自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセのデタラメ記事『醤油』

 

 自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセが、醤油に関してトンデモ記事を書いている。
 『一部の「しょう油」、発がん性や中枢神経への作用の指摘ある原料含有の可能性』 
 NHKラジオの『夏休み子ども科学電話相談』で、10円硬貨を醤油で磨くときれいになるというやりとりである。

 これに対し相談者の女の子は、「しょう油でもなるよ」と言いました。すると、回答者は「それはおかしいな。しょう油には酢酸は含まれていないから、間違いじゃないかな」と言うと、女の子は「本当だよ。おしょう油でもピカピカになったよ」と主張しました。
 これに困惑した回答者は「そうか。先生にはわからないな。何か化学変化を起こしたのかな。しょう油の件は調べときます」と答え、この相談はこれで終わりました。
 この回答者は化学の専門家でしたが、しょう油に酢酸が含まれていないと思っているのは当然のことです。ソース、マヨネーズ、トマトケチャップは材料に酢を使いますが、しょう油は大豆、小麦、食塩からつくられます。酢は使いませんから、しょう油に酢酸が含まれているはずはないのです。

 回答者も郡司センセも、醤油には発酵により有機酸が生成されるとは思っていない様である。
 醤油のphは4.7~5.0の弱酸性で、これは発酵により生成される酢酸、乳酸、コハク酸などの有機酸によるものである。
 キッコーマン 
 醤油酸菌による有機酸の生成  

 食塩と酸を含む食品で10円硬貨を磨くときれいになることは、食品関係の人間には結構知られている。
 バスコソースで10円硬貨を磨くと、ピカピカになるというのは有名な話で、梅干しでもピカピカになる。
 重要なのは酸性(水素イオンが存在)であり、同時に塩素イオンも存在すると言うこと。
 公益社団法人日本化学会 近畿支部 質問コーナー 

 基本的に10円玉の錆取りには「酸」が有効です。
 これは錆の主成分である銅と酸素の化合物(酸化銅)が酸に溶けるからです。
 また,酸に食塩を混ぜると 錆がさらに速く落ちることもよく知られていますが,これは食塩に含まれる塩化物イオンが酸化銅の溶解を助けるからだと言われています。

 実は、この酸に食塩を混ぜるというのが重要なポイントで,中性の食塩水のみではあまり錆取りの効果はありません。
 ただし,家庭で使用している水は、空気中の炭酸ガスを溶解してわずかに酸性を示しますので,この炭酸と塩化物イオンの共同効果で錆が落ちた可能性が考えられます。
 あるいは、食塩に混入した何らかの不純物が錆取りに関与したのかもしれません。

 要は水素イオンと塩素イオンが混在していることが重要であり、酸なら酢酸以外でも同じ。
 塩酸が最たるもので、水に溶けた塩化水素は100%電離し水素イオンH+と塩素イオンCL-となり、水で薄めた希塩酸は金属のメッキなどの前処理に使用される。。
 トイレ用洗剤のサンポールは約8.5%の塩酸を含んでいて、これで10円硬貨をあらうときれいになる。
  
 左のコインが未処理、中のコインは醤油に3分間つけ込んで磨いたもの、右はサンポールに1分間つけ込んだものである。

 100円硬貨をピカピカにする酢酸ナトリウム、氷酢酸はエチレンの直接酸化によって工業的につくられた添加物で、酸味料として使われます。
 また、醸造酢に似た味で安価のため、食酢の代用品としても激安食品などに利用されています。
 氷酢酸は酢酸の99%濃縮液のことで、強い刺激性と腐食性があります。また、中枢神経への作用も指摘されています。

 普通、氷酢酸を希釈した酢酸が食品として使用されますが、しょう油では氷酢酸をそのまま使ってもいいのです。
 氷酢酸、酢酸も最終食品に残留してはいけないことになっていますが、酸化銅を溶かして100円玉をピカピカにするのですから、残留しているのは明白です。
 しかし、原材料表示はされていないため、消費者には使用の有無が判断できません。

 >100円硬貨をピカピカにする酢酸ナトリウム、氷酢酸は~~
 酢酸は電離して一部は水素イオンとなるが、酢酸ナトリウムは弱アルカリ性の物質で、これでコインはピカピカにならない。

 >普通、氷酢酸を希釈した酢酸が食品として使用されますが、しょう油では氷酢酸をそのまま使ってもいいのです。
 酢酸は食酢の成分そのものであり、氷酢酸もそのまま食品添加物としてつかうのに規制はないけどねね。 要は最終製品の濃度の問題。

 >氷酢酸、酢酸も最終食品に残留してはいけないことになっていますが、酸化銅を溶かして100円玉をピカピカにするのですから、残留しているのは明白です。

 この箇所の記述が、食品ジャーナリストとしては非常に恥さらしである。
 そもそも残留していないことには酸味料として役立たないことになる。

 最終食品に残留が認められない物質は食品、添加物等の規格基準で定められている。
 各添加物の使用基準及び保存基準 
 最終製品の完成までに中和、分解、除去を要する添加物は加工助剤等の扱いであり亜塩素酸水、過酸化水素、塩酸などが該当し、以前に製パンに使われていた臭素酸塩もこれに該当するが、酢酸は対象外で当然最終製品に残る。

 >しかし、原材料表示はされていないため、消費者には使用の有無が判断できません。
 酸味料は一括表示の対象となるため、酸味料として酢酸を使用した場合、酸味料の表示が義務づけられる。
 酢酸をph調整剤として使用した場合も、一括表示でph調整剤の標示が義務連れられる。

