるので、消費者にもおかしな“常識”が植え付けられてしまったのかもしれません。

 南センセは食中毒への認識が甘い様に思える。
 おにぎり(握り飯)が原因の食中毒は多い。
 特に黄色ブドウ球菌による握り飯による食中毒が多い。
 国立感染症研究所のwebサイトでは1985年以降、ブドウ球菌による食中毒が減少しているが、原因は握り飯による食中毒が減少のためとしている。
 統計上はブドウ球菌食中毒の年次推移は減っているが、この数字は届出の有った場合の集計であり、家庭での食中毒など届出がされない場合が多く、この数字は氷山の一角と言われている。
 ブドウ球菌食中毒とは
 日本ではおにぎりを原因食品とした食中毒事故が多く発生しているとされる。
 おにぎり」に付いた黄色ブドウ球菌による食中毒リスクの調査
 >普通に手を洗っていれば大丈夫です。
 普通の手洗いが大問題である。
 食品、特に弁当やおにぎりの様に、常温保存し、作ってから食べるまで時間が経過する食品を扱う場合の手洗いは非常に重要。
 手洗いは石鹸でしっかりもみ洗いし、最低でも30秒間以上流水ですすぐ必要がある。
 30秒以上のすすぎというのは、なかなか出来ていない。
 手洗い手順 サラヤ
 食品用のディスポーザブル手袋の使用も有効。

 南センセは食中毒も含めて、科学的リテラシーが低いとしか思えない。
 クロワッサン誌に『おぎにりは発酵食』という馬鹿記事載ったこともあったが、扱いを誤ると食中毒への道をまっしぐらということになりかねない。
 クロワッサン誌の無責任極まわりない記事『おにぎりは発酵食』

 また、南センセは中国産米にも噛みついている。

 もうひとつ、コンビニのおにぎりで気になるのは、使われているお米です。
 とにかく安価に提供することを求められているので、製造販売側も可能な限りコストを落とすことを考えます。
 結局、使うお米は中国などからの輸入米になりますが、これらの安全性には大いに疑問があります。
 中国産のお米は、コンビニのおにぎりだけではなく、ファストフード店やファミリーレストランなど、安さを求められる外食や弁当などにも使われますし、米粉にして煎餅などの米菓の材料としても大量に使われています。

 毎度おなじみ、中国産は危険というロジック。
 それに南センセは中国産米が広く使われていると思い込んでいる様だが、中国産米は輸入量は少ない。
 日本が毎年輸入しなければならないミニマムアクセス米があるが、その中に食用に使われるSBS米と言われる米が有る。
 米の輸入は国が管理しているが、SBS米は表向き入札をするが実質は輸入業者と需要者の直接取引で、年間10万トンの枠がある。
 SBS米ってなんですか?

 SBS米は一般米と米粉や加工食品に使われる破砕米がある。
 平成29年度のSBS米は10万トンの枠を使い切ってるが、全量と中国産米は次の通り。
 一般米
  総量   :83863トン
  中国産米 :1580トン
  中国産割合:1.88%
 破砕米
  総量   :16137トン
  中国産米 :660トン
  中国産割合:4.09%
  食用米としては、アメリカ産とオーストラリア産が非常に多い。
 輸入米に係るSBSの結果概要

 中国産のお米は、コンビニのおにぎりだけではなく、ファストフード店やファミリーレストランなど、安さを求められる外食や弁当などにも使われますし、米粉にして煎餅などの米菓の材料としても大量に使われています。

 南センセは大量に使われると書いているが、実際の輸入量は少なく、大量に使おうにもブツが無いのが現実。

 以上、毎度の事ながら科学的根拠の無い、南センセの妄想記事でした。

 2018/1/25 追記
 pH,ph,PHの3種類の表記があるとの指摘があったためpHに統一。(したつもり)
 

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コメント一覧

  1. マルヤマ ヨシアキ より:

    いつも興味深く読ませていただいています。
    今回の記事にはpH ph PH と3種類の表記が出てきます。

    もとの記事の表記は ママ という表記で誤りであることを
    示し、正確な表記は どれであるかを示した方がよいと思います。
     私の子供のころ(50年ほど前)はペーハーと言っていたと思います。
    いまは、ピーエッチ と言うのが正しい ようです。

    • silver_fox より:

      ご指摘、ありがとうございます。 pHに統一しました。(したつもりです) 

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