郡司和夫センセ、見てきた様な嘘をいい(書き)
郡司和夫センセの記事に『セブンイレブンの惣菜は危険?アレルギー非表示の発覚続出、命に関わる恐れも』というのが有る。
8、9月とセブン-イレブンで食品の自主回収がたて続けに起きました。
自主回収されたのは、「バジルソースで食べる緑の生パスタサラダ」(24万1210食)、「あんホイップぱん」(4万1277個)です。パスタサラダは「卵」、「ホイップぱん」は「乳」の特定原材料表示(アレルギー表示)がされていなかったためです。
セブンは、アレルギーのある人が食べると健康被害が出る恐れがあるため、食べないよう注意を呼びかけました。
しかし、こうたて続けに不祥事が続くと、セブンが本当にアレルギー表示の重要性を理解しているのか疑問になります。
別にセブンイレブンだけの問題では無いんだが・・・・。
財団法人食品産業センター「食品事故情報告知ネット」で検索をかけると、2016年1月から12月までで、アレルギー品目が乳で62件、卵で34件、小麦で82件ヒットする。
郡司センセが大騒ぎしているセブンイレブンだけの事では無く、ローソン、イオン、高島屋、成城石井、小田急百貨店等々、大手企業の回収は珍しくも無い。
コンビニ業界最大手のセブンイレブンだから叩いたのかもしれないが。
多くは原材料に含まれていたものが把握できていなかったケースが多く、気付かれないままで販売されている可能性も否定できない。
アレルギーの原因となる原材料として、表示義務の有るものが7品目、表示を推奨されているものが20品目ある。
消費者庁の『アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック』によると、約72%が卵、乳、小麦によるものとなっていて、この3種類が3大アレルゲンとなっている。
ソバやピーナッツは重篤な場合が多く、北海道で給食でのソバアレルギーの死亡事故や、ピーナッツバターを食べた恋人とキスした女性が死亡という様な実例もある。
『平成24年度食品表示に関する試験検査「即時型食物アレルギーによる健康被害、及びアレルギー物質を含む食品に関する試験検査」』によると、2954例のうち誤食が1153例あり、75例(全体の2.5%)が表示ミスによるものであったとされる。
その内で特定原材料の表示ミスは70例であった。表示ミスは乳が29名で最も多く、以下小麦18例、鶏卵17例であったとされ、食物アレルギーの人は油断が成らない。
食品だけでなくアレルギーは生命に関わるだけに、食品を扱う企業は細心の対応をお願いしたい。
ま、ここまではその通りなのだが次がいけない。
アレルギーがある人にとって、アレルギー表示のミスは、命にかかわることになりかねません。
10年前のことですが、日本アレルギー学会に所属する医師に取材した際に、驚くべき話を聞きました。
「1982年に羽田沖で逆噴射墜落事故を起こした日航機の機長が、フライト前に食べた「機長食」にアレルゲンが入っていて、それで意識を失ったといわれています。これは、食物アレルギー専門医の間では結構知られている話です」
82年2月9日午前8時44分、福岡発羽田行きの日航機DC8が着陸寸前に突然、失速、空港手前の羽田沖に墜落、死亡者24人、重軽傷者149人を出す惨事となった。
事故の原因は着陸態勢に入ったときに、機長が突然エンジンを逆噴射させたためだった。ボイスレコーダーには、副操縦士の「機長(キャプテン)やめてください!」という絶叫が記録されていました。
機長は助かり、精神鑑定の結果、妄想型統合失調症と診断され不起訴処分となりました。
この医師が言うには、機長は卵アレルギーで、卵成分が機長食に入っていて、機長が気付かずに食べてしまった結果、大惨事につながったといいます。
逆噴射墜落事故が、本当に食物アレルギーと関係していたのかどうかはわかりませんが、この事故後、機長食は廃止されました。
これは日本航空350便の墜落事故で、前日はホテルニュージャパンの火災の翌日で、二日連続の大事故が続いて大騒ぎとなった。
機長がアレルギーでそれが事故原因という話は、「講釈師、見てきた様な嘘をつき」のレベルの話である。
航空事故調査報告書1 1頁~39頁
航空事故調査報告書2 40頁~71頁
航空事故調査報告書3 72頁~111頁 航空事故調査報告書4 112頁~143頁 航空事故調査報告書5 144頁~173頁
航空事故調査報告書6 174頁~226頁
航空事故調査報告書7 227頁~255頁
この機長は事故以前より総合失調症を患っていて、事故前日や当日にも精神状態が不安定であったとされる。
事故報告書に食品アレルギーに関する記述は一切ない。
