郡司和夫センセがデタラメを書いている! ペットボトル茶は危険!だそうで
食品ジャーナリストの郡司和夫センセが『ペットボトル茶は危険!発がん性の合成ビタミン大量含有、粗悪な中国製添加物も』なる、いい加減な記事を書いている。
まず、大きな間違いを指摘。
L-アスコルビン酸はビタミンCのことだから、毒性もないと思っている消費者は非常に多い。しかし、WHO(世界保健機関)ではL-アスコルビン酸のADI(1日摂取許容量)を体重1キログラム当たり0.25グラムと定めている。
L-アスコルビン酸にADIは定められていない。
一時期にADIが設定されていた事があったが、現在では無くなっている。
FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)では、第17回会議(1973年)において、L-アスコルビン酸及びそのカリウム塩並びにナトリウム塩の安全性評価を行い、許容一日摂取量(ADI)を0~15mg/kg体重/日としたものの、第25回会議(1981年)において、これらのL-アスコルビン酸塩類にカルシウム塩も含めて評価を行い、これらの物質が食品添加物あるいはビタミンCの栄養補助剤として使用される条件で、ADIを「特定しない(not specified)」としている。
出典:厚生労働省『L-アスコルビン酸カルシウムの食品添加物の指定に関する添加物部会報告書 』
一時期、ADIを0~15mg/kg体重/日とした時期があったが、現在は特定しないということで、ADIは定められていない。
そもそも、L-アスコルビン酸のADI(1日摂取許容量)を体重1キログラム当たり0.25グラムはどこから出てきたのだろうか。
合成ビタミンCと自然の食品に含まれるビタミンCは、まったく異質のものであると理解しておいたほうが健康のためである。
たとえば、がん細胞をつくる原因になる活性酸素を、ミカンなどに含まれる天然のビタミンCはほとんど発生させないが、人工的に作られた合成ビタミンC(L-アスコルビン酸)は大量に発生させる。
天然のビタミンCには活性酸素の発生を抑える酵素が含まれているからだ。
酵素は分子構造式(いわゆる亀の甲)には現れない。
いくら合成ビタミンCが天然のビタミンCと化学式が同じでも、安全性が同じとはいえないのである。
非常にナンセンスな事で、食品に含まれるビタミンCと合成されたビタミンCの体内での挙動は同じ。
構造式が同じなら、天然の物質だろうが合成の物質だろうが同じ物質で、酵素は全く別の物質で、それを混同している。
また、仮に活性酸素の発生を抑える物質が含まれていたとしても、ヒトの体内では役立たない。
タンパク質で出来ている酵素は、経口摂取すると、胃液に含まれる胃酸やタンパク質分解酵素で失活してしまう。
酵素の中には、デンプンの分解酵素のアミラーゼや、脂肪の分解酵素のリパーゼの様に、経口で消化薬として使用される物もあるが、ほとんどの酵素は胃で失活してしまう。
タンパク質で出来ている酵素は、他のタンパク質と同じで、アミノ酸まで分解されないと吸収されなく、酵素のまま吸収される事は無い。
体内で活性酸素の発生を抑えたり、無毒化する酵素はヒト自身が自らの体内で合成していて、摂取しているわけでは無い。
食品中のアスコルビン酸は二つの水素を失って酸化し、デヒドロアスコルビン酸(水素を失ったアスコルビン酸といった意味)になり、アスコルビン酸は還元型、デヒドロアスコルビン酸は酸化型とも称される。
JFRLニュースVol.5 No.16 Dec.2015
デヒドロアスコルビン酸も効力値はアスコルビン酸と同等とされ、日本食品標準成分表では両者の合計で示される。
五訂増補日本食品標準成分表 収載成分項目等
ただし、中性・アルカリ性条件下では、デヒドロアスコルビン酸は短期間に加水分解して2,3-ジケトグロン酸となり、再びデヒドロアスコルビン酸に戻る事は無い。
体内でのアスコルビン酸は、一つの水素を失って酸化してモノデヒドロアスコルビン酸となり、一部は不均化反応により、更に水素を一つ失いモノデヒドロアスコルビン酸となる。
モノデヒドロアスコルビン酸は、モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼにより還元されてアスコルビン酸に再生され、モノデヒドロアスコルビン酸はグルタチオンやデヒドロアスコルビン酸レダクターゼによりアスコルビン酸に再生される。
これは体内で正常に行われる酸化還元反応であり、ヒトは代謝で発生する活性酸素種である過酸化水素を解毒化するメカニズムを持っている。
グルタチオン-アスコルビン酸回路
これに必要な酵素はヒトの体内で作られていて、郡司和夫センセが書いている様な天然のアスコルビン酸に含まれる酵素では無い。
