小倉正行センセの煽り記事

 

 フリーライターの小倉正行センセのアルミ危険シリーズ。
 アルミ含有食品添加物、小児の摂取量が基準値超過…菓子パンや菓子類が原因と推定
 相変わらずの煽り記事ですぅ~

 ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められているが、人体へは摂取しても吸収される量は微量で、ほとんどはそのまま排出され、アルミニウムが体内でどのような役割を果たしているかは、まだよく分かっていない。
 動物実験の結果に基づき、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、1978年にアルミニウムの暫定耐用週間摂取量(PTWI)を7mg/kg体重/週に設定した。
 2006年にPTWI以下の用量で生殖系/神経発達に影響がある可能性があるとの知見によりPTWIを1mg/kg体重/週に変更した。
 更に追加情報に基づき、PTWIを2mg/kg体重/週に変更して現在に至る。
 なお、PTWIを超えて接種しても直ちに健康に影響がある事では無い。

 2011~2012年度のマーケットバスケット調査により、日本人のアルミニウム摂取量はほぼ2mg/kg体重/週を下回る事が判っている。
 マーケットバスケット調査 
 一方、国民健康・栄養調査からの接種推定値で、一部の小児に於いては2mg/kg体重/週を超える可能性が有ることも判った。
 
これは2群の食品(菓子パン類)と、6群の食品(ケーキドーナッツ類)からの摂取量が多いからとされる。
 

 日本で食品添加物として使用されるアルミニウム化合物は次の通り
 
 菓子パン類、ケーキドーナッツ類はベーキングパウダーを使っているが、問題になるのはその使用方法による。
 たとえばホットケーキ。
 例として、クックパッドのホットケーキのレシピは次の通り。
 ふるわない!薄力粉で作るホットケーキ 
 このレシピでは小麦粉に対して5%のベーキングパウダーを使っている。
 使用したベーキングパウダーは全量が食物に残り、食べると全量が摂取される事になる。

 色止め剤としては、茄子や赤紫蘇漬けの色止め剤として使われる。
 茄子の漬け物は殆どが下漬の段階でミョウバンが使われるが、茄子の色素にアルミニウムが結合し安定するため。
 赤紫蘇漬けも、ミョウバンを加えることにより色素が安定し、それを使った梅漬けも色が安定する。
 茄子漬けは必ずと言っていいほどミョウバンを使っているが、紫蘇漬けはあまり使われない。
 いずれも加工の途中で使われ、最終的な製品への残留は少ない。
 食用色素のアルミニウムレーキもアルミニウムを含むが、色素自体の使用量が少ないため色素からのアルミニウムの摂取は僅かである。
 平成28年度マーケットバスケット方式による保存料及び着色料の摂取量調査の結果について

 ミョウバンはタンパク質の収斂作用があり、イカ、タコ、クラゲ、ウニなどの軟体動物の加工前にミョウバン水溶液に浸漬する事により、形状安定作用を得る。
 また根菜類に含まれるペクチンの水溶性を抑える作用があり、灰汁抜きの作用もあるため、調理前に灰汁抜きもかねてミョウバン水溶液に浸漬し、灰汁抜き、煮崩れ防止として用いる。
 焼きミョウバン 大洋製薬
 カリミョウバン/製品紹介[大明化学工業株式会社]
 ベーキングパウダー以外は、使用されたミョウバンのロスが多く、最終製品への残留は少なく、食べる量も多くない。

 小児は体重が少なく、菓子類の摂取がアルミニウムの暫定耐用週間摂取量(PTWI)超過の原因となる。
 この調査結果をもって、厚生労働省は2013年7月1日付けで業界団体に、膨張剤のミョウバン等のアルミニウムの使用料の低減や代替の取り組みの強化を依頼している。
 食安基発0701第1号
 これに対して、一般社団法人日本パン工業会は2013年8月5日付けで、アルミニウムを含む膨張剤の使用自粛を発表している。
 アルミニウムを含む膨脹剤の使用自粛について

