渡辺雄二センセの、カラメル色素野放し~
科学ジャーナリストの渡辺雄二センセが『コーラやノンアルコールビール、スーパーの惣菜は要注意!発がん性物質を含むカラメル色素が野放し!カップ麺も』という記事を書いてますね~
科学ジャーナリストを名乗るには少々内容が杜撰ですが・・・
そのカラメル色素の一部には、発がん性物質が含まれているというショッキングな事実があるのです。したがって、気づかないうちに発がん性物質を体内に取り込んでいることになるのです。今や日本人の2人に1人ががんを発病しているとされていますが、カラメル色素がそれと関係している可能性があります。
だそうです。
カラメルには砂糖やブドウ糖などを加熱処理して製造し、製法により4種類有る。
その際に、糖とアンモニウム塩に含まれる窒素が高温下で反応して、副生物として4-メチルイミダゾールが生成される。
アメリカ政府の国家毒性プログラムによるマウスを使った実験で、4-メチルイミダゾールに発がん性のあることが確認され、2007年には発がん性物質に指定されました。なお、カラメルⅠとカラメルⅡには、4-メチルイミダゾールは含まれていません。
事の始まりは米国国家毒性プログラム(NTP)による動物実験の結果による。
Toxicology and Carcinogenesis Studies of 4-Methylimidazole (CAS No. 822-36-6) in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Feed Studies)
マウスに4-メチルイミダゾール(4-MI)を170mg/kg b.w.を106週間投与したところ、雌雄マウスに対する明確な発がん性(肺胞/気管支の腫瘍)が認められ(2007)、 国際がん研究機関(IARC)は4-メチルイミダゾールをグループ2Bに分類した(2013)。
グループ2Bは「ヒトに対する発癌性が疑われる」というレベルで、IARCはヒトでの発がん性を示す証拠はなく動物で少し証拠がある場合は、グループ2Bに分類することが多く、標準的な判断だと思われる
マウスの体重1kgあたり170mgというとてつもない量を106週間投与と言う事は、通常の食生活では絶対あり得ない量になる。
一方、ラットに関しては明確な発がん性は認められていない。
どのようにして4-メチルイミダゾールががんを発症させるかというと、その化学構造が動物や人間の遺伝子(DNA)の塩基に似ているためと考えられます。特にチミンとシトシンに似ているのです。そのため、DNAの塩基の中に入り込んで構造を変えてしまい、その結果として細胞が突然変異を起こして、がん化すると考えられるのです。
これ似てますか?? 4-メチルイミダゾールとチミン/シトシン
似ても似つかないと言ったほうが正確かと・・・
欧州食品安全機関(EFSA)の「食品添加物及び食品に添加される栄養源に関する科学パネル」(ANSパネル)は、は4-メチルイミダゾールがDNAを傷つける「遺伝毒性」を持つかどうかも検討していて、「遺伝毒性はない」としている。
遺伝毒性があればそれは閾値がなく、どんなに微量であってもDNAを傷つけ、量に比例して発がん性が増加すると考えるられ、遺伝毒性がなければ、閾値があると推定され摂取量が閾値を下回れば影響はないと考えられる。
NTPの研究結果を受けて、アメリカのカリフォルニア州は独自の規制をはじめた。
カリフォルニア州は、発がん性や生殖毒性の懸念のある物質を「Proposition 65」という名称でリスト化しており、食品がこれらの物質を一定量以上含む場合には、同州での販売の際には食品に表示をしなければならない。
カリフォルニア州の基準というのは少々変わった規制で、これは食品だけではなくてあらゆるものにつき、70年のライフスパンで10万人に1人のがんを発生する、そのような化学物質には必ず警告表示を義務づけ、そのリストに4-メチルイミダゾールが追加をされたという事。
4-メチルイミダゾールは「Proposition 65」にリストアップされ、表示しなくてもよい安全量(No Significant Risk Level)を、1日あたり29μg以下とした。
このNTPの結果を基にして、アメリカの市民団体「Center for Science in the Public Interest」(CSPI )は、さまざまな種類のコーラの含有量を調べて「この基準を超えている」と指摘し、米国食品医薬品局(FDA)にも禁止を要請した。
日本のNPO法人「食品と暮らしの安全基金」(小若順一代表)も2012年7月、「コカコーラから発ガン性物質検出」というプレスリリースを出し、日本のコカコーラは355ml当り72μgの4-メチルイミダゾールを含むとしている。
コカコーラから発ガン性物質検出(2012年7月3日)
CSPIの禁止要請に対しFDAは、NTPが発表したラットとマウスでの毒性試験の報告書によれば、ラットの2年間試験では発がん性の結論が出なかったが、マウスではある種の肺腫瘍発病率が上昇した。
この動物実験で用いた4-MEIの濃度は、コーラ等の摂取でヒトが暴露すると考えられる、クラスIII及びクラスIVカラメル色素の推定暴露値をはるかに超えるものだった。
