コーヒーをリン酸塩で増量出来るか???

 

 ファミリーレストランのドリンクバーのコーヒーを、リン酸塩を加えて増量していると言う説がある。
My News Japan
 マイニュースジャパンの記事だが、元ネタは『食品のカラクリ』(宝島社)の様で、添加物としてリン酸塩を使用し普通の3倍の抽出をし、香料を添加して風味を出しているという。
 これが本当かどうか、5種類のリン酸塩で実際に試してみた。
 実験に使用したのは
 ・リン酸水素二ナトリウム
 ・ヘキサメタリン酸ナトリウム
 ・リン酸水素二ナトリウム
 ・ピロリン酸ナトリウム
 ・リン酸三ナトリウム 
 それと炭酸水素ナトリウム(重曹)と、リン酸塩5種類と合計6種類使用した。

 コーヒーはキーコーヒーのスペシャルブレンド(粉)を5g(仕上がりで85ml相当分)を、メリタの1X2のドリッパーとペーパーフィルターを使い、300mlのコーヒーを抽出した。
 これはリン酸塩で3倍抽出できると書かれていたので、標準量の約3倍の量をドリップした。
 抽出に使った液は、水道水と各薬品の0.01%、0.05%、0.1%、0.25%の水溶液を使用し、水和物に関しては含まれる水の重量を計算して各濃度になる様にしたうえで沸騰させた。
 本来なら吸光度を測定すべきだが測定器が無いため、各濃度で抽出した物をイルミネーターの前に並べて目視で比較した。
 リン酸二水素ナトリウム    ph(1%)、4.3~4.9

 ヘキサメタリン酸ナトリウム  ph(1%)6.2~6.8

 リン酸水素二ナトリウム    ph(1%)9.0~9.6

 ピロリン酸ナトリウム     ph(1%)10.0~10.5

 リン酸三ナトリウム      ph(1%)11.5~12.5

 重曹             ph8.5(1%)

 但し、重曹(炭酸水素ナトリウム)の水溶液は、65℃を越えると二酸化炭素を放出しアルカリ性の強い炭酸ナトリウムに変化する。ph11.4(3%)

 phの低いリン酸二水素ナトリウムは濃度を変えてもほとんど色の濃さは変わっていない。
 この実験によるとリン酸塩でなくても、phが高い物質の水溶液で濃度が高いほど、色は濃く出ている。
 重曹以外は食品添加物では無く試薬だったので、普通の水で20gのコーヒーから300ml抽出したものと、0.25%の重曹水溶液で5gのコーヒーを300ml抽出してみた。

 左側、コーヒー20g  右側5g/重曹水溶液
 色はほぼ同じとなっているが、試飲してみると・・・・・重曹水溶液で抽出したコーヒーは不味い!!!!!!!!
 苦いというか渋いというか、phが高いためとにかく刺激的な味で変な味がする。
 また、phが高く濃度の濃い水溶液で抽出した物は、枯れ草??と言って良いのか、異臭がする。
 結論として、phが高く濃度も高い水溶液を使うと、確かに色は濃くなるが不味くてとても飲めた物では無く、香料を加えたところで飲めた物では無い。
 この手口?、いや手法が通用するのであれば、スーパー等で\100~\200程度で売られている安物の紙パック、1リットル入りのコーヒーはリン酸塩等を使って増量 していても不思議は無いが、色々探してみたがその様なコーヒーは売られていなかった。

 結論として、リン酸塩でコーヒーを増量するというのは
 デマ!!!

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コメント一覧

  1. 野バラ より:

    「リン酸塩でコーヒーを増量している」というYouTubeの情報を見て、「そんな馬鹿な…」と思い検索したらこちらのサイトがヒットしました。
     ハムや練り物の結着剤として使われているリン酸塩でどうやって増量を?と思いましたが、実験の結果はあり得ないということなんですね。
     私はただの専業主婦ですが、ここ10年以上はコーヒーの自家焙煎をしています。生豆の値段は欠点豆の少ないプレミアムコーヒーでも1kgあたり1,000円前後、スタンダードでも600円前後で買えたりします。
     焙煎で2割ほど減量しますが、コーヒー1杯に生豆10gを使うと、原価は6円~10円、砂糖やコーヒーフレッシュを入れても、業務用なら1杯10円程度かもしれません。そう考えると増量などしなくても元は取れるはずで、どうしてもさらに原価を下げたい場合は、焙煎を深めにすれば苦味も色も濃くなり、お湯を増やせば済むだけだと思います。
     ロイヤルホストが取材を拒否したというのも、あまりに馬鹿らしい質問なので無視しただけのような気がします。
     リン酸塩はコーヒーフレッシュにpH調整剤として添加されているようなので、それを誰かがコーヒーの増量剤だと勘違いして、こんなデマが広まったんでしょうか?
     こちらのサイトは科学的な視点で詳しい情報を提供してくれていますね。こんな情報源を欲していました。他のページも楽しみに読ませていただきます。

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