子宮頸がんワクチン研究班捏造

   2016/07/01

 Wedgeの7月号に『子宮頸がんワクチン薬害研究班崩れる根拠、暴かれた捏造』という記事が掲載された。
 Wedgeが指摘した研究は、厚生労働省化学研究班が委託した、信州大学池田教授を大乗とする「池田班」の研究に関してである。
 HPVワクチン接種にかかる専門医療機関を中心とした治療・研究体制  

 日本で使用される子宮頸がんワクチンは、グラクソスミスクラインの「サーバリックス」と、MSDの「ガーダシル」の2種類が使われている。
 この二つのワクチンは、日本以外でも広く使用されているにもかかわらず、日本だけ副反応が問題になっているのを疑問に思っていた。
 2016年3月16日に行われた厚生労働科学研究事業成果発表会で、池田班の発表内容は
 ・患者の症状からワクチンが脳障害を起こしている疑いがある。
 ・その原因は、自己を攻撃する異常な免疫である自己抗体にあり、関連する遺伝子が存在すること。
 ・脳障害がマウスを使った実験でも確認された。
 という内容であった。
 子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究 

 様々な説のあった子宮頸がんワクチンの副反応のメカニズムの解明に目途がったったと言わんばかりの内容に、メディアは色めき立った。

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える少女らを診療している厚生労働省研究班代表の池田修一信州大教授(脳神経内科)は16日、脳機能障害が起きている患者の8割弱で免疫システムに関わる遺伝子が同じ型だったとの分析結果をまとめた。
 事前に遺伝子型を調べることで、接種後の障害の出やすさの予測につなげられる可能性があるという。厚労省内で開かれた発表会で公表した。
 研究班は信州大と鹿児島大で、ワクチン接種後に学習障害や過剰な睡眠などの脳機能障害が出た10代の少女らの血液を採り、遺伝子「HLA?DPB1」の型を調べた。
そ の結果、
 「0501」の型の患者が信州大で14人中10人(71%)、鹿児島大で19人中16人(84%)を占めた。 「0501」は一般の日本人の集団では4割程度とされ、患者の型に偏りが見られた。
 池田教授は「ワクチンの成分と症状の因果関係は分からないが、接種前に血液検査でHLAを調べることで発症を予防できる可能性がある」と話した。
 研究班は今後、対象を手足の痛みなど別の症状のある患者も含めて150人に広げ、発症の仕組みなどについて研究を続ける。
 子宮頸がんワクチンは2009年12月以降、小学6年から高校1年の少女を中心に約338万人が接種を受けたが、副作用報告が相次いで13年6月から接種の呼び掛けが中止されている。【斎藤広子】
 ■解説
 免疫異常、誘発可能性
 厚生労働省研究班の今回の分析は、子宮頸がんワクチンの接種を引き金に免疫機能が異常をきたし、過剰な反応が起きている可能性を示す。
 調査数が少なく「科学的に意味はない」(日本産科婦人科学会前理事長の小西郁生・京都大教授)との指摘もあるが、厚労省の専門家検討会が原因とみる接種時の痛みや不安に伴う「心身の反応説」とは異なる観点からの研究で、今後が注目される。
 世界保健機関(WHO)は同ワクチンの安全宣言を出し、接種を事実上中断している日本の対応を批判している。名古屋市も昨年、7万人対象の調査で接種者と未接種者の間に発症差はなかったと発表しており、接種再開を求める声も強い。
 ただ、患者らが訴える症状の原因は、解明の途上だ。研究班は複数のワクチンをマウスに接種する実験で、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに神経細胞を攻撃する抗体が作られたとしている。
 また、人種差があるHLA型に着目した研究は、国ごとに違う副作用発生率を比較するのに役立つ可能性があり、新たな知見が得られるかもしれない。
 接種再開の議論をする際は、こうした原因解明の取り組みや治療法の開発の状況を考慮することが求められる。
 毎日新聞 2016年3月17日 

 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用問題で、厚生労働省研究班は16日、脳障害を起こした人の約8割が、共通の白血球の型(HLA型)を持っていたとする調査結果を発表した。
 今後の調査で副作用との関連が明らかになれば、ワクチンの接種前にHLA型を調べることで健康被害を減らせる可能性があるとしている。
 研究班によると、ワクチンの接種後に記憶力の低下などの脳障害を起こした計33人のHLA型を調べた結果、26人が同じ型を持っていた。日本人でこの型を持っているのは4割前後という。
 研究代表者の池田修一・信州大教授は、まだ調査人数が少ないため断定的なことは言えないとしたうえで、「一般的な割合と比べて高い。副作用として脳障害の出やすい人の遺伝的な要因となる可能性がある」と話した。
 研究班はさらに対象を150人まで広げ、副作用との関連などを調べるという。
 朝日新聞 2016年3月17日

 厚生労働省の研究班の発表であり、それを疑う理由もなく、この様な報道があっても不思議なことではない。
 素人であるが、なるほどと思った物だ。

 しかし、この発表内容に疑問を持つ内容の問い合わせが相次いだ厚生労働省は、池田班の発表に問題があったことを認める文書を出す事態となった。
 平成28年3月16日の成果発表会における発表内容について 

