南清貴センセの大風呂敷「梅干し」

 

 南清貴センセが梅干しを大絶賛している。
 梅干し、驚愕の効能…着色料・酸味料まみれのエセ梅干しは食べても無駄  
 基本的に梅は好物ではあるが買い被りすぎではないかと思う。

 その酸っぱさから、酸性食品と思われがちですが、実は梅干しはアルカリ性食品です。
 多くの酸っぱい果物がそうであるように、梅干しも私たちの体の中に入ると、アルカリ性に変化します。

 私たちの体が正常な場合、血液はpH7.4程度、つまり弱アルカリ性に保たれています。
 皮膚や消化器官は、逆に弱酸性です。
 だからこそ、その酸の力で細菌やウィルスの感染を防ぐことができるのです。
 しかし血液が酸性に傾いてしまうと、私たちの細胞の活動は低下し、免疫力にも影響を及ぼします。

 酸性食品、アルカリ性食品の区別は、食品を燃焼させた残渣物の水溶液が酸性かアルカリ性かにより区別される。
 リン、硫黄などの酸性反応をしめす元素が多ければ酸性食品、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムのようなアルカリ性を示す元素が多ければアルカリ性食品ということになる。

 血液(細胞外液)はpH=7.40 ±0.05 と非常に狭い範囲に調節されている。
 これより酸性側になればアシドーシス、アルカリ性側になればアルカローシスといわれ、健康に重大な影響が出る。
 血液のphはあくまでも水素イオン濃度によって決まるもので、食品の影響ではなく、体内で常に酸は作り出されているわけで、酸とアルカリのバランスをとるために、常に作り出されている酸(水素イオン)を排出しなければならない。
 血液の酸塩基バランスをとるメカニズムは大きく分けて4つで、名称と割合は次の通り。
 ・重炭酸緩衝系(65%)
 ・ヘモグロビン緩衝系(30%)
 ・血漿タンパク質緩衝系(7%)
 ・リン酸緩衝系(5%)
 このなかで重要なのは重炭酸緩衝系で、重炭酸イオン(HCO3?)と水素イオン(H+)が結合すれば炭酸になり、さらに水と二酸化炭素となり、腎臓や肺から排出される。
 HCO3- + H+ ←→ H2CO3 ←→ CO2 + H2O
 この辺を次のサイトが易しく解説している。
 ナースの教科書 
 詳しく知りたければ、グーグルで『酸塩基平衡』のキーワードで検索すれば大量に出てくる。
 いずれにしろ、食品が直接関わっているわけではない。

現代の食生活では、筆者が「白い悪魔の三兄弟」と名付けている、「白米、白い小麦粉、白砂糖」のほか、肉や魚などの酸性食品を多食するので、体は酸性に傾きがちです。

 穀類はリンや硫黄を多く含んでいるため酸性食品の部類となり、米や麦は糠やふすまの部分にミネラル分が多く、玄米や玄穀にはリンなどを多く含み酸性食品には変わりない。
 白砂糖は焼却してもほとんど残渣がなく、純度の高いグラニュー糖は中性食品ということになる。
 いずれいしろ、梅干しを食えばアルカリ性に保てるというわけではない。

 主成分であるクエン酸が疲労回復に効果があるといわれていますし、梅雨時に多いといわれる食中毒などに対しても、その効果が立証されています。
 梅干しには、クエン酸をはじめとしてフマール酸、リンゴ酸、オキザロ酢酸、グルタル酸、イソクエン酸、アコニット酸、コハク酸と、8つの有機酸が含まれていますが、これらが強力な殺菌作用を持っているのです。

 クエン酸に限らず酢酸をはじめとした有機酸に、静菌作用のあることは知られていてえ、これらの有機酸はph調整剤としての作用もある。
 また、高濃度の塩分は防腐作用がある。
 子供の頃、父方の爺様は嘱託で国有林の管理をしていたが、夏場の弁当は必ず自家製梅干し入りの焼きおにぎりであった。
 飽きないのかと思って聞いたところ「梅入り焼きおにぎりは食あたりしないから良いんだ」と言っていたのを思い出す。
 塩分たっぷりの自家製梅干し入りおにぎりは、塩分による防腐作用、有機酸による静菌作用とph調整剤としての働きが期待できる。
 そして手で握るため細菌汚染しやすい表面を高温で焼き上げる焼きおにぎりは、食中毒防止としては合理的な食べ物であった訳だ。
 科学的な根拠の云々はともかくとして、長年の経験で梅干し入り焼きおにぎりが食中毒を起こしにくいと知られていたのだろう。
 ただし、今市販されている梅干しのほとんどは調味梅干しで、この様な効果は期待できないけど。

