放射脳報道「朝日新聞」

 

 放射脳
 読み方:ほうしゃのう
 放射能による人体・環境などへの悪影響を恐れるあまり、しばしば非理論的な主張をしたり放射能に関係 のない事実を持ち出したりして害悪を訴える人々、またはそうした人々の思考回路を揶揄ったスラング。
 出典:Weblio 辞書

 放射脳とは、過剰な放射線への恐怖感でパニックの人たちをからかうスラングで、あまり好きでは無いが、朝日新聞DIGITALの『(核の神話:20)福島から避難 ママたちの悲痛な叫び』に「放射脳障害」としか思えない記事を見つけた。
 朝日新聞DIGITAL 

 2011年3月11日の原発事故のあと、福島県大玉村の自宅から、主人と当時4歳だった娘を連れて神奈川県相模原市の私の実家に避難しました。娘が幼稚園に入園する年でした。3月にあんな事故があったのに、4月には普通に入園式があったんですね。仕事で主人は先に福島に戻り、私と娘は1カ月ほど実家で過ごしたあとで、入園式には娘を出してあげたいと思って戻りました。
 再度、実家に避難したいとは、なかなか言えなくなってしまいました。福島市と郡山市の間にある大玉村は、人口8千人くらいの村で、避難した人は本当に少なかったんです。当時は放射能がどれだけ体に影響があるのかなんて分かりませんでしたし、そういう村の空気を感じて、私は言い出せなくなってしまいました。
 本当は神奈川の実家にとんぼがえりしたかったんです。主人に「また避難したいんだけど」ってようやく言えた時に、「じゃあ、おれはどうするんだよ」っていう言葉が返ってきました。家族が離れてまで避難する理由があるのか、決定的な証拠を出せるような知識はありませんでした。結局、最も放射能汚染の強かった夏休みまでの3カ月を福島で生活してしまいました。
 娘が幼稚園に行くときは、なるべく肌を出さない服を着せて、マスクをさせました。バスを待っているときに、土とか葉っぱとかを触ると、子ども同士で「放射能がついてるから、触っちゃいけないんだよー」って注意しあっていたんですね。事故前はお友達のように土や葉っぱで遊んでいたのに、それを触らないようにと子ども同士で注意しあっているのは、見ていてつらかったです。
 そうこうしているうちに、娘が大量の鼻血を出すようになりました。噴出するような鼻血だったり、30分ぐらい止まらなかったり、固まりが出たり。風邪の症状はないのに発熱が続いたり、それまでにはなかった皮膚疾患が出たり。うちの娘だけだったら気のせいかなと思うんですけど、まわりのお母さんたちの子どもたちにも、同じような症状があるって言うんですね。だんだん私は福島で子育てをする自信がなくなりました。
 外で遊べないストレスも強かったんで、車を2~3時間運転して山形県米沢市までわざわざ行って、娘に外遊びをさせました。福島から山形に入って、やっと車の窓を開けて深呼吸をするような状態でした。山形に入って私が車の窓を開けたら、寝ていた娘が起きてパニック状態になったんです。「ママ、なんで窓あけるの! 放射能あるのに!」って泣き叫ぶ。

 大玉村は事故のあった福島第一原発の西側の約60kmで、郡山市の北側約15kmにあり、福島市の中心部も西北西の約60kmになる。


 大玉村役場のモニタリングポストの左側の斜線が、福島原発を中心とした60kmの円周である。
 事故直後の3/31の空間放射線量率1.62μSv/hとなっているが、1年間1.62μSv/hの場所で生活した際の被曝量は次の通りとなる。
 (1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを仮定)
 (1.62X8X365)+(1.62X16X0.4X365)=8514.7μμSv/年=8.52mμSv/年
となる。
 平常時の一般の人の線量限度は自然界や医療行為による被爆を除いて1mSv/年としているから多いのは間違いない。
 国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告によると、緊急時の被爆として、1年程度の期間の線量として20~100mSV/年で定めるとし、復旧時は1年間程度の期間の線量として1~20mSv/年で定めるとしている。
 福島原発事故の計画的避難地域の設定は、緊急時の線量の下側の20mSV/年を採用している。
ICRP勧告と基準値の考え方 
 年間の被曝量8.52mμSvは少なくないが実際の健康面の影響はと言うと・・・
 地球上には自然界からの被爆の多い地域が有り、たとえば中国広東省陽江市では、多い人で被ばく線量は約6mSv/年であるとされるが、対照地域と比較してがんの死亡率は有意に増加せず、遺伝性疾患と先天性異常の頻度は同程度であるとされる。
 中国の高自然放射線地域における住民の健康調査 
 インド・ケララ州での調査でも健康リスクの上昇は見られないとしている。
 放射線と健康リスク 
 大玉村の放射線量だが4月以降は大幅に減少していて約1/3となっていて、健康面に大きな影響が出るとは考えにくく、この周辺で放射線による健康被害が出たとの具体的な資料は無い。
 他の発言者も程度の差はあるものの同様の内容となっている。
 娘の鼻血など健康面に関して訴えているが、放射線による障害というより、母親のヒステリックな行動に反応した、いわば『放射脳障害』と行ったほうが良いだろう。

 この発言は横浜弁護士会が3月10日に市内で開催した集会での発言らしい。
 現在、各地の弁護士会は東電の賠償を増やそうとしていて、この集会はいわば弁護士の販売促進活動と言って良いだろう。
 弁護士とクライアント、いわば当事者である。
 その内容を垂れ流しし、自らの主張に沿う研究者の発言のみ載せる朝日新聞の姿勢を大いに疑う。
 鹿児島県の九州電力川内原発周辺の放射性物質観測装置の設置は「不十分」と報じた朝日新聞の記事に対し、原子力規制委員会が抗議していたが、朝日新聞は曖昧な態度をとり続けている。

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