4-メチルイミダゾールに関するあらゆるデータを精査し、クラスIII及びクラスIV色素に起因する消費者暴露について再評価を行っていて、この安全性分析を資として、要すれば講じるべき規制対策を判定することになる。
対策には、カラメル色素中の4-MEI含有量に基準値を設定するような策も含まれよう。しかしFDAは当面、4-メチルイミダゾールへの心配から消費者が食事を変えることを勧めるものではない、としている。
米国食品医薬品庁(FDA)、カラメル色素と4-MEIに関するQ&Aを発表
欧州食品安全機関のANSパネルは2011年の評価で、4つのカラメル色素に対してグループADIを300mg/kg体重/日を設定し、カラメルⅢのみについてはより厳しいADI 100mg/kg体重/日を設定した。
カラメルⅢについて低いADIを設定したのは、その成分の1つである2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール(THI)の免疫系への影響に不確実性があることを考慮したものであった。
また、4-メチルイミダゾールについては、最近のがん原性試験の結果も検討し、カラメルⅢ及びカラメルⅣを含む食品の摂取による4-メチルイミダゾールの最大暴露量は懸念とはならないと結論した。
NTPのマウスがん原性試験でみられた発がん性は、4-メチルイミダゾールに遺伝毒性はないこと、試験に使われた「B6C3F1マウス」には肺胞/気管支新生物は高頻度に発生することなどから閾値があると考えられた。
したがってANSパネルは、この試験での中間用量である625 mg/kg餌、すなわち80 mg 4-メチルイミダゾールmg/kg体重/日がNOAEL(無毒性量)とみなせると結論した。
食品安全情報(化学物質)No. 6/ 2011(2011. 03. 23)
NOAEL(無毒性量)は、動物試験などで求められた“この量以下ならば病気などの有害な影響が出ない最大量”のことで、TDI(耐容一日摂取量)はヒトに対する“この量以下ならば、ヒトが生涯毎日摂取(暴露)しても、病気などの有害な影響が出ない量”のこと。
NOAELをTDIに変換するには、NOAELをUFs(不確実係数)で割り算する。
TDI=NOAEL/UFs
UFsは、一般的には、動物とヒトの違いである種差(×10)と、感受性の違いである個人差(×10)を考慮した100を基本の値とし、動物試験の期間、信頼性などの項目別に不確実なものがあれば、さらに係数を追加する。
化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために
NPO法人食品と暮らしの安全基金の記事によると、日本のコカコーラ355ml中72μg含まれる事になっている。
これを500mlに変換すると
500/355*72=101.5μgになる。
4-メチルイミダゾールのNOAEL80mg/kg/dayからTDIを算出すると
UFsを基本の100とするなら
80/100=0.8mg=800μg/kg/dayとなり
UFsを安全側に更に10を掛け1000とすると
80/1000=0.08mg=80μg/kg/dayとなる。
体重50kgのヒトだとUF=100で
800*50=40000μg=40mg
UFsを1000とすると
80*50=4000μg=4mgまではOKとする。
UFs=1000として、500mlのコカコーラを何本飲むと4mgになるかというと
4000/101.5=39.4本、約20リットル飲む事になる。
UFsを基本のUF=100とすると
40000/101.5=394本、200リットルとなる。
つまり、UFsを1000にするなら一斗缶で一缶以上、UFsを100にするならドラム缶で一缶くらい飲まないと達しない事になる。
毎日これだけ飲み続ければ(飲める訳ないけど)、4-メチルイミダゾール云々以前の問題で、健康上非常な問題になるだろう。
結果として、アメリカのFDAもEUのEFSAも、現時点でのカラメル摂取に問題ないという見解である。
ところで、4-メチルイミダゾールは糖とアミノ酸等が高温で反応して出来る以上、カラメル以外の食品にも存在し、家庭料理でも生成している可能性は高い。
米国食品医薬品庁(FDA)、カラメル色素と4-MEIに関するQ&Aを発表 Q1:4-メチルイミダゾール(4-MEI)とは?
こんがりと焼き上がったトーストなど、4-メチルイミダゾールが生成している可能性はある。
消費者庁は、食品添加物の許認可事務を行っている厚生労働省に対して、カラメルⅢとⅣの使用を禁止するように働きかけるべきでしょう。
現状の知見ではあり得ないでしょうな。
身近な発がん性物質といえば・・・・酒!!
IARC発がん性リスクのランクも、アルコール飲料は「ヒトに対する発癌性が認められる」のグループ1。
飲酒で発がんリスクが上昇するという研究は腐るほど有りますよ~
たとえばこちら → 国立がん研究センター 飲酒と全がんリスク
渡辺センセ、発がん性を云々するなら酒類を禁止するよう訴えるべきでは?
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