ナスの漬物に鉄釘???
秋ナスの美味しい時期となった。
強い日差しを浴びる夏ナスと違い、昼夜の気温差と穏やかな日光の中で育つ秋ナスは、皮が柔らかく水分の多いナスとなる。
秋ナスの漬物は皮が柔らかく、美味しい時期となる。
ナスの漬物の難しいところは、色止めが必要なこと。
ぬか床のような酸性の環境だと、色が抜けたり赤っぽく変色してしまうため色止め処理が必要になる。
ナスの色止めのため、鉄釘を使うと良いとよく言われる。
ぬかに釘
これは釘から溶け出した鉄イオンがナスの色素のアントシアニンと結合し、安定化する為である。
しかし釘は食器ではなく、どの様な成分が含まれるか判らない。
これは普通に売っている鉄釘を、蛍光X線分析した結果である。
電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令であるRoHS指令に適合するかの試験である。
この分析結果を見るとクロムの量が非常に多い。
クロム自体は安定した物質で、ステンレスの成分であり、毒性はない。
毒性のあるのは6価クロムで、RoHS指令で規制しているのは6価クロムである。
蛍光X線分析では、金属のクロム、3価クロムなどとの判別はできないため、鉄釘のクロムが多いのが危険というわけではない。
しかし、食物に釘を使うのは考え物と思う。
漬物に使うなら専用の鉄製品を使うか、ミョウバンや、硫酸第一鉄の様な食品添加物を使った方が良い。
高木金属工業
色止めに使われるのは鉄、アルミニウム、銅などである。
ミョウバンはアルミニウム、硫酸第一鉄は鉄よる色止め作用である。
アルミニウムでの色は紫、鉄は青色で微妙に色合いが違う。
下の画像は左から、色止め無し、硫酸第一鉄、ミョウバンによる色止めとなっていて。色合いが違っているのが判る。
ナスの漬物としてしか利用するなら問題無いが、福神漬けとかに二次利用する場合、鉄だと色が黒ずんでしまうため、業務用としてはアルミニウム(ミョウバン)が使われる場合が多い。
かつては硫酸銅も色止め剤として使われた。
銅イオンは色止め剤としては優秀で、特に青物のクロロフィルと結合して安定した銅クロロフィルとなり、鮮やかな緑色が保てたが、硫酸銅は毒性が強く乳児用粉ミルクの栄養補給以外は使用できなくなった。
銅イオンの色止め作用は強く、銅釜に水と少量の食塩と重曹を入れアルカリ性(pH8.5位)にして加熱(90℃)し一晩放置した液に青海苔を入れ2時間程度放置すると、青海苔は鮮やかなグリーンとなり色褪せしにくくなる。
枝豆やそら豆、葉物類を銅鍋で茹でると色鮮やかになることが知られている。
ナスの漬物も漬け液に銅鍋で湯を沸かし、食塩と重曹を加えて置いた水を使って付けると色止めできる。
いずれにしろ、食品に使うには鍋などの食器や食品添加物を使うべきで、釘などを使うべきではない。
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