文春砲??でも煽り記事は駄目でしょ。「アサリ」

 

 久しぶりに週刊文春を読む機会があり、『週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#3』という記事があった。
 文春オンラインにも『食べて一晩中トイレから出られなかった中国産「ヘドロアサリ」の恐怖』というのが掲載されている。
 中国・山東省青島市城陽区のアサリ加工場のレポートをしていて、いかに不衛生なアサリの扱いをしていることを書いている。

 近くで見てみようと、中をのぞきこんだ。すると、強烈な腐臭が鼻を突き、思わずのけぞった。ガソリンのような臭いもしたので、通訳の日本人ジャーナリスト・林真宣氏に訊いてもらったところ、
「ガソリンなんて使ってないよ!」と大笑いされた。しかし、工業用の油というよりヘドロのような臭いにどうしても耐えられず、屋内へ逃げ込んだ。
 室内の中央に大きな釜が置いてあった。中には黒くて生臭い水が入っている。「ヘドロアサリ」を入れているからどす黒くなったのか、単に不衛生だからなのか判然としなかった。釜の中もサビだらけで、ずいぶん古いもののようだ。

 この加工場からお土産でもらったアサリで酒蒸しを食べたところ、吐き気とひどい腹痛に悩まされ、翌朝まで下痢でトイレから離れられなくなったそうな。
とここまでは中国の恐怖の実態??を訴えている。
 ま、正露丸で治る腹痛ならたいしたことは無いけど。
 こうして不安を煽った上で、中国のアサリが大量に日本に輸入されるという話につながる。

 厚生労働省が発表している「輸入食品違反事例」(2012年度)を見ても、水産物や水産加工物で最も違反が多かったのが、アサリだった。

 2012年度(平成24年度)の輸入時における輸入食品違反事例を、「あさり」で検索すると確かにヒットしますね、11件ほど。
 絶対数としては多いとは思えないけど・・・
 そして2016年(平成28年)の違反の表が掲載されている。(文春オンラインのキャプチャ)

 2016年度(平成28年度)の『輸入時における輸入食品違反事例』を「あさり」で検索すると、確かに4件ヒットする。
 でもこれが中国産のアサリが危険どうかは別問題。

 厚生労働省の『平成28年度 輸入食品監視統計 』より、中国産の貝類の検査率と違反率を出すと次の通り。

 このなかで生アサリは二枚貝類に当たるが、中国からの輸入がトップで(重量ベース)、届出件数1601件、検査件数1586件、検査率99.1%でほぼ全数検査の状態で、違反数は2件となっている。
 ちなみに二枚貝類の2位(重量ベース)の輸出国の韓国が、届出件数4081件、検査件数が401件、検査率が約10%となってる。
 輸入食品全体の検査率が約10%言われているが、韓国産二枚貝類はほぼ平均であり、中国産の検査率の高さがよくわかる。
 ちなみにこの約10%と言う数字、輸入食品の1割程度しか検査されていないという批判もあるが、あくまでも平均値で、違反の多い国や品目は検査の頻度を上げている。
 冷凍食品など他の貝類や貝類加工品も含めて、中国産貝類の検査率は約88%と非常に厳しい検査を受けていることが判る。
 その検査の結果、違反件数は10件で、中国国内の扱いはともかくとして、少なくとも日本に輸出されてきた貝類が危険だという根拠は無い。
 中国の食品は中国人でさえ信用しないという話もあるが、検査結果を見る限り少なくとも中国より輸入されたアサリが健康被害の原因となる可能性は低いと思われる。

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