 酢酸(氷酢酸、酢酸ナトリウム)の毒性は、刺激性や腐食性、中枢神経への作用だけではありません。
 ラットに1日2.4グラム経口投与すると、3~5日後に体重が減り、四肢に水疱が生じ鼻を赤くして死亡しました。
 また、ラットに10%の酢酸溶液を3ミリグラム、90日間与えたところ、ヘモグロビン濃度(赤血球の赤い濃度)と赤血球の減少が見られたとの報告があります。

 日本医薬品添加剤協会のサイトに、「10%酢酸3mLを90日間強制経口投与したラットに、ヘモグロビン量及び赤血球数の減少が認められた。」との記述がある。
 日本医薬品添加剤協会/酢酸  
 食酢中の酢酸濃度は、約4%~6%であり、10%の酢酸は食酢に比べて濃度が高い。
 ミツカン  
 ラットの体重は300g前後である。
 東京実験動物/ラット 
 300gのラットに10%の酢酸溶液を3ミリグラムを投与を、体重50kgのヒトに当てはめると・・
 (50*1000)/300=166.7
 166.7*3=500ml
 10%の酢酸水溶液を500mL飲むことになり、とうていあり得ない量になる。

 >酢酸(氷酢酸、酢酸ナトリウム)の毒性は、刺激性や腐食性、中枢神経への作用だけではありません。

 それと酢酸と酢酸ナトリウムは全く別の物質。
 酢酸の1.0 mol/L の水溶液のpHは2.4で酸性、酢酸ナトリウムの水溶液はアルカリ性、ph:7.5~9.0(50g/L 25°C)
 物理的にも化学的にも別の物質。

 氷酢酸

 有害性情報
 急性毒性 経口
 ラットのLD50値=3,310、3,530 mg/kg (PATTY (5th, 2001))に基づき区分外とした。

 急性毒性 経皮
 ウサギのLD50値=1,060 mg/kg (PATTY (5th, 2001))から区分4とした。

 皮膚腐食性/刺激性
 ウサギあるいはモルモットを用いた試験(PATTY (5th, 2001)、ACGIH (2004))において、刺激性の程度はばく露の濃度と時間に依存し、特に50~80%以上の濃度では重度の熱傷と痂皮形成が観察されている。
 かつ、EU分類ではC;R35であることから、区分1とした。なお、pH は1.0M=2.4 (Merck (14th, 2006))、である。 眼に対する重篤な損傷性/刺激性
 ウサギ眼に氷酢酸を適用直後に破壊的損傷を生じた(ACGIH(2004))こと、
 別の試験で10%以上の濃度で永続的角膜損傷を伴う重度の刺激性を示した(IUCLID (2000))こと、ヒトで誤って眼に
 入れてしまった後直ちに洗浄したにも拘らず角膜混濁や虹彩炎を起こし、上皮の再生に何ヶ月も要し特に角膜混濁は永続的であったとの症例報告(PATTY (5th,2001))もあり、区分1とした。

 特定標的臓器/全身毒性(単回暴露)
 ヒトで氷酢酸または大量の酢酸を摂取後、播種性血管内凝固障害、重度の溶血、虚
 血性腎不全を起こした症例報告が複数あり(PATTY (5th, 2001)、ACGIH (2004))、区分1(血液)とした。また、ヒトで吸入ばく露による鼻、上気道、肺に対する刺激性の記載(PATTY (5th, 2001))、「ヒトが蒸気を吸入すると気道 腐食性,肺水腫が見られることがある」との記述(ICSC(J) (1997))があり、実際に石油化学工場での事故によるばく露で気道閉塞と間質性肺炎を発症した報告(ACGIH (2004))があるので区分1(呼吸器系)とした。
 出典:純正化学SDS 

 酢酸ナトリウム

 有害性情報
 急性毒性(経口): (酢酸ナトリウム) rat LD50 = 3500 mg/kg (RTECS; HSDB)

 局所効果データなし

 感作性データなし

 生殖細胞変異原性データなし

 発がん性データなし

 生殖毒性データなし

 特定標的臓器毒性(単回/反復 ばく露)データなし

 吸引性呼吸器有害性データなし
 出典:純正化学SDS

 ちなみに純正化学の塩化ナトリウムのSDSによると、塩化ナトリウムの急性毒性は次の通り。

 急性毒性(経口)
 [日本公表根拠データ]
 rat LD50=3000 mg/kg (HSDB)

 データ上では塩化ナトリウム(食塩)の方が若干毒性が強いことになる。

 『科学電話相談』での子どもの素朴な相談が、しょう油の中身の危険な実態を浮き彫りにしてくれました。しょう油には、劇物の酢酸だけではなく、
 ~~
 ~これらは使用されていれば原材料表示されていますから、しょう油を購入する際には、しっかりと確認することが重要です。

 >しょう油には、劇物の酢酸~~
 氷酢酸、酢酸、酢酸ナトリウムは劇物ではない。
 いい加減なことを書いてはいけないね。
 日本の劇物一覧 
 ちなみにこの一覧に出てくる「無水酢酸を含有する製剤』があり、氷酢酸と無水酢酸が混同される場合があるが、全く別の物質。
 酢酸の分子式はC2H4O2で、無水酢酸はC4H6O3であり、二つの酢酸分子が酸素原子一つと水素原子二つを失って結合した物質と思えば良い。

 >これらは使用されていれば原材料表示されていますから、しょう油を購入する際には、しっかりと確認することが重要です。

 出汁醤油などは別だが、普通に売っている醤油の添加物はアルコールくらい。
 スーパー等の店頭で見てみればよくわかる。 

 >『科学電話相談』での子どもの素朴な相談が、しょう油の中身の危険な実態を浮き彫りにしてくれました。

 『科学電話相談』に関わるこの記事が浮き彫りにしたのは、醤油の危険な実態ではなく、自称食品ジャーナリストの郡司和夫センセの科学的なリテラシーの低さである。 

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