事故原因は妄想性精神分裂病で心神喪失の状態での異常操作によるものと断定している。
>フライト前に食べた「機長食」にアレルゲンが入っていて、それで意識を失ったといわれています。
そもそも「機長食」なる物は存在しないんだが。
某航空会社の社員に聞いた話では、国際線の場合は客室乗務員は乗客に出す食事と同じ物だが、運行乗務員の食事は別で毎食2種類用意され、機長と副操縦士と航空機関士(現在は廃止)は必ず別の食事を摂る。
これは同じ食事で食中毒などが起きて、機長と副操縦士とも操縦出来なくなる事を防止するためで有る。
ちなみに、2種類の食事のどちらを選ぶかのルールは無いが、機長が優先しているケースが多いのではないかとの事であった。
なお、2種類の食事のグレードは全く同じらしい。
機内食の無い国内線の場合は、食事の時間にかかる便には弁当を載せるとの事だが、これも2種類載せるとの事で、食事の種類は異なるがグレードは同じとの事。
運行乗務員は到着後や、出発前は各種の点検作業や確認作業で忙しく、食事を摂れるのは出発後でシートベルト装着ランプの消灯後になるとの事であった。
いずれにしろ、航空事故調査報告書1に事故当日の状況が記載されているが、フライト前に「機長食」なる物を喰ってる時間は無い事がわかる。
アレルギーは大きな問題だが、こんないい加減なお話はいただけない。
13年に開催された「日本アレルギー学会」において、国立病院機構相模原病院の医師や栄養士などの研究グループは、「食品添加物の人工甘味料でアレルギー症状が出ている」と、報告しました。
エリスリトール、キシリトール、ステビア、サッカリン、ガラクトオリゴ糖、ソルビトール、アセスルファムKの人工甘味料にアレルギーが出ています。
また、12年に消費者庁は、「食品添加物のコチニール色素の摂取や化粧品の使用によって、急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす恐れがある」と、警告しています。
現在、食品添加物のアレルギー表示は行われていませんが、今後表示が行われることが望ましいといえるでしょう。
この内、キシリトール、サッカリン、ソルビトール、アセスルファムカリウムは指定添加物、ステビアは既存添加物だが、エリストールとオリゴ糖は食品扱いで添加物では無い。
これは国立病院機構相模原病院の海老澤元宏医師が主導した調査で、1次調査は、合計877名の医師による協力で、回収率が81%で、877名から返信があったというもの。
さらに2次調査は、さらなる調査に協力可能と答えた11名の医師対するもの。
1次調査では確定症例15、疑い症例18の計3例、2次調査では確定症例11、疑い症例3の計14例となっている。
アレルギー物質を含む食品の表示について(資料1-4) 24ページ
アレルギー物質を含む食品の表示について(資料1-5) 25ページ
第23回 食品表示部会 議事録によると、甘味料に関してはさらに継続して調査を行いたいという事になっている。
>現在、食品添加物のアレルギー表示は行われていませんが、今後表示が行われることが望ましいといえるでしょう。
理想としてはそうだろうが、実現はかなり困難と思われる。
アレルギー物質を含む食品の表示について(資料1-5)の28ページに、アナフィラキシーショック誘発食物の調査が出ている。
こうしてみると重度のアレルギーを起こす食品類は多く有り、優先順位からして甘味料の表示までするのは困難と思える。
知人にハチミツやメイプルシロップのアレルギーの人がいるが(ハチミツアレルギーとメイプルシロップアレルギー別人です)、あらゆる食品にアレルギーを起こすリスクはある訳である。
発生頻度を勘案しないで表示することは、現実的には不可能と思う。
>また、12年に消費者庁は、「食品添加物のコチニール色素の摂取や化粧品の使用によって、急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす恐れがある」と、警告しています。
コチニールのアレルギーは、コチニールによるものでは無く精製不足による不純物として含まれる、コチニールカイガラムシのタンパク質によるアレルギーである。
コチニール等を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品への成分表示等について
国産メーカーのコチニールの品質には問題が少ないかも知れないが、外国メーカー製は問題のあるものがあるかも。
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