週刊ポストの不公平な記事

 

 週刊ポスト2020年7月10・17日号に『冷凍野菜から大腸菌、アサリから除草剤 中国産汚染食品42例』という記事が載っている。
 嘘ではないがあまりにも不公平な記事である。

 日本で新型コロナの感染が拡大して以降、経済活動が縮小するなかでも、中国産食品をめぐるトラブル事例が相次いでいた。
 厚労省が公開する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」によると、今年1月1日~6月18日までに42件の中国産食品(食器などの器具を除く)が食品衛生法に違反していた(リスト参照)。

 中国食品がいかにもアブナイという書き方だが、アメリカからの食品も同じくらい違反が出ている。
 アメリカの違反が49件、食器類を外しと48件で中国の違反件数より多い。
 実際の違反事例はこれ
 輸入食品等の食品衛生法違反事例
このリストからアメリカと中国分を抜き出したのがこれ
 違反食品_アメリカ
  違反食品_中国
 これを見ると中国よりアメリカの方が違反件数は多いし、全輸入量からすると中国の方が違反率が低いことになる。
 平成30年度 輸入食品監視統計を見ると
 中国輸入届出件数  :825,249件 違反数:179件 違反率:0.02%
 アメリカ輸入届出件数:226,483  違反数:133件 違反率:0.058%
 違反率はアメリカとの比較で約1/3である。

 違反事例42件のうち最多の10件を占めるのは、ピーナッツや花椒(香辛料)などから検出された「アフラトキシン」だ。食環境衛生研究所マーケティング部の丸橋大志氏が指摘する。
「アフラトキシンはカビが生成する化学物質で、人に対しては、急性肝臓障害や発がん性が指摘されます。とくに発がん性は、国際がん研究機関によるリスク評価で最も危険性が高いグループに分類されます。カビ毒のためどこにでも発生して増殖する怖れがあり、調理加熱しても毒性は消えない」

 アフラトキシンは、遺伝毒性が関与する強い発がん物質であるとされ、摂取量を可能な限り低減すべきとされている。
 アフラトキシンの概要について  
 違反事例でアフラトキシンが原因となっているのが、中国9件に対して、アメリカは31件、中国の3倍となっている。
 健康被害リスクを考えると残留農薬より、余程アブナイ。

 貝類では、活アサリや冷凍のアサリから除草剤の成分「プロメトリン」が検出された。
 「プロメトリンはトリアジン系除草剤の一種で、根から吸収され植物を枯らします。動物実験では腎臓や肝臓などに悪影響が出ました」

 プロメトリンの魚介類の残留基準は0.01ppmである。
 プロメトリンとは?  
 これからすると完全に食品衛生法違反である。
 しかし、一方で米、小麦、ライ麦、大豆は0.1ppmの残留基準であり、雑穀類0.2ppm、ニンジン0.5ppm、パセリは0.6ppmまで認めている。
 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会報告について  
 違反例のアサリ酒蒸しの検出量hは0.15ppmであり、食品衛生法違反が明確である。
 一方で主要穀類0.1ppm、雑穀利0.2ppm、ニンジンは0.5ppmの残留を認めているわけで、このアサリ酒蒸しを食べても健康被害が出るとは考えにくい。
 変な話、列車が来ていないのが確実な踏切で一時停車をしなかったのと同じレベルで、危険性は低くてもルール違反といったところで有ろう。

 アスパラガスやカリフラワー、マッシュルームなどの冷凍野菜からは「E.coli(イーコリ/大腸菌)」が検出された。
「E.coliは糞便系大腸菌グループの総称で、毒性の強さで知られるO-157などを含みます。摂取すると下痢、激しい腹痛、血便などが生じ、重篤化すると溶血性尿毒症症候群などの合併症を引き起こす怖れがあります」

 E.coliによる汚染は国産食品でも起きていて、中国産食品に限ったわけではない。
 この週刊ポストの記事は、中国産以外の食品には言及せず、いかに未中国産食品が危険と煽っている様なものである。
 中国産食品は玉石混淆で、いい加減な品質の物もあるのは事実だが、この記事は非常に不公平な記事であるとには違いない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。

CAPTCHA