郡司和夫センセのデマカセ記事

   2018/05/03

 毎度おなじみ、自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセのいい加減記事。
山崎製パン、トランス脂肪酸低減PRのHPで、一部のマーガリン含有商品を非掲載

 郡司センセが山崎製パンをたたいてますね~。
 この記事の中で次のような事を書いている。

 このように危険なトランス脂肪酸は、マーガリン、ショートニングを使うフライドポテト、菓子パン、スイーツ、アイスクリーム、クッキーなどに多く含まれていますが、日本は野放し状態なのです。

 日本では野放し状態と書いているが、元々欧米に比べて摂取量が少なかった上に、最近はトランス脂肪酸の低減が進んでいる。
製パン、製菓関係でトランス脂肪酸が問題になってくるのはマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなど。
 パーム油など常温で液体の油脂では不飽和脂肪酸の割合が高いため、触媒を介在して水素を添加し飽和脂肪酸の比率を高めた部分硬化油が用いられるが、その工程でトランス脂肪酸が生成される。
 完全に水素添加処理された硬化油にはトランス脂肪酸は含まれない。

 また、雪印メグミルクは、2018年春季新商品発表会で、「家庭用マーガリン、ショートニング全品で部分水素添加油脂(硬化油)を使用しない」と宣言しました。
 トランス脂肪酸は、マーガリンなどの製造工程で製品を使いやすい固体状にするために水素を部分添加することで発生します。

 油脂の改質処理には水素添加の他にエステル化、分別などがある。
 エステル化は油脂をエステル化処理して融点を高くする方法で、化学法と酵素法があり、1940年代に開発されている。
 分別は油脂中には色々な飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が含まれるが、文字どおり特性別に分離するのが分別。
 水素添加工程の改善でトランス脂肪酸を低減させる方法もとられるが、これからはエステル化が主流となろうとしている。
 トランス脂肪酸が野放しどころか、トランス脂肪酸低減化がすすんでいる。
 油脂のエステル化 日本油化学会誌、48巻、第10号 

