渡辺雄二センセのデタラメ記事「ワイン」

 

 自称科学ジャーナリストの渡辺雄二センセの、デタラメ記事で今回はワイン。
 『一部のワインに毒性ある二酸化硫黄含有、頭痛の原因か…「有機」「オーガニック」製品でも』 
 まずはここ

 ワインに添加されている亜硫酸塩とは、通常は二酸化硫黄のことです。
 これを添加することで、雑菌が繁殖するのを防いだり、酵母による発酵が進みすぎるのを抑えたり、成分が酸化して変質するのを防いだりしているのです。

 >ワインに添加されている亜硫酸塩とは、通常は二酸化硫黄のことです。
 揚げ足をとる様だが、亜硫酸塩と二酸化硫黄は全く別物だが。
 二酸化硫黄は化学式SO2で、硫黄に2個の酸素原子がくっついた物質で、常温常圧では気体で別名亜硫酸ガスであり、水に溶けやすく、水に溶け込むと亜硫酸となる。
 亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの硫黄酸化物の金属塩の事で、食品添加物としての亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ硫酸ナトリウム、ピロ硫酸カリウムが認められていて、二酸化硫黄も食品添加物として認められている。

 二酸化硫黄は、その気体を亜硫酸ガスといい、火山ガスや工場排煙などに含まれる有毒ガスです。
 空気中に0.003%以上あると植物は枯死し、0.012%以上あると人体に害が出るとされています。

 これは吸入したときの毒性ですね。

 そんな毒性物質であるため、二酸化硫黄を含むワインを飲むと、人によっては頭痛を起こすことがあります。
 私は添加物に関する講演の際に、「ワインを飲むと頭痛がする人は?」と必ず聞くのですが、参加者の4人に1人くらいは手を挙げます。

 これはワインを飲んだら頭痛がしたというだけで、頭痛と二酸化硫黄(亜硫酸塩)との因果関係を表しているわけでは無い。
 そもそも、二酸化硫黄(亜硫酸塩)が頭痛の原因になるという、まともな資料は見つからなかった。
 亜硫酸塩による過敏症に触れている資料もあるが、アレルギーに罹患していない場合はまれとしている。
 喘息患者では10 ppm という少量の亜硫酸塩により症状が惹起されることがあるが、アレルギーに罹患していない人において症状が見られることはまれである。
 反応を引き起こす量については明らかとなっていないとしている。
 
 ワインと頭痛に関しての資料を見つけた。
 医師向けの専門書に、『頭痛診療ハンドブック』(鈴木則宏/編集 中外医学社)があり、次の様な記述がある。

 飲酒は最も偏頭痛の誘発になりやすい。
 赤ワインはアルコール、ヒスタミン、ポリフェノールによる複数の血管拡張物質が関与しているので他の酒類よりも偏頭痛誘発作用が強い。
 ヒスタミンについては同じぶどう酒でも銘柄によって異なる。
 白ぶどう酒は含有が少ないので頭痛の原因にはなりにくい。
 蒸留酒にはヒスタミンが含まれないので頭痛が起きにくい。
 二日酔い(宿酔)による頭痛は分解産物(アセトアルデヒド、酢酸)の作用である。

 ヒスタミンなどの血管拡張物質やアルコールの分解産物が頭痛の原因で、亜硫酸塩や二酸化硫黄には言及していない。
 更にこのハンドブックには、ハムやソーセージ等の食肉加工品に添加物として使われる、亜硝酸塩が頭痛の原因になるとしている。
 亜硝酸塩には血管拡張作用があり、これが頭痛の原因になるとしている。
 狭心症の患者がニトログリセリンを使うのは、体内に吸収されたニトログリセリンは亜硝酸となり、血管を拡張して心臓の負担を減らすためである。
 ヒスタミンは酒類を含め、チーズ等の発酵食品に多く含まれる。
 発酵食品に含まれるアミン類   
 ヒスタミンもアミン類の1種で、頭痛の原因にあるアミン類はヒスタミン、チラミン、フェネチルアミン、セトロニン等がある。
 元々、ワインはアルコール、ヒスタミン、ポリフェノールなどで頭痛が起きやすい。
 頭痛の原因になる亜硝酸塩やアミン類を含む、ハム、ソーセージ、チーズ等ワインのおつまみの定番でもある。
 ま、実際のところ、飲酒による頭痛は飲み過ぎというのが一番の原因であろうが・・・