実際、合成ビタミンCを成人に1日3グラムずつ3カ月間用いても異常は見られなかったが、それを6グラムに増やすと、悪心、嘔吐、下痢、顔面紅潮、頭痛、不眠などの症状が現れ、幼児では皮膚湿疹がよく見られるとの報告がある。
合成ビタミンCの害というより、ビタミンCの過剰摂取とみるべきで、アメリカでは成人で2g/日以上の摂取することに対する危険性が示唆されていると言う情報もある。
アスコルビン酸
実際のところ、食品だけで2g以上摂取するのは非常に困難で、サプリメントのがぶ飲みでもしない限りまずあり得ない。
L-アスコルビン酸カルシウムの食品添加物の指定に関する添加物部会報告書
添加物としての具体的な使用量の例は、食品添加物の販売業者の八宝商事の資料に載っている。
ただし、この資料の2ページ目の5行目の、『(5倍濃縮ジュースでは100g中150~250g程度)』の150~250gは、150~250mgの間違いと思われる。
加えて、現在、国内で使用されている90%以上のL-アスコルビン酸は、価格が国産の半値以下の中国製となっているのも大きな不安である。
実は、数年前からL-アスコルビン酸も含めて中国製の添加物は「質が悪すぎる」という声が添加物業界から上がっているのだ。
中国国内の報道によると、粗悪な添加物が原因で死者まで出ているという。
日本への輸入品が、日本の食品衛生法で定められた基準に不適合として水際で廃棄処分になったケースも少なくない。
しかし、水際で摘発するのには限界がある。つまり、消費者が自ら身を守るしかないのが現状だ。
中国製食品はアブナイという、毎度おなじみのロジック。
中国企業は、ピンからキリまで有り、公的な規格に適合した製品を作るメーカーもあれば、インチキ製品を作るメーカーも混在している。
世界で製造されるアスコルビン酸の90%以上は中国で製造されていて、江蘇江山製薬、東北製薬、石藥集團維生藥業(石家莊)、河北維弥健製薬(Welcome)辺りが生産していた。
アスコルビン酸は価格が安いためコスト勝負となり、中国以外でのアスコルビン酸の製造は急減した。
日本の08年のアスコルビン酸の国内輸入量は、中国からは9792t(前年比2147t増)と輸入量全体の93%に達している。 食品化学新聞調べ
ドイツの総合化学メーカーのBASFは1995年に東北製薬とビタミンの合弁会社を設立し、2000年に出資を70%から98%にし、2005年に100%とした。
ちなみに日本の武田薬品も2006年まで、BASFにバルクのアスコルビン酸を供給していた。
オランダの化学メーカーDSMは、2014年に江蘇江山製薬からビタミンC事業を買収した。
化学業界の話題
一方で河北維弥健製薬は2015年に、アスコルビン酸の生産を中止したとされる。 ビタミン自然派生活
中国製と言いながら、アスコルビン酸は欧州系企業が牛耳っているようなもの。
アスコルビン酸は、医薬品、食品添加物、サプリメント等をを含めて、ほとんどを中国製に依存しているのは日本だけではない。
世界中の企業に納品しているわけで、いい加減な品質の製品が出荷される可能性は考えにくい。
>日本への輸入品が、日本の食品衛生法で定められた基準に不適合として水際で廃棄処分になったケースも少なくない。
>しかし、水際で摘発するのには限界がある。つまり、消費者が自ら身を守るしかないのが現状だ。
普通の食品と、食品添加物、医薬品などを混同していない???
そもそも食品添加物や医薬品には独自の規格が有り、輸入品だろうが国産品であろうがメーカーなり輸入業者が品質保証する責任があるわけで、規格外の 製品を流通させれば、食品添加物なら食品衛生法違反、医薬品なら医薬品医療機器等法違反となる。
規格外の食品添加物を使用した輸入食品が流通する可能性はあるが、規格外の食品添加物自体が流通する可能性は低いと思われる。
中国製食品の品質はピンからキリまであるわけだが、郡司センセは中国製はすべてアヤシいと言いたい様だ。
実際にペットボトルのお茶にどの程度のアスコルビン酸が含まれるかとなると・・・・
市販緑茶飲料中に含まれる還元型ビタミンC の保存状態における酸化速度の違い
これの表1によると平均で100g中23.1mg、500mlペットボトルで薬116mg程度のアスコルビン酸を含んでいる事になる。
これを一日に4~5本程度飲み続けたところで健康被害が発生する可能性は極めて低いと思うが・・・・・
質問があります。
ビタミンCは加熱するとデヒドロアスコルビン酸になりますが、体内では還元作用により、復元されます。
口からデヒドロアスコルビン酸を摂取した場合、小腸に届くとアルカリ環境なので、壊れてしまいますよね⁈
という事は、小腸に届く前にビタミンCに還元されていなければなりません。
胃液は酸性なので、還元反応されると予想しますが、文献が見つかりません。
本当のところはどうなのでしょうか?