 ここで又々郡司センセがデタラメな内容を・・・。

 食品添加物のグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤)を使って固形化しやすくする、~~~

 ~~~使用される食品添加物は油中水滴型(W/O型)エマルション、油に対して数パーセント加えるだけで、油を固める作用があります。
 しかし、ハムスターの動物実験では、肝臓肥大、腎臓の石灰化が見られています。

 マーガリンなど乳化剤を使用して油を固めている訳ではない。
 あくまでもエステル化や分別などで融点を高めた油脂を利用している。
 乳化剤の目的は油脂と水のエマルション化が目的。
 身近なエマルションとしては、牛乳、マヨネーズ、マーガリン、バター等が有る。
 牛乳、マヨネーズは水の中に油滴が分散した水中油滴型(O/W型)エマルションと呼ばれる。
 逆にマーガリンなどは油脂中に水滴が分散した油中水滴型(W/O型)エマルションと呼ばれる。
 バターやマーガリン中の油脂は約80%で、マヨネーズの油脂はは70~75%で、含まれる油脂はバターもマヨネーズも大きく変わらない。
 にも関わらずバターやマーガリンと、マヨネーズの食感が大きく異なるのは、水中油滴型エマルションなのか油中水滴型エマルションなのかの違いである。
 バターとマヨネーズの違いがどこから来るのかと言うと、乳化剤の違いによる。
 マヨネーズの場合、卵に含まれるレシチンが乳化剤として働く。
 レシチンは疎水性部と親水性部を両方持つが、マヨネーズは親水性部を利用している。
 マーガリンはグリセリン脂肪酸エステル類が疎水性乳化剤として働き、油中水滴型(W/O型)エマルションを作り出している訳で、決してグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤)を使って固形化しやすくしている訳ではない。

 >しかし、ハムスターの動物実験では、肝臓肥大、腎臓の石灰化が見られています。
 郡司センセお得意の出処の判らない情報だが、調べた限りではこのような情報は見つからなかった。
 FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)のグリセリン脂肪酸エステルの評価では、一日摂取許容量(ADI)は『特定しない』で、摂取量の上限値を数値で明確に定めない、極めて毒性の低い物質に限られる評価となっている。
 油脂産業における食の安全性

 まず、パーム油は全量輸入しています。長期間の船上輸送による酸化を防ぐため、酸化防止剤が不可欠です。
 その酸化防止剤はBHA(ブチルヒドロキシアニソール)という添加物が用いられていますが、これはラットの実験で胃がんが確認されたことから、いったん使用禁止になった経緯があります。

 しかし、パーム油を主原料とする合成洗剤業界、インスタントラーメン業界サイドから、BHAを使用禁止にするとパーム油が輸入できなくなり、合成洗剤もインスタントラーメンも製造できなくなるとの大反発が起こりました。
こうしたなか、厚生省(当時)は、「使用禁止を延期にする」との通達を全国の保健所に出したのです。
 その延期処置は今日現在まで続いています。

 これも大きな間違いで、アメリカやECの反対によるものである。
 昭和50年度より厚生省のがん研究助成金による発がん試験で、雄のラット1,712mg/kg/日および雌のラット1,096 mg/kg/日、104週間投与で、前胃にがんの発生が認められた。
 昭57年5月7日開催の食品衛生調査会 の本会議での審議の結果、厚生大臣に『BHAは弱いながらもラットに対し発がん性を示すものと評価された結果に同意する~~』という内容の意見具申することとなった。
 BHAは使用した場合一般 に食品中に残留するものであり、他に代替品もあるため事実上の使用禁止処置を執ることになり、パーム油、パーム核油以外にBHAを使用することを禁止した。
 パーム油、パーム核油を例外にしたのは、輸入国が熱帯産地よりの輸送時の酸敗防止のため生産国にBHAの添加を義務づけていたため、日本だけがBHA無添加品を輸入することが困難だったことと、精製段階で除去できるためであった。

 日本は昭和55年に関税及び貿易に関する一般協定(GATT)を批准していて、規定によりガット事務局に規制の通告をした。
 するとアメリカやEC諸国から規制に懸念する意見が多く出され、結果として厚生省は紹和58年2月1日よBH舞規制の実施を見送ることになった。
 詳しい顛末は日本農芸化学会誌 57巻(1983)10 号に掲載されている。
 酸化防止剤BHA(ブチルヒドロキシアニソール)の発がん性問題の始末記  
 また、ウィキペディアにもこの件に関する記述がある。
 ブチルヒドロキシアニソール 
 参議院の商工委員会でも取り上げられている。
 参議院商工委員会会議録 

 経済産業省の『有害性評価書 ブチルヒドロキシアニソール』によると

 発がん性については、げっ歯類の前胃に扁平上皮がんを引き起こすが、前胃のない動物種には発がん性の兆候はない。
 本評価書では、1,322.6 mg/kg/日の混餌投与で扁平上皮がんを確認したラット発がん性試験で、109.6 mg/kg/日以上の群で前胃上皮の過形成がみられたことから、その下の用量 54.8 mg/kg/日を扁平上皮過形成の NOAEL と判断する。

 ラットで1,322.6mg/kg/日で前胃に発がん、109.6 mg/kg/日以上の群で前胃上皮の過形成がみられたとし、54.8 mg/kg/日を無毒性量(NOAEL)としている。
 ラットで発がんがみられた用量は1,322.6 mg/kg/日であり、ヒトの一日摂取許容量(ADI)は0.5mg/kg/日の約2600倍となっている。
 有害性評価書 ブチルヒドロキシアニソール 2ページ

 ブチルヒドロキシアニソールはヒトのADIの数千倍で発がん性を示すが、一方で低い用量で抗がん作用があるとされる。
 有害性評価書 ブチルヒドロキシアニソール  32ページ
 食塩はヒトに必要な物質だが、ヒトの推定致死量は0.5~5g/kgとも1~3g/kgともされ、過剰摂取は危険ということになる。
 日本中毒情報センター 塩、醤油 
 パラケルススの名言『すべの物質は毒である。薬と毒を区別するのはその量のみである。』のとおりと言うことか。

 欧州食品安全委員会(EFSA)は2011年に再評価を行い、EUの暫定ADIの0.5mg/kg/日から1.0mg/kg/日に引き上げている。
 食品安全関係情報詳細 2011(平成23)年10月12日 

 国際がん研究機関(IARC)における評価は次の通り

 グループ 2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある(possibly carcinogenic tohumans)60)に分類している(1983 及び 1989 年)が、2003 年の評価において、実験動物の前胃に BHA によって腫瘍が発生するメカニズムには、前胃における長い貯留時間に生じたフリーラジカルの生成が関与しており、その後の細胞毒性及び過形成に発展していると考えた。BHA の慢性摂取によって過形成が維持され、前胃に特異的な腫瘍の形成につながっていくと考えた。
飼料添加物評価書 ブチルヒドロキシアニソール 

 郡司センセは危険危険と言って騒いでいるが、実際にどの程度ブチルヒドロキシアニソールを摂取しているかと言うことになるが、厚生労働省が平成25年度にマーケットバスケット調査で摂取量を推定している。
  平成25年度マーケットバスケット方式による酸化防止剤、防かび剤等の摂取量調査の結果について  
 それによるとブチルヒドロキシアニソールは、定量下限以下となっている。
 定量下限と言うことは、ある分析法で、分析対象物質の濃度がわかる最低濃度の事で、定量下限以下と言うことは使用されたことは判るが、少なすぎて濃度の測定が出来ないと言うことになる。
 使用されていたとしても、ADIより遙かに少量しか摂取していないことになり、ブチルヒドロキシアニソールが健康に悪影響を与える可能性はきわめて少ないと言うことになる。

 ま、郡司センセの様なジャーナリスト???にとっては、安全性に問題ないと言うことでは、飯の食い上げになるわけで、危険でないと困るって事ですね。

 

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