 ワインと亜硫酸との関係は歴史が古い。
 ワインの発酵中や貯蔵中に雑菌が入り、ワインが変質することがあった。
 元々は、ワインを貯蔵する樽に火を付けた硫黄を入れ、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を充満させた後にワインを詰めていた。
 二酸化硫黄は水に溶けやすく水に溶け込むと亜硫酸になる。
 亜硫酸(亜硫酸塩)が酸化して硫酸(硫酸塩)となる際に、強い還元作用が発生しワインの酸化を防止し、殺菌作用によりワインの変質を防ぐ。
 二酸化硫黄の他に亜硫酸塩の使用が認められていて、実際には取り扱いしやすい亜硫酸塩を使用する事が多い。
 日本で食品添加物として認められている亜硫酸は、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸力リウム及びピロ亜硫酸ナトリウムであり、二酸化硫黄以外は亜硫酸塩の表示となる。
 なお、日本でワイン造りに認められているのは、二酸化硫黄とピロ亜硫酸カリウムだけであり、二酸化硫黄は水に溶かして亜硝酸として使われ、実際には取り扱いしやすいピロ亜硫酸カリウムが使われるのが殆ど。
 ワインに添加された亜硫酸(塩)はSO2としての遊離亜硫酸と、アセトアルデヒドや糖と結合した結合亜硫酸があり、殺菌酸化防止として働くのは遊離亜硫酸である。
 亜硫酸の臭いも遊離亜硫酸によるものである。

 現在、ワイン造りで亜硫酸塩が使われるのは、発酵前と貯蔵や瓶付めの時である。
 発酵前に使用するのは、雑菌の除去のためとブドウに元々付いている天然酵母の殺菌のためで、その後培養した酵母を加える。
 ワインによっては、天然酵母で発酵させることもある。
 具体的な亜硫酸塩の役割は次の通り。
  ・ブドウに付着する雑菌の殺菌。
  ・ブドウに付着する天然酵母の殺菌。
  ・発酵中に発生する、アセトアルデヒドや糖やフェノール等と結合して結合亜硫酸塩となり、アセトアルデヒド等の臭いを抑える。
  ・果汁中の酵素(ポリフェノールオキンダーゼ)により、果汁中のポリフェノールが酸化して変色することを防ぐ。
  ・貯蔵中の酸素混入による化学的酸化を防止する。
  ・果実からのポリフェノールの抽出を促進する。
  等の役割があり、ワインの保存期間の延長を意図する。

 日本のワインへの残留基準は、二酸化硫黄に換算して0.35g/kg未満であり、欧米の基準とほぼ同じである。
 なお、0.35g/kgというのは遊離亜硫酸と結合亜硫酸の合計である。
 添加物一般の使用基準 
 酒類の地理的表示に関する表示基準   
 亜硫酸(塩)の使用には細かい規定がある。
 酒類製造における亜硫酸の適正使用について  
 0.35g/kgと言うのは最大値で、実際にはもっと少ない。
 福岡市保健環境研究所がワインの亜硝酸の分析結果を公表している。
 残留している亜硫酸の殆どは結合型で、遊離型亜硫酸は10%以下である。
 ワイン中の亜硫酸塩の形態  
  また、この資料にも亜硝酸の役割が書かれている。

 ・亜硫酸塩は水に溶けやすく,強い還元作用をもつ
 ・亜硫酸は発酵の際腐敗菌や野生酵母などの雑菌の増殖を抑える
 ・ワイン製造における亜硫酸添加は紀元前エジプトからの長い歴史がある
 ・オーガニックワインでも亜硫酸塩の添加は認められている
 ・亜硫酸はワイン中のアセトアルデヒド(悪酔い成分)と結合し味をまろやかにする
 ・フランスのワイン製法では必ず亜硫酸塩を添加しなければならないので,フランス国内では亜硫酸塩表示の必要はない (表示がなくても亜硫酸塩は添加されている)