 これを受けて、一般社団法人日本パン工業会は、13年8月に「アルミニウムを含む膨張剤の使用自粛について」という文書を公表し、アルミニウム食品添加物を使用しないことを決めた。しかし、依然として広範囲にアルミニウム食品添加物は使われており、国民の健康上の脅威となっている。
 パン業界が、アルミニウム含有食品添加物の使用をしていないのなら、使用実態がないとして、食品添加物の指定を取り消すなど、その排除を進めるべきである。

 日本パン工業会は大手、中堅企業の団体で、技術的に代替の転換は可能であろうが、日本の食品メーカーの多くは小規模、零細企業では対応が難しい可能性は有る。
 厚生労働省は食品添加物として使用基準の無かったミョウバンに対して、ミョウバンの使用量はパン、菓子類では、アルミニウムとして、1kgあたり0.1g以下というミョウバンの規格基準改定を予定してる。
 硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウムの規格基準の改定に関する部会報告書(案)  
 この規格基準改定に対するパブリックコメントでもこの事を懸念している。

 使用基準が改正された場合、告示後に猶予期間の設定を考慮頂いています。 膨張剤用途においてミョウバンを使用した場合と同じ仕上がり(食感等)となるような添加物はないと聞きます。 一般的に薬品の切り替え検討は多大な労力と時間がかかることであり、小規模事業体においては特に難航するものと推測されます。
パブリックコメント

 
 また、膨張剤以外の用途の代替品はなかなか適当な物が見当たらない。
 たとえばナスの漬け物の色止めにミョウバンの他に硫酸第一鉄も使用可能ではあるが、鉄で色止めすると時間が経過したり、二次加工した場合黒変してしまう等の理由で使いづらい。

 そして19年1月8日に厚労省は、食品安全委員会に対して「食品健康影響評価について意見を求めたことの取下げについて」という公文書を送付し、カルミンを除く3種類のアルミニウムを含有する食品添加物の安全性評価の取り下げを通知したのである。
 この公文書には取り下げ理由は記載されていないが、18年10月24日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会で厚労省は、次のように取り下げの理由を説明している。
 「アルミニウム摂取量の低減が国際的に進められている状況を踏まえ、対日輸出国向けに行った調査の結果、必要性が認められなくなったと考えられたことから、国際汎用添加物に該当しないものとし、厚生労働省による指定に向けた取り組みを中断いたします。(略)食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼を取り下げることといたします」

 これらの物質は国際汎用添加物として扱われた物質である。
 食品添加物は製造販売者や使用者による申請で審査、許可されるのが原則だが、国際的に安全性が評価されていて、欧米で広く使用されている添加物に関しては、企業からの要請がなくとも、指定に向け、個別品目毎に安全性及び必要性を検討する事になっている。
 国際汎用添加物の指定
 具体的には添加物は45品目候補に挙がっていたが、Blackeslea triapora由来のベータカロチンは現行の指定添加物としれ扱うのが適当とされ、今回アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム及び酸性リン酸アルミニウムナトリウムの3品目が対象から外された訳である。
 国際汎用添加物の対応について
 酸性リン酸アルミニウムナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、カルミンの4品目が国際汎用添加物として候補に挙がっていたが、使用実態を調査したところカルミン以外は使用実態が無くなっていたので、国際汎用添加物として扱う必要が無くなったという事で有る。
 カルミンについては、指定に向けた検討を継続するとしている。

 規格基準改定でパン類、菓子類へのアルミニウムの使用に規制がかかるわけだが、実際には自主的な使用の自粛で膨張剤目的のミョウバンの使用量は大幅に減少している。
 2011年の使用量が1,381トンであったのに対し、2016年には440トンであり、32%まで低減していて、2011~2012年度のマーケットバスケット調査の頃よりアルミニウムの摂取量は低減している。
 アルミニウムを含有添加物への対応について
 小倉正行センセが言っているような国民の健康上の脅威は、現状では懸念が低いと思われる。

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