 Wedgeの記事によると、池田教授は子宮頸がんワクチンによる脳障害を訴えている患者の約8割が、DPB1*05:01という免疫に係わる遺伝子をもっていて、日本人の平均頻度約4割の倍以上としているが、「保有率と遺伝子頻度の混同」という基本的な誤りがあるとしている。
 利用される日本の科学報道(後篇) 

 また、実験に使われたNF-κBp50欠損マウスは、何もしないで飼っているだけで加齢により海馬で自然に神経細胞死が起きる特殊なマウスで、人の自己免疫疾患の研究にこのマウスを使う妥当性は疑問としている。
  
 HPVワクチン接種したマウスだけ、脳の海馬・記憶中枢に異常な抗体が沈着し、海馬の機能を障害して入る可能性を示唆している。
 下記の画像は「HPVワクチン接種にかかる専門医療機関を中心とした治療・研究体制」の59ページ目の画像で、HPVワクチン接種したマウスだけ自己抗体が沈着し緑色に着色しているとされている。

 ところが取材によると、子宮頸がんワクチン以外にも強く緑色に染まった画像が何枚もあったが、池田教授は子宮頸がんワクチンでよく光っている画像と、他のワクチンで光っていない画像が組み合わさったスライドだけを発表したという。
 等々、色々と怪しい話が続く。(詳細はWedge7月号にて)
 これらが事実なら非常に悪質な捏造ということになる。

 この件は、テレビ、新聞、雑誌等の大手メディアで報道される事は無かった。
 その後、6/27に日テレNEWS24が、信州大学が調査委員会を設置した事を報道し、新聞などが追いかける様に報道を始めた。
 Wedgeは早くからこの件を追求していた。
 利用される日本の科学報道(前篇) 
 子宮頸がんワクチンと遺伝子池田班のミスリード(2016年03月24日)
 利用される日本の科学報道(中篇) 
 子宮頸がんワクチン「脳障害」に根拠なし誤報の震源は医学部長(2016年03月29日)

 この件は、国の予算を使った研究内容が捏造された疑いに関する事である。
 また、社会的な関心も高く、もし本当に捏造があれば大問題にもかかわらず、多くのメディアは無視していた訳である。
 重大な内容にもかかわらず、個人攻撃の様な報道までされた、理化学研究所のSTAP細胞論文捏造と打って変わって、多くのメディアはこの件に触れないでいた。
 本来ならWedgeの記事の真偽の検証も含めて、調査、報道がされるべき内容と思う。

 テレビ、新聞、雑誌も含めて多くのメディアが、断定まではしないものの、子宮頸がんワクチンの薬害を示唆する様な報道をしていた。
 日本のマスコミは、ベッキーの不倫問題など、どうでも良いが自らが火の粉をかぶらなくて済む件は大騒ぎし、重大な内容でも都合の悪い件は無視するという体質を見る様で、非常に気分が悪い。

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コメント一覧

  1. ツルツル より:

    >日本だけ

    2012年3月までにガーダシルで、アメリカなどで111人が死んでるんだが?

    世界保健機構は、ワクチンで人類を削減しようとしてるんだが?
    製薬業界に都合の悪いことは報道しない。

    動画「http://www.youtube.com/watch?v=RmyiuD-QdLU&feature=related”>アメリカ被害者」

    解説と翻訳は以下のサイトに。
    「http://satouclk.jp/2012/05/8920.html
    米国:ガーダシルによる死者111名、10名の追悼文」
    さとう内科循環器科医院 宮城県大崎市(2012年5月7日 17:30)
    以下引用です。

    ガーダシル Gardasil の副反応で亡くなった娘たちへの、追悼のビデオです。
    米国だけでなく、カナダ、ニュージーランド、ドイツでの死亡例も含まれています。
    このビデオが投稿されたのが2011年1月23日でした。
    (中略)
    このビデオで、
    89名もの女性が死亡していることがわかります。
    すべて10代~20代前半の女性です。

    そのうちの10名について、死亡の様子、思い出が語られております。
    娘を亡くした母親の悲痛な声をお聞きください。
    (中略)
    http://sanevax.org/
    このホームページの右下に、本年3月までのVAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System ワクチン副反応事象報告システム)のレポートが載っています。

    Death(死亡)以外は、システムでの定義をよく調べないとわからないのですが、
    Adverse Events(副反応事象)25、548人、
    Deaths(死亡)111人、
    Disabled (傷害)844人、
    Emergency room(救急受診)9、599、
    Hospitalized(入院)2、571、
    となっております。

    私が読んだ範囲では、脳神経傷害(痙攣、麻痺)、塞栓症が多いように思いました。
    このビデオへの6月前のレスポンスの書き込みに、103名、そのなかに3名の少年が含まれている、とあります。

    以上引用終わり。

  2. ゆいT より:

    ワクチンの接種の有無にかかわらず疾病を発症する可能性は有る。

    子宮頸がんワクチンに関して言えば、外国でも接種後の有害事象は報告されているのは間違いない。

    ただし、接種者の有害事象が非接種者との比較で有意差が無いとの調査結果をもって、WHOやアメリカの疾病管理予防センター(CDC)、欧州医薬品庁等の機関は、子宮頸がんワクチンの安全性、有効性に問題はないとしている。

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