 ワイン造りには亜硫酸が必須と言って良く、欧州など外国でもオーガニックワインに亜硫酸の使用が認められているが、残留基準は厳しくなっている。
 赤ワインの場合、1リットル当たり亜硫酸の残留量が100mg、白ワインの場合150mgとなっていて、残留糖分が2%を超える物はそれぞれ30mgの上乗せが認められている。
 New EU rules for‘Organic Wine’ agreed 
 たとえオーガニックとはいえ、ワインには亜硝酸(塩)が必須であるということであろう。
 アメリカもオーガニックワインに亜硫酸塩の使用を認めている。
 パート205-ナショナル・オーガニック・プログラム  

 (f) 「100%オーガニック」もしくは「オーガニック」とラベル表示されるすべての製品と、製品の原材料表示において「オーガニック」と明記されるすべての原材料は、以下のものであってはならない。
  (5) 生産ないしは取扱いの工程において添加された亜硫酸塩、硝酸塩もしくは亜硝酸塩を含有するもの(ただし、添加された亜硫酸塩を含有するワインは「オーガニック・ブドウを使用」とラベル表示できる)。

 ところが、ワインなどの酒類については、実は有機JAS規格の対象外になっているのです。ワインを含む酒類については国税庁が管轄しており、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づく「酒類における有機の表示基準」が適用されているのです。
 この基準では、「原材料は、水や加工助剤を除いて、有機農産物、有機畜産物、有機加工食品、有機農産物加工酒類の重量割合が95%以上である」としていますが、使用できる添加物を数多く認めていて、その中に二酸化硫黄が入っているのです。

 酒類は国税庁の管轄で、有機JAS法の適用は受けないが、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号)第86条の6の適用を受ける。
 有機JASと同様に、登録認証機関が検査しその結果、認証されないよ有機又はオーガニックの表示ができない。
 輸入酒も同様である。
 有機加工酒類に係る認証取得の手順及び認証の基準  
 実際のところ、手順が複雑で有機の認証を受けている酒類は少なく、主に地酒、地ビールが主である。

 市販のワインの場合、国産も外国産も二酸化硫黄が添加されている製品が多いので、こうしたことになるのだと思います。
 そのため、最近では、酸化防止剤無添加のワインの人気が高まっており、各大手酒造メーカーからも無添加ワインが売り出されています。

 ハッキリ言って、亜硝酸塩無添加のワインは、多くがペットボトルや紙パックに入った安物であり、720ml入りで1,000円以下が殆ど。
 亜硫酸塩無添加ワイン=安ワイン
 であるのが現実。

 したがって、「有機」あるいは「オーガニック」と表示された加工食品に、毒性の強い二酸化硫黄が添加されていることはありません。

 そもそも、ワインの様な特殊な飲料と清涼飲料を一緒くたにする方が無理。

 渡辺センセはしきりに毒性が強いと言っているが、亜硫酸が神経の保護作用があるという、新しい知見がある。
 亜硫酸に神経保護作用があることが判明  
 亜硫酸が、酸化ストレスや虚血再灌流障害や虚血再灌流障害から神経細胞を保護することが分かり、このことから今後、亜硫酸に敏感な人対してもアレルギーを回避する方法を確立することにより、 脳梗塞をはじめとした酸化ストレスによる神経疾患対して治療に役立つことが期待されるとしている。

 結論として、体に障害が起きる濃度のワインは、亜硫酸臭が非常に強く飲めたものでは無い。
 また。ワインに使用できる亜硫酸塩は残留値として0.35g/kgだが、ドライフルーツには2g/kg、レーズンには1.5g/kgと一桁残留基準が多いが、ドライフルーツやレーズンを食べて頭痛という話は聞かない。
 ワインの醸造時の産生物や、おつまみの産生物も影響している可能性が有るが、頭痛の原因としては飲み過ぎが一番影響が大きいであろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。

CAPTCHA