 黄色ブドウ球菌やO-157を使った実験でも、その有効性は証明されています。
 さらに驚くべきは、胃がんの原因のひとつと疑われているピロリ菌に対して「シリンガレシノール」というポリフェノールの一種が抑制効果を発揮したということや、インフルエンザウイルスに対して、やはりポリフェノールの一種の「エポキシリオニレシノール」が効果を発揮し、また糖尿病にも「オレアノール酸」という物質が良い作用をもたらすということです。

 これらの実験は、いずれも梅の抽出物や梅肉エキスを使用した実験であり、梅干しでこれらの効果を得るのは困難である。
 またこれらの効果は動物実験などの結果であり、ヒトへの作用に関しては不明な点が多い。
 紀州梅効能研究会 

 最近は、梅干しの原材料である梅の実も、多くが輸入ものといわれており、熟成の期間も極端に短く、それをごまかすために防腐剤、着色料、酸味料など大量の食品添加物や、「アミノ酸」という名称でたんぱく加水分解物も大量に使われています。

 梅の輸入量は2003年頃がピークで、輸入品の割合が50%近くなったことがあったが、最近では30%を割り込んでいて、多くが輸入物とはいえないと思うが・・・。
 また、現在は梅干しは原産地表示が必要な食品となっている。
 新たな課題に直面する和歌山県の梅生産 
  >防腐剤、着色料、酸味料など大量の食品添加物や、「アミノ酸」という名称でたんぱく加水分解物も大量に使われています。
揚げ足をとるようだが、食品添加物に防腐剤というのは無い。
 それに、現在市販の梅干しの大部分は調味梅干しだが、これは売れ行きのよいのが調味梅干しであるということで、消費者側の要望によるものである。
 梅干しを作るには、生梅を塩漬けして場合により灰汁抜きした紫蘇を加え、日干しにして水分を飛ばして保存性を高める。
 厳密には日に干した物が梅干しで、干さないものが梅漬けという事になるが、現在では干さない物も梅干しとして売られている。
 それに対して調味梅干しは、塩漬けされた梅を塩抜きし調味液につけ込んでいるわけで、手間やコストは調味梅干しの方がかかっている。

 今では、国内産の梅を使って、きちんと長期熟成させて、塩化ナトリウムではない良質の天然塩でつくった“本物”の梅干しを見つけることが難しくなってしまいました。
 これはメーカーと販売側の見識のなさとともに、消費者の意識の低さを物語っているともいえますが、このままでいいはずはありません。

 南センセは販売側の見識のなさとしているが、あくまでも消費動向に従ったものである。
 生梅と塩だけで作った梅干しの売れ行きがよければ、メーカーとしてはそちらを製造するが、現実には売れ行きがよくなく、売れるのは調味梅干しの方である。

 個人的には生梅と塩だけで作った梅干しが好みだが、食べ過ぎは禁物である。
 医薬基盤・健康・栄養研究所の調査では、梅干しが食塩摂取源のランキングの3位に入っていて、1日あたりの食塩摂取量は1.8gとなっている。
 日本人はどんな食品から食塩をとっているか? 
 梅干しは塩漬、調味漬を含むとしているが、実際には調味梅干しの方が主流であろう。
 梅干しと調味梅干しの食塩量は、文部科学省の食品成分データベースによると次の通りである。
 
 これによると、梅干しが100gあたりの食塩量が22.1g、調味梅干しが7.6gと調味梅干しの約3倍となっている。
 いくら健康に良いといっても梅干しの喰いすぎはダメということになる。

 ちなみに個人的には調味梅干しは苦手で、柔らかい梅干しも苦手なため自作せざるを得ない。
 堅い梅干しを作るには堅い青梅を使うことになる。
 カリカリ梅も好きなので合わせて毎年作る。
 
 ことし仕込みのカリカリ梅。
 大粒の方は紫蘇の灰汁抜き不足のため、少々黒ずんでいる。
 カリカリ梅を作るには石の様に堅い青梅が必要となる。
 材料は梅のほかに埋めに対して20%の食塩と、1%の乳酸カルシウム。
 カリカリ梅を作るにはカルシウムが必須。
 それに灰汁抜きした紫蘇を加える。
 冷蔵庫で保管すると1年くらいはカリカリ感が残る。

 ところで南センセの大絶賛の梅だが、実際の評価はどうかというと・・・
 国立健康・栄養研究所のデータベースによると梅の項目に次の様に書かれている。
 

・ヒトに対する有効性について参考となる十分なデータは見当たらない。

 ま、これが現状では妥当